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第一期ゆかなか竜王戦 ダイジェスト

本来この棋戦はnoteに纏めるつもりはなかったが、運営にかなり力が入っているのを感じたのでこちらも一参加者としてダイジェスト形式ではあるが概括することにした。

予選トーナメント
1回戦 vs MA-O 4級

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予選トーナメントは3組での参加。
上位3名が昇級、優勝者のみが本戦トーナメントに参戦できる。

一回戦は対四間飛車戦。
ここでも軽く触れていたドルフィン流を採用した。
急戦から持久戦まで柔軟に対応可能な戦法だ。

オーソドックスな展開となり、一度有利になってからはそのまま突き放す形で勝利することができた。


2回戦 vs フジ1級

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続く二回戦では先手番中飛車に対して雁木で対抗。

こちらも急戦持久戦両方に対応可能で、複数の攻め筋を有する強力な戦法だ。

画像は仕掛けの局面だが、いきなり仕掛けずに72飛と7筋を受ける指し方が優った。相手が手待ちしてきたら、それから本譜のように54歩から開戦していく。

72飛に対して75歩とされた後の興味深い展開として、75同歩同銀65桂74銀86歩同歩75歩打74飛同歩88銀打と、飛車を切って攻め込んでいく手があった

飛車銀交換だが相手の飛車も39くらいにしか行く場所がなく、78歩成から角も圧迫していって有利になる。

ソフトが示す最善手として86歩のときに同歩に代えて73歩打と叩く手があり人間的にも指しやすい手なので研究するには向かないが(そもそも居飛車側の86歩が最善手ではない。最善手は45歩で以下73歩打46歩72歩成47歩成24角48と同金24歩と進行していく。
こちらも飛車を見捨てており知らないと指せない手
研究するならこちらが本筋か)、飛車を手放しても有利になる変化があると知れたのは大きな収穫だ。

仕掛けが成立してからは磐石に優位を拡大し、終盤は本譜より早く決着をつけられる詰み筋を逃すこともあったものの評価値上は勝ちのまま終局まで持っていくことができた。


準決勝 vs CRAZY兎1級

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勝てば2組昇級が確定する準決勝。

横歩取り模様を相手が嫌がってか一手損角換わりを志向してきた。

後手が右四間飛車から攻め込む姿勢を見せてきたので守勢にまわって飛車を転換したが、ここで強烈な攻めの手があった。

56歩と突いて銀を追い返してから45角打とすることで81角成と23角成の両方を見せて先手優勢となる。

本譜では飛車を転換した後に56歩と突いており、飛車が2筋にいないため23角成の変化が消えており銀を追い返したところで何もない。

何もないので手に困った挙句、結局29飛と戻している(それが最善手でもある。それほど69飛が意味のない手だったということ)。

この手損によって45角打の隙が解消されてしまい、暫く互角の戦いが続いた。

ちなみにグラフが最序盤で急激に先手に触れているが、開始早々に32の金を飛車でタダ取りできる事件が発生していた。
対局中は気付かず 普通に進行した。
序盤を手拍子で指しているとこういう隙を逃してしまう。


決勝戦 vs Shingo0619 初段

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本戦トーナメント出場を懸けた決勝戦。

戦型は力戦調の将棋で、後手だけが横歩取り相掛かり調の序盤になったが途中でえる展開となり居飛車の主力戦型を盛り込んだような贅沢な対局となった。

先手の比較的オーソドックスな陣形に対して、こちらは相手の手に乗って玉が4段目まで進出したり三段右玉へ変形したりと柔軟な指し回しで対応。

画像は中盤から終盤に移行しようかという局面。

本譜は先手から飛車角のどちらかを切って強硬突破する手があると読みながらも、他に手が見えず23金と受けた。
本譜の展開でも評価値上は900点くらいこちらが良いのだが、暫く先手の攻めを相手することになり実戦的には微妙な変化だ。

代えて25角打がソフトの推奨手。
34の銀に紐を付けながら先手の飛車を封印している。
81の飛車がよく利いていて、先手は飛車を成り込むことができない。

次に23歩打で必ず飛車を入手でき、取った飛車を敵陣に打ち込んでいく狙いだ。

本譜の展開と違い、常に相手はこちらからの攻めを意識する必要があり実戦的にもこちらの変化の方が有力だ。

「敵の打ちたいところに打て」で先手から23歩打としてきたら、単純に21歩打と受けておけば先手は何もできない。

本譜は途中危ない局面がありながらも攻防の手を交えて反撃に成功。
最終盤はお互い残り時間1分を切りながらも無事に相手玉を詰ますことができた。


本戦トーナメント
1回戦 vs むーよんTV 初段

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本戦トーナメント一回戦。
相手は2組準優勝者という枠だが、2組予選トーナメント決勝戦はむーよんTV初段が勝ちになった局面での接続切れという決着だったので実質2組優勝者だと思って望んだ。

戦型は前回の記事と同じ雁木対策の棒銀

先手雁木に対してはやはり相雁木か腰掛け銀にしたいというのは変わっていないが、どちらの戦型も難しくまだ実戦投入できるレベルまで育っていないので先手番で使う速攻で対処。

形勢は紆余曲折あったが、ハイライトは画像の最終盤の局面。

こちらの玉に詰みはないのでゆっくり詰めろをかけて確実に攻略するべきだったが、攻め急いで王手の連続で玉を逃がしてしまい、時間切れ負けとなった。

敗因は時間の使い方にある。

基本的に「相手よりちょっとある」を目安に指しているのだが、今回「相手よりちょっとある」から「時間攻めをするために相手より大幅に残す」への切り替えが必要だと学んだ。

上の画像の局面より数手前では、こちらが残り41秒、相手が残り19秒というタイミングがあった。

ここで時間攻めに切り替えるべきだったが、「相手よりちょっとある」まで使うクセが馴染んでおり画像の局面ではすっかり互角の持ち時間になっていた。

画像の局面でもまだ若干有利なのに最終的に時間切れ負けになったのはこちらということは盤面上での勝負から時間での勝負への切り替えができていない……というより、結局王手で相手玉を逃がしているのでどちらも中途半端な状態であったというのが正しいか。

相手より有利な状態を維持するタイムマネジメントより更に攻撃的な時間の使い方があることに今回気が付いた。

切れ負けというルールならではの時間の使い方としてこれから改善すべき点だ。



この棋戦に参加して多くの学びがあった。
それを吸収してもう一段階強くなるのが参加者の宿命だと思う。
特に持ち時間に対する新しい考え方は即効性があるのですぐに取り入れていきたいです。それじゃあ。



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