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TOSHIBA OPEN INNOVATION PROGRAM 2021「技術の掛け算で新たなビジネスを」

エネルギー・社会インフラ・電子デバイス・デジタルソリューションの4事業領域で様々な製品・サービスをグローバルに提供している株式会社 東芝。その東芝の豊かな知見・実績、技術やノウハウと、社外からのデジタル技術やビジネスアイデアを掛け合わせ、新たなビジネス・価値の創出を目指すのが、株式会社サムライインキュベートとの共創プログラム「TOSHIBA OPEN INNOVATION PROGRAM」です。

2020年度に引き続き、2期目となる2021年のプログラムの実施を前に、東芝 執行役上席常務 最高デジタル責任者 島田 太郎氏に、プログラムに至った経緯、実現したい世界観、東芝と共創するメリットや、パートナー企業に期待することなどについて話をうかがいました。

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島田 太郎(しまだ たろう)/
株式会社 東芝 執行役上席常務 最高デジタル責任者、東芝デジタルソリューションズ 株式会社 取締役社長、東芝データ 株式会社 代表取締役CEO、一般社団法人 ifLinkオープンコミュニティ 代表理事、学校法人追手門学院 追手門学院大学 客員教授
1990年に新明和工業に入社し、航空機開発に従事。1999年にアメリカのソフトウェア会社であるSDRC(のちにUGSと合併)に入社し、2010年にSiemens PLM Software日本法人社長に就任。同社がドイツの総合テクノロジー企業シーメンスに買収された後、ドイツ本社駐在を経て、2015年シーメンス日本法人の専務執行役員に就任。2018年10月、東芝に入社。2019年執行役常務、最高デジタル責任者、2020年4月に執行役上席常務、東芝デジタルソリューションズの取締役社長に就任。

東芝のベンチャー精神から生まれたTOSHIBA OPEN INNOVATION PROGRAM

———昨年行われた「TOSHIBA OPEN INNOVATION PROGRAM」も、2期目を迎えることとなりました。ここに至る背景と経緯を教えてください。

島田:東芝は、パーソナルコンピューター黎明期からPC一人一台の時代を見通し、世界初のラップトップPCを発明したベンチャースピリッツの塊のような会社です。特に研究には力を入れており、研究所からはベンチャースピリッツのある最先端の技術を世に送り出してきました。

ですが近年、技術はあるもののビジネスと結びつきにくい状況があり、商売を行う意味での新たなベンチャースピリッツが必要と感じるようになりました。そこで外部からそのスピリッツを注入しようと生まれたのが、「TOSHIBA OPEN INNOVATION PROGRAM」です。

世の中のビジネスは掛け算、デジタルのDXのXもまた掛け算です。この掛け算により新しいトランスフォーメーションを起こし、双方向に取り組むことで、一気にビジネスを伸ばしていきたいと思っています。

第1期を開催したところ、ビジネスもアイデアも、大成功といえる結果で、ぜひ次をということで2期に至りました。

———前回と同様2期のメインテーマは「サイバーとフィジカルの融合で実世界に新たな価値を。」です。このビジョンを掲げ、この1年間でどのような一歩を踏み出したのでしょうか。また昨年度のプログラムを実施されて社内で起きた変化、新たな発見などがあれば教えてください。

島田:東芝には、IoTやビッグデータに適した「GridDB」という世界最速の時系列型インメモリーデータベースがあります。東芝だけだとデータベースの枠から出にくいですが、これをデータの分散取得が得意なベンチャーの方が使うと、新たなデータ分析など行うことができビジネスとして形になります。

「GridDB」もベンチャー企業が一から作るとなると大変です。そこで我々がこういった技術を提供することにより、協同して新たなビジネスを生み出すことができるということが見えてきました。

———個々のコラボレーションをオープンにする、オープンイノベーションを進めることについて社内の反応はいかがでしたか。

島田:お互いにメリットがある、技術的にすごいと感じたら、パートナーとなる会社の規模の大小に関わらず社内の人たちは協力的です。お互いに尊敬できる技術さえあれば、どんな会社とでもオープンな関係を築けるところが東芝の企業カルチャーといえるかもしれません。

昨年もパートナーシップという形ではありますが「大企業とベンチャー」ではなく、「ベンチャーとベンチャー」として、和気藹々と業務を行えたと思います。

尖ったものを試行している人たちとコラボして新しいものを

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———昨年プログラムに採択された18社のうち、現在もプロジェクトを継続している会社は何社ありますか?

島田:昨年採択した企業とのコラボレーションは18社中、6~7割程度は継続しています。先ほどご説明したGridDB以外にも東芝インフラシステムズ株式会社とローカル5G環境でご一緒した企業とは、つい先日からPoCを始めています。また、「誰でも簡単にIoTが使える世界」の実現を目指して「一般社団法人ifLinkオープンコミュニティ」を昨年設立しました。前回のプログラムからコミュニティ活動を主導してくれるような企業も数社出てきています。

このように1期のプログラムから多くの企業とは、積極的に事業検討を行っています。

———東芝の本社事業部とプログラムの連携がよいのはもちろん、子会社もプログラムとの連携に積極的という印象があります。このあたりベンチャースピリッツ以外に何か仕掛けがありますか。

島田:子会社にはもともと東芝の人が多く、連携に積極的な理由は企業カルチャーとしか思えないところがあります。現在東芝にはグループとして多くの子会社があり、様々な事業を試みているのが東芝らしいところです。

どの会社もエンジニアリングが好きで、量子コンピューター、セミコン、巨大タービン、工場の設計や設備、モーター、センサー、さらに世界3位のパテントを持っているAIなど、なんでも作ってしまう風土が東芝にはあります。今までこれらの社内コラボレーションも活発に行われてきました。

ただ、外部とのコラボレーションとなると大企業がメインでした。しかしスピード感のある尖ったものを試行している人たちとの新しいコラボレーション、マッチングが必要と感じ、このプログラムが始まったという訳です。

こういった風土の中でプログラムが行われるのですから、社内の人たちもきっと楽しんで一緒にコラボレーションしているのだと思います。

———東芝がより羽ばたける土台が出来たという感じですね。2期が始まるにあたりどんな期待を持っていらっしゃいますか。

島田:東芝もパートナーの方も、双方向に羽ばたける土台が出来たと感じています。参加されたベンチャーの方からも、「こんなに丁寧な対応をしてもらえるとは思わなかった」という言葉もいただきました。東芝には波長が合えば、一緒に盛り上がれる文化があります。

そして、私が抱く2期への期待は、とにかく新しいビジネスを作ること。オープンイノベーションをやる以上は、お互い儲けを出してビジネスとして成長させたい、しっかりと成果を得たいということです。

今回、我々が用意したものは尖った最先端の技術です。おそらく、ほかでは全く見ることができないほどのものなので、ベンチャーの方々と一緒にこれを利用して新しいものを作っていきたいと思っています。

最先端の領域で東芝と情報・利益をシェア

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———今回、東芝から技術提供されるテーマは、「プライベートブロックチェーン」「量子アリゴリズム」「購買データ」となっています。これらに関し、東芝の技術やメリット、役に立つ分野について教えてください。

島田:「プライベートブロックチェーン」は東芝グループにもともとあったリアルタイムOSという技術を活用して、従来のものよりも高速で使いやすく信頼性の高いブロックチェーンとして作り上げたものです。

これをブロックチェーンプラットフォームとして活かすことで、サプライチェーン、IoT、認証といった分野で新しいサービスを作り出せると思います。

「量子アルゴリズム」は、東芝が作ったシミュレーテッド分岐マシンSBMのことです。これは当社の天才研究者が、量子コンピューターとアニーリングマシーンの両方を研究するなかで作ったものです。量子コンピューターよりも速く大規模に組み合わせ最適化問題を解けるイジングマシンを使うことで、創薬・金融などの幅広い領域に活用できると考えています。

次に「購買データ」です。私が作った東芝データ株式会社では、東芝テックの「POSレジ」を使い購買データを収集しています。「POSレジ」というのはレジのシステムです。現在、東芝テックのシェアが日本で6割ほどあります。これに基づいたデータを消費者のスマホに「スマートレシート」として返すことをはじめました。

この企業にも消費者にも役に立つ、膨大な「購買データ」を今回提供するので、どんなビジネスができますか?というところです。FinTechやブロックチェーンなどともつながってくる、面白いテーマといえます。

———どれも最先端の領域で贅沢なテーマばかりですね。おっしゃった分野だけでなく、様々な分野に活用できそうです。

島田:はい。我々はこれらのテーマをすべてプラットフォームで情報共有しますし、プロフィットシェアも行います。新しいアイデアがあるならぜひ、我々と一緒にやりましょう。

2022年ラグビー新リーグ再編に向け、盛り上げ牽引する存在を目指す

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———プログラムのユーザーテーマとして東芝ラグビー部があげられていますが、ラグビー部とIoTについてどんな活動資源を考えていらっしゃるのでしょう。

島田:これはラグビー部から、テクノロジーを活用したイノベーションを求めて提案してきたものです。画期的でしょう?

こちらで考えられるIoTとしては、選手の健康状態のチェックに関するもの、パフォーマンス向上やチーム強化につながる技術、ファンやスポンサー拡大の技術などがあります。どんな提案が出てくるのかワクワクしています。

ラグビー部は今、コロナで大変ではありますが、2022年から25チーム制の新リーグが発足するのに向けて頑張っているところです。先日試合を見にいった時には、南アフリカのチームかと思うほど強くて驚きました。また東芝のチームとしてはニュージーランドから強化選手を迎えており、ますます世界レベルになってきています。

2023年にはフランスでワールドカップもあり、勝つために、また盛り上げるために、イノベーションが必要です。今回のプログラムにより、そのきっかけが生まれればと思っています。

IoTプラットフォーム「ifLink」の可能性

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———「ifLink」は、今回のようなオープンイノベーションに親和性のあるコミュニティだと思います。その点についてお話をうかがえますか。

島田:「ifLink」はオープンソース化していますので、基本的にありとあらゆる物をつなぐことができます。

もう少し具体的に「ifLink」の説明をしますと、IFとTHENでデバイスやサービスをつないで、すぐにIoTの仕組みができるということです。例えば、ベンチャー企業の人は自分たちが作ったSaaS型ソリューションなど、そこにプラグインするだけで、新たなIoTプラットフォームを簡単に作ることができます。

どんなふうに使うか、というアイデア勝負の世界です。今120社ほど集まって色々な取り組みを行なっています。今まで新しいアイデアや技術を持っていたものの、実装方法がわからないという人にはぴったりなプラットフォームです。ぜひ奮ってプログラムにご参加いただきたいと思います。

———ありがとうございます。最後に今回応募いただく方に、メッセージをいただければと思います。

島田:私たちはとてもオープンに、真面目に一緒にやりますので、ぜひ斬新なアイデアややる気を注入してもらえればと思っております。たくさんの方からの応募を心からお待ちしています。

東芝の技術と情報を活かし、新たなビジネスソリューションを

東芝の持つ高い技術と膨大な情報を活かすことができる、今回の「TOSHIBA OPEN INNOVATION PROGRAM 2021」。東芝とともに、新たなビジネスソリューションを生み出したいというスタートアップ企業の方々は、ぜひ応募をご検討ください。質問なども受け付けております。

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