相掛かり定跡クイズ出題意図
先日クイズメーカーを使って定跡クイズを作成・出題しました。
マイナーとは謳いつつ「誰も知らない変化を片っ端から出してやれ!」という理不尽なクイズにするつもりはなく、一応自分なりに 初見全問正解も不可能ではないように選定した局面だったのでその辺りを補足できればと思います。
(※指し手の解説ではなく出題意図の説明ですので、その辺りはよろしくお願いします。指し手の意味が知りたければ定跡とにらめっこしながら「この手だとどうなるんだ?」と研究を深めていくのが一番良いと思います。)
↓まだの方はこちらからどうぞ
https://quiz-maker.site/quiz/play/iludug20231113212432
【追記】24時間経たずに100回以上プレイされたようで(嬉しい)、正解率にも信憑性が出てきたと思いますが以降の問題の画像は全てクイズ公開後数時間でスクショしたものなので現在とは正解率が変わってきているところもあると思います。
その辺りは↑のクイズから確認してもらえると現在の正解率がわかって参考になると思います。
第1問
まずはこちらですが、これは既に画像付きでTwitter上にて共有されている局面でした。
日付も割と直近だったので見た人の記憶にも残っているであろうというところと、10手目△4二玉型の研究をしていればそこまで捻らず辿り着く局面だと思うので1問目に相応しい問題だと判断しました。
既に世界に発信されている局面がどれくらいの正答率なのかというのが気になっての出題でした。
第2問
同じ10手目△4二玉の誼みで出題。
こちらはあらきっぺさんのブログで取り上げられた局面でした。
https://arakippe.com/archives/static-rook-2023-spring.html
↓
こちらは日が経っているのでアレですが、有名なブログに出た局面なのでマイナー変化の中ではメジャーな方だと思います。
あとこれは選択肢がちょっとお粗末だったかもしれませんね…互角くらいの手を概ね選んでいるんですけど▲2二角成とかの方が自然でしたかね。
第3問
これは正真正銘マイナー変化だと思いますが、実は私がTwitter棋戦で採用したことがある作戦でした。
https://note.com/sanaga_ambition/n/n5463a35530bb
(このときはまだ私自身の理解も浅く序盤は失敗してしまいましたが……)
また、↑の記事内でも触れていますが、V王将戦第1期本戦第3節 葛山わさび-梨山海玲 戦で指された作戦でもあります。
https://www.youtube.com/watch?v=YdROBSjKU-4
私のことを知らなかったとしても将棋Vtuberの将棋に精通している方、あるいは相掛かり党として葛山わさびさんの将棋を追っている方であれば既知の局面だったと思います。
また問題文の「6四歩取らせに近い」をヒントに解くという方法もあったようです。
第4問
「6四歩取らせ」から繋げる形で出題。
6四歩取らせという構想自体はタイトル戦でも出たくらいなので有名ですが、実際どれくらいの理解度なのかは気になりました。
マイナーすぎると定跡自体から外れてしまってクイズにならないので上手くバランスを取る必要がありましたが、結果的に9手目▲9六歩が活きる最善手になる良い局面を選べたかなという感想です。
定跡をどれだけ覚えているかというよりは局面に対する理解度を問うような問題になったと思います。
第5問
6四歩取らせ関連の問題が続いたので、今度は6四歩を取らせない作戦からの出題。
こちらは西村駿(にっし~)さんの相掛かり後手右玉を参考にしています。
現在も更新中のブログで、この中身の手順とs-book_blackの手順を見比べて検討した方なら正答に辿り着けると思います。
正解手以下は最善の妙技で上手く右玉に組めないようになっているので是非定跡手順を確認していただきたいと思います。
https://west-shogi.com/archives/3443
第6問
雰囲気をガラッと変えて飛車先交換を保留しない旧型相掛かりからの出題。
新型同士の最前線の将棋に没頭して意外と旧型研究が手薄になっているケースは多いと思うのでそこを狙った問題でした。
前例としては私の自己対局第5局がその将棋で、序盤はs-book_blackに準拠しているのでそこで正解手を指していました。
https://note.com/sanaga_ambition/n/nd4a54a270e08
さらに下記のねっふぃさんの配信1:23:40辺りでも似たような局面が出現していました。
(これは後手の飛車先交換が入っていないのでまた違った将棋ではありますが……)
https://m.youtube.com/watch?v=Hzpc9T1dS9o
似たような将棋だとやはり定跡を外れてしまうことも多いのでギリギリを攻めるのが出題者側としては大事なところです。
第7問
藤井聡太竜王名人を追いつめた戦法として大いに注目され(あれはシン・村田システムだったと思うが何故か?同一視されているような)、将棋ウォーズのエフェクトを獲得するまでに至った戦法。
角換わり拒否の戦法として位置付けられている気がするのですが当然通常の相掛かりにおいても指せる戦法で、書籍も出ているし名前は有名なので定跡ではどうなっているんだろうと検討した方なら正解できる局面だと思います。
第8問
再びにっし~さん考案の作戦。流石序盤屋さん。
https://west-shogi.com/archives/1572
オープニングとしては耀龍ひねり飛車も同じような感じだったと記憶しているのですが後手番のときもこう組むのかはちょっとわかりませんでした。
いずれにせよ名前が付いている戦法なので定跡で検討していれば正解できる局面です。
第9問
ここまでvs人間考案戦法シリーズが続いていますが、これもMiraburuさんが体系化された指し方になります。
もちろん正解手は一つなのですが、s-book_black履修者は特にここで▲1六歩だけは絶対に選んではいけません!
以下△7二銀と普通に戻されるだけで定跡に合流しなくなって主張もなく終了です。
もちろんMiraburu流の研究範囲でもあります。
Miraburuさんのブログは現在一般に公開されていないのが残念ですが、当時の閲覧者はその記憶を頼りに、あるいは閲覧者でなくても基本的な形との比較によって最善手に辿り着くという方法になると思います。
第10問
一時期floodgateに水匠軍団が大量発生したときがありましたが、そのときの水匠が好んで指していた形です。
古い定跡だと確か指し手が登録されていなかった気がします。
(↓前例)
floodgateの棋譜をチェックして新しい定跡と照らし合わせるという作業をキッチリこなしていれば最善手を知っている状態で臨めますが、現実的には読みでカバーする範囲になるかもしれません。
意外と正答率が低くないのは恐らくそういうことだと思います。
以上相掛かり定跡クイズの出題意図でした。
また時間があれば他の戦型のものも作りたいですね。
それじゃあ。
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