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涙のROCK断捨離 11.Jethro_Tull「A_Passion Play」

ジェスロ・タル「パッション・プレイ」/Jethro Tull「A Passion Play」
1973年

アルバム・タイトルは「パッション・プレイ」。収録曲は「パート1」「パート2」の2曲のみ。再生時間は、約45分。長尺曲、これに極まれり、という作品です。(YESの「海洋地形の物語」2枚組4曲っていう上手がいますが。)

アルバムは無音から始まり、謎のノイズが聞こえてくると、ゆっくりと音に姿かたちが作られ、メロディとリズムが生まれます。そこからは時間をかけて、時に淡々と、時には大袈裟にドラマが奏でられるのですが、何せ意味が分かりません。
困惑しつつCDジャケットを見てみると、バレリーナは目を開いたまま仰向けで倒れ、口からは血を流しています。写真はモノクロで、なんともただ事では無いようです。

演劇的なロックと紹介される楽曲は多くありますが、「パッション・プレイ」に至っては、演劇をそのまま録音したような作品でもあります。なにせ、途中からは歌ではなく語りで曲が進行する部分もあるのですから。

「アクアラング」でバンドの方向性に自信を付けたジェスロ・タルは、それ以降のアルバムでプログレッシブ・ロック色を強めてゆきます。
イアン・アンダーソンの奏でる脇役に甘んじないフルートとマーティン・バレのヘビーなギターサウンドは、プログレとの相性も良いですし、高度な音楽構成力があり長尺の曲を演奏し切る力も持っていました。大きな世界観でアルバムという作品を作り上げる、という志向性は彼らの長所を生かす道だったように思えます。

発表当時、イギリスでは高い評価を得たというアルバムですが、それでも「パッション・プレイ」は容易に人にお薦めできる作品ではありません。
逆に、だからこそこの世界にはまった人は、大ファンになってしまうかもしれません。なにしろ、他に比較できるアルバムはそうはないのですから。
癖が強いんじゃ。
「パッション・プレイ」は聴く側にも、それなりの集中力を求めてきます。これから聴かれる方は、しっかりと演奏に耳を傾けて向き合っていただければと思います。他の音楽では得られない、濃厚な時間を過ごせることでしょう。

Spotifyには、しっかりとありました。https://open.spotify.com/album/7dYWKZPXh2M8WItGwwq7Gi?si=VSKDPBOBQYyBLIzFfvkd6Q


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skeezeによるPixabayからの画像