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涙のROCK断捨離 42.ROGER_WATERS「AMUSED TO DEATH」

ロジャー・ウォーターズ「死滅遊戯」/ROGER WATERS「AMUSED TO DEATH」
1992年

よくこの日本語タイトルにしたなー、と思ったのが最初の感想。
私の手元にあるCDのジャケットは、サルがテレビを見ています。その後、リマスターされて、ジャケットも変わったのですね。
前作「RADIO K.A.O.S」と比較して、評価の高かったアルバムです。
このアルバムを気に入るかどうかは、ジェフ・ベックの活躍をどうとるか、というところかもしれません。

ジェフベックを使ってしまったら、良くも悪くも耳を持っていかれてしまうのは仕方がないです。
1曲目こそ静かな調子で弾いていますが、アタックの強さから、ジェフベックが指ピッキングしている姿が浮かんでしまいます。
続く2曲目「What Got Wants,PartⅠ」はじめ、随所で彼のギターが聴こえてくると耳を奪われてしまうのですから、凄い個性です。
自分の番組にゲストを呼んだら、そのタレントに喰われてしまったみたいな怖さを感じます。

アルバムは、例によってトータルのコンセプトがあり、現状に対する問題提起が行われているロック・オペラです。
SEは素晴らしい効果をもたらしていますし、女性ボーカルにソウルフルな歌い方をさせるなどの得意技は、しっかり駆使されています。
囁くような歌から1拍おいてシャウトするボーカルは、感動を作り出す発明品の域です。自身の声も、この方法にマッチしています。ピンク・フロイドのアルバムで聴こえたような音が所々で響くので、その度にハッとさせられたりもします。
ロジャー・ウォーターズに期待するところは、ほぼ全て詰め込んでくれているのではないでしょうか。

繰り返しになってしまいますが、これほどまでに自我の強いロジャー・ウォーターズの作品にあっても、ジェフベックは存在感を示すのですから、只者ではありません。

ロジャー・ウォーターズは、「ザ・ウォール〜ライブ・イン・ベルリン」をはじめ、その他の自分のライブでも様々な著名アーティストを招聘しています。
ロジャー・ウォーターズだけだと同じ味に飽きてくるということはあるでしょうし、自分と別のアーティストとの化学反応で何かが起こることを期待したのかもしれません。ピンク・フロイドとは別の新たなファンを獲得するために、戦略的に行っていたとも考えられます。
しかし、ロジャー・ウォーターズの世界にどっぷりと浸りたいファンには、余計な付け合わせに感じられてしまったというのも、否めなかったのではないでしょうか。
やっぱり、良い戦略を立てて、良いコンセプト、良い演奏を良いアレンジで展開しても、良い曲を作らないと難しい、と言っては厳しすぎるでしょうか。
ファンの期待に応える力作であることは間違いありません。

Spotifyでも聴けます。
https://open.spotify.com/album/5RqQH15mFgHI984n25pFg3?si=t-gEoF1bReeFbLuw2vN2CA


写真の使用許諾に感謝します。
Photo by Creedi Zhong on Unsplash