どうきょのいきさつ2


昨年夏に母からオッケーが出たので
気が変わらぬ内にと
同居に向けて動き出した。

不用品の片付け、掃除だ。
二女が手伝ってくれて
助かった。

二階にあった母の衣類を
下に運んだ。
わざわざ取りに上がらなくて済むように片付けた。

祖母からの着物などが
少しばかりあるが、
それらも一箇所にまとめることが
できた。

普段着のタンスと
着物用のタンス、二つが空になった。
やれやれ、と思っていたら
母から突っ込みが入る。

あの着物は何処へやった?
下の和ダンスにまとめたよ。
嘘よ、もっとあったはず!
いやいや、全てまとめたよ。
そうかしら?(疑惑の目)

空になったタンスはどうするの?
あれは処分するって決めたよね?
そんな、勿体無い!
えっ、じゃ、どうする?
便利なのよ、あれ。(悲しい目)

今まで上に取りに行ってたのに
慣れないから不便だわ!
あー、ごめんね、慣れないよね。
いつもと違うって困るわ。(怒り)

まるでお決まりの様な
高齢者特有の文句を言って来る。

最初は驚いて、
母の機嫌を取ろうと思った。
段々と苛つき、嫌な雰囲気になる。
そのうちに面倒なので
母に見つからない様に
留守を狙って片付け、不用品を
捨てまくった。

秋頃にはなんとか片付けが終わり
リフォームに入れる環境ができた。

夏の間は
毎日を過ごすので精一杯で
母も暑い時期は同じらしく、
特にリフォームについて
話すことはなかった。

寒くなり始めた頃
現場監督さんとの最終打ち合わせに
母も同席してもらった。

弟が手配した現場監督さんは
とても良い感じの方で
母もにこにこしながら対応、
終始和やかだった。

その翌日。

突然だった。

『私、リフォームの工事に耐えられるか自信が無いわ。』
『一体いつから始まるの?』
『お金はいくらかかるの?』
『何故私はないがしろで、私の知らないところで話が進んでいるの?』

全ては何度も説明してあるのに…

車を運転している私に
不満を爆発させる母。

私は市内限定ドライバーで
休みに買い物などはするが
基本運転は好きでは無い。
でも父が胃癌になった5年前から
ずっと父代りに
運転手役を休みの度に担っている。

だから、運転中にそんなヘビーな話を振られても
まともに答えられない。
心臓がバクバクして
口から飛び出しそうだった。

もう、リフォームは
始まってしまうのに。
頭がパニックになった。

さらに母は
『大体、私は幾ら貯金があるのよ!』
『私はリフォームに使ったら幾ら残るのよ!』
と言う。
自分の財産を自分で把握していないことは棚に上げて。
呆れて思わず、
『リフォームに使って○○○万円残ります!』と答えると
『なーんだ、たったそれしか無いの?私、やりたい事あったのにそれっぽっちじゃ何にも出来ないわ』
と、のたまった…。

前途多難とは
こういうことか、
と半分涙目になりながら
車の運転をした。

母の貯金は
決して多くは無いが
少なくも無い。
私からしたら、
羨ましいくらいある。

父が亡くなった時に
残した遺産を
私たち姉弟は
分割すること無く
全て母に渡した。
と言うか
遺産を相続する発想を
姉弟誰一人持たなかった。

父の遺産は現金と住宅(上物)のみ。
それについてはまた書こうと思う。

母の数々の発言は
認知症の症状なのか、
そうでは無いのか、
そんなことばかりが
私の頭の中を占めるようになった。

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