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浅草ロック座 真白希実引退公演「with」

ストリップ公演のクソ長執拗レビューです。

12/24(日)1回目と2回目を観ました!!!
一度は観たいと思っていたレジェンドダンサー真白希実さんの引退の報を受けて、これは絶対に逃せないと春先から楽しみにしていた。

大好きなストリップをクリスマスに観て、また新しい大好きな音楽がたくさん増えて、なんて素敵な思い出だろうと高揚している。

使用されていたとある楽曲を帰ってきてから何度も聴いている。有名な90年代のシティポップを最近のアーティストがカバーしたものだけど今回の自分が聞いたシチュエーションほどファーストインプレッションとして最高のものはないんじゃないかと思っている。
なんというかもう、楽曲に対して恋に落ちたくらいのハマり方をしていて、それくらいの多幸感がある。
ストリップ、浅草ロック座、本当に大好きありがとう!たった1回の体験でいつもたくさんの出逢いをくれる。

1景 大見はるかさん
開幕、暗転が晴れたらいきなり盆に踊り子さんたちが大集合。
移動の気配を感じなかったのでもう既にここで度肝を抜かれ、無防備に引きずり回されること確定。
初っ端から超煌びやかな踊り子さんたちに呆けてたらいつのまにかステージのほうにはポールが出現。
こういう目線誘導にいつも心から素直に「ワ…!」って思わされる~けど最早ここまで来ると悔しさもなし~。
パラソルみたいなポール?スカートみたいなヒラヒラからポールが脚みたいに伸びていて面白い絵面。他のショーでも見たことないけど名前あるんだろうか。

そして大見さんの盆。
冒頭に書いた楽曲はその時に流れてた曲なんですが、ピンクのふわふわに包まれている少女性のある女性の身体(というか肌)にいろんな照明がキラキラ当たってて、ロック座のクソデカミラーボールもキラッキラしてて、うっとり頬杖ついて目線を送ってくれる踊り子さんがいて、
なんかもう、これ以上この曲を美しく聴ける環境ってないんじゃないかとまで思った。この瞬間の為に存在してた曲なんじゃないかってくらい。強烈に脳に刻まれた。「夢のような女の子」が空間ごと体現されてた。
初めてストリップ見たときの思い出もあって1景で女の子によるハッピー空間魅せられるともう参ってしまう。
(ファムファタみたいなカッコいいやつも勿論好き。)

2景 ALLIYさん
今年の心もってかれた男(の恰好した女の人)みんなラメがギラッギラしたジャケット着てるんですがなんなの?流行ってるの?私の中で。
(ちなみにもう一人はOSKの楊琳さんです…先方のガチファンに見つかって怒られないか怖い)

ちょっとお顔が友達に似ていて、なので最初は「男振付が上手なかわいい女性」と思ってたのに途中から完全に「絶対に好きになったらロクなことにならない悪い色気を振りまく男」にしか見えなくて
自分の感情に何が起こってるのか理解ができなかったしそれを念頭に置いて観た2回目もやっぱり解らないまま心がメスに陥とされてた…。こわ…なに…好き…(三段活用)

クールダウンの為に冷静に観ていた部分を書くと、

普通のデニム+ヒールだったのが
盆に入る前にホットパンツデニム+生脚にレザーブーツに衣装替えされ、
でもホットパンツは脱いでもハットとブーツはそのままという点が「癖をわかってんなぁ!っぱ癖ってそういうことよなぁ!」と何目線かわからんことを思いながら膝を打っていた。
あと360度ファスナーがついてるホットパンツが面白かった。あぁいう衣装は踊り子さんの要望で作られていくものなのかどうなのか気になる。
小物を最後まで使い切る踊りがめちゃくちゃ好きなのでハットを足先に引っかけ、酒瓶が益荒男っぷりに拍車をかけ、などの小技にもすごく高揚した。

ジャケットを肩にかけて花道を歩いたあと(この背中がまた格好良かった)そのままハケていくのかと思ったら、手荷物を袖に放り投げただけで
またステージ中央で身体を一際大きく使ったダンスをほぼ全裸状態で魅せられたのが完全に不意打ちで女としても男としても格好良すぎる姿に完全に陥落した。(この景は1度拝見してから同じく陥落させられた武藤つぐみさんのバージョンも是非みてみたかった…。)
すべての景で順番に全員に陥とされていくしいろんな形の恋をぶちこまれるな…。

3景 木葉ちひろさん
背が高いのに鬼スレンダーでお顔がとても小さいからとっさに12頭身くらいある?!という言葉が頭に浮かんだ。
ブリーチされてるのに長い髪がサラサラ踊ってて敬意しかない…美しい…。
過去にロック座に来たときの幕間の宣伝映像で踊りがとても綺麗で、ぜひいつか観てみたいと思っていた踊り子さんなのでやっと観れて嬉しい!

「窓」の演出はむかーし初めて小屋にきたときに観たものとたぶん同じ演目で、いつも1st~2ndの人を入れ替えた後の演目を観れるほど何度も浅草まで来れないので踊り子さんが違う、同じ演目を始めて観れたことがすごく嬉しい。
「窓」は技がどんどん繰り出される映像・照明の使い方が楽しい。もうストリップっていうか舞台の演出を見ている。

ちひろさんは子供の時に想像していた強くて綺麗でセクシーなお姉さん像がそのまま目の前に現れたような踊り子さんでこんなに完璧なかたちをした人間って現実世界にいるんだ…と驚いた。

4景 ゆきなさん
かわいい…。お人形さんがある日動けるようになっていることに気づいて最初に踊ったダンス、っていうようなあどけなさとか無垢さとか…もうほんとにストリップって全然エロから遠いな…いやえろいんですけど。浄化される。

ストリップで真ん中くらいの景に来るおフランスとか洋画風のお洒落な演目がすごく好きで、ダンサーズの男の子たちがいつも本当に可愛い。バレエの男の子の振付って本当にキュートでお茶目で上品でキレイ。
ゆきなちゃんは前述の通り無垢な感じがするけど男の子は見事に心奪われて振り回されるわけで、こういう無垢と天性の魔性が矛盾してるようで一つの身体に宿ってるファムファタル像もすごく好き。私の中の童貞が苦い初恋に落ちる。

盆衣装の黄色いタオルみたいなふわふわのドレス(とても綺麗な衣装なのに表現がクソすぎる)が、ステージにいる間はわからなかったけど盆まで出てくると照明があたったときに微妙~に透けて見える素材で、色とりどりの照明によく染まるのもすごく綺麗だった。
こういう照明と衣装の絶妙な連携、美しすぎて泣きそうになる。ロック座の職人の皆様方いつもお疲れ様です。スタッフSNSもっと見たいけど裏を見せびらかすのが野暮っていう気持ちも存分にわかるのでなんかもう、お話きかせてください、という気持ち。

SPECIAL STAGE 真白希実さん
美術はなく、照明もシンプルな踊り子さんがいない状態のステージに、TVで聞いたことがある某有名なバレエ音楽が流れて、最初なにが始まったのかと思った。

下手から入ってくる真白希実さん、和装!侍!長物!
そういえば薙刀とか殺陣がありそうな過去の演目のお写真をよく見かけたなぁと思いつつ、ほんとに大変失礼ながらこんっっなに勇ましく格好いい殺陣をされるとは思わなくて、すごくびっくりした。
普段舞台を見ているとどうしても女性は長物をコントロールしきれなかったりエレガントな方向にまとめる印象があったので、小柄な真白さんの殺陣の力強さにとても痺れた。
あとはバレエ風のジャンプやターンと日本の殺陣芝居の身のこなしが融合していて不自然じゃなく綺麗で、もう訳がわからなかった。これだけで120分のショーが一本作れそうな満足感だった。

始めて真白さんを観る機会が最後に真白さんを観る機会、というのはすごく口惜しい体験になるだろうと予想していたけどまさにその通りの出来事だった。でもむしろこのスペシャルステージを組み込んで下さったから侍の真白さんを観ることが叶ったので、少しだとしてもなんとか観れて本当に良かった。

5景 小宮山せりなさん
いつか観たいと思っていた踊り子さん!(本日二人目)
シルクのエアリアルをいつもやってらっしゃるイメージがあったのですごく楽しみでワクワクしていた。

からの突然の某シスター映画で笑ってしまった。踊り子さんたちもコミカルできゃいきゃいしてて可愛い~と思っていたら、せりなさんの衣装が最初は普通のシスターだったのが1枚脱いだらドスケベシスターに変身していて自分の中の純朴な部分が照れてしまった。そういえば露骨なエッチ衣装って逆にあんまり観たことなかったかもしれない…。

ちなみにせりなさんはまだこの後に変身を1回残している。

某映画の有名な曲が流れる。観客席みんなで映画と同じ手拍子をするのがす~ごく楽しかった。会場のほとんどを占める猛者の皆さんは「あえての止めの箇所」がピタっと揃ってて震えた。そしてシルクが天井から降りてきてせりなさんが準備をする。あっ準備だけで曲が終わってしまった。曲が短いので。ここはちょっと笑ってしまった。

その後別の音楽が始まり、神妙な緊張感が漂い始める。せりなさんが衣装を全部脱ぐ。
…えっ 筋肉!!!!!!!!
いやパフォーマンスの内容的に当たり前っちゃ当たり前なんですが、童顔でくりくりの目をされてる可愛らしいお顔のシスターが脱いだらムキムキってもう、情報量の多さよ。

驚いてそわそわしてたのもつかの間で、しばらくシルクに手をかけて静止されてるせりなさんの姿が神秘的で、
例えば工事に入る前の土地の神様への地鎮祭の儀式のような、神妙な祈りの時間でもあったし
アスリートが競技を始める前にゾーンに入る為の精神統一にも見えた。
やっぱり軽快にやっているように見えても危険なことをされているのに変わりは無くて、特にティシューに対して信頼とか身体性を拡張するような儀式がこのショーの中で必然なんだと思わせる気迫があった。
でもそれがただの作業ではなくその佇まいだけで既に美しいというのが、私が大好きなプロの在り方で、立ってらっしゃるだけですごく満ち足りた気持ちになった。その後のエアリアルはもう、言うまでもなく。

6景 空まことさん
大トリ前のタイミングで入ってくるイノセントで透明な空気の景、情緒をめちゃくちゃにしてくる。
空さんのお名前にあわせていつもそうされてるのか照明も衣装も青色で、リボンだけが虹色で青空に虹がかかっていた。
ゆるやかで丁寧なバレエの振付と穏やかだけど明るいだけには見えない笑顔の表情が切なくて、過去に女の子を好きになったときのずっと幸せで笑っていてほしいって祈った気持ちをリアルに思い出した。その人は全然空さんに似ていないけど。

虹色のリボンが光を反射しているのか、少しくらい場所でも虹の色がじわっとギラっと光って見えてそれもなんというか、健気で希望があって良かった。
なんかこの景は胸がいっぱいで、一番心が無防備だったので、とにかく綺麗で切なかった以外にあんまり記憶がない。

7景 真白希実さん
始まる前なんだかちょっと緊張していた。なんか真白さんに気迫で殺されるんじゃないかって気分だった。姿が見えてもいないのに。
別のイベントきっかけで大好きな楽曲が流れた。この公演であんまりにも好きな曲がたくさん流れるので何度でも「あぁ来て良かった」と思ってしまう。

真白さんは完璧とか永遠とかそういう言葉を背負って立つのに相応しい、ほんとに1ミリの隙もないパフォーマンスで、これも本日二度目になるけどこんなに完璧に美しい人間が現実世界に存在するのか、と驚いた。
完全体で隙の無い真白さんが、今のこの時間をプロとして丁寧に着実にこなしながらも、大切さを噛みしめながら踊っている様子が見えるような、匂わせまいとするような、せめぎあってるような気もして、いやこのへんは全て私の想像に過ぎないのですが、心がもうずっと黙ってくれない。

あと私は盆がせり上がることを知らなくて、不意打ちで初めて観たので浅草ロック座という場所のとんでもなさをまた一つ思い知らされた。

そしてフィナーレは、もう。
レオタード、背中の白羽根、白いハットにタキシード、ステッキ、光る階段、エスコート。
大好きなショーの豪華で、でも表現としてシンプルな姿がすごく嬉しかった。
階段が割れて真白さんが笑顔で羽根を背負って出て来たのを観たら、感動で涙がにじんだ。踊り子さんが幸せそうなショーって本当に素晴らしい。
すごくすごく、素敵な時間でした。来てよかったと何度でも思った。


これは、真白さんというかなんならストリップにも限らない話で且つ余談ですが

いろんなことが一筋縄ではいかないことは嫌になるくらい知っているしそれらが気持ちや努力、なんなら良心があっても尚どうにもならないことも解っているからあまり軽率に安直なことは言えないけど

どうかステージで踊っているその瞬間だけでもめいっぱい心から幸せでいてほしい、そして苦しくなってもなんとかまたそこに帰ってきてほしい、そこに辿りつくまでが苦しくても、そこに居てほしいな、と大好きなパフォーマーの人たちみんなに対して思っています。近しい人も遠くの人も。
エゴではあると解っているし、でも同時に祈りでもある。みんなでそこで幸せになれたらいいね、て祈っています。
私も自分に出来ることは擦り切れるまで頑張るのでな。
だからまたいつかどこかで必ず会いましょうね。


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