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日本の森、モリのニッポン紀行

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「延喜式」に掲載されている式内社をタイヤの太いFATBIKEという自転車で訪ねています🚲 2020年1月より140文字で巡拝記を書き始めました。 ・2020年12月6日〜(no…
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2021年3月の記事一覧

鴨都波八重事代主命神社二座@大和國葛上郡。

拝殿前に積まれた「風の森」の酒樽。とある日本酒バーで御所の酒と知って以来のファン。一帯は弥生~古墳期の遺跡なので神社の歴史は相当に古く、全国に分布する「加茂」族の源とも。しかし頭のなかは「風の森」のことばかり。晩酌に秋津穂一本買って帰ろ。

写真は奈良県御所市。

劔主神社@大和國宇陀郡。

大宇陀の古い町並から西へ離れた山里。針葉樹に囲まれた境内、木製の社が覆いのなかに鎮座。社務所横の細い道で本殿裏手に出ると道はさらに山のなかへ入っていく。コンコンコン…耳をすますと川の流れにキツツキが木をつつく音が混じる。深く息を吸うと水気を含んだ葉の匂い。

写真は奈良県宇陀市。

劔主神社@大和國宇陀郡。

宇陀川の北、川と並走して集落を通り抜ける道。車から降りた女性に声をかけて神社の場所を尋ねた。「神社はこの裏手ですよ」家並みの裏に回り二宮尊徳像が立つ敷地の奥。地元のひとに尋ねないと分からないひっそりとした神社だ。鳥居代わりに立つのは根元で幹分かれした巨杉。

写真は奈良県宇陀市。

劔主神社@大和國宇陀郡。

白色巨岩に対する信仰からその名も「白石大明神」。一方、境内では屹立するスギやスギの森に孤軍奮闘するクスノキなど「木」たちに心惹かれる。拝殿右側、老樹の切株から伸びるヒコバエに感じた木の生命力。境内には信仰に連なる「石」があるようだが、うかつにも気が回らず。

写真は奈良県宇陀市。

櫻實神社@大和國宇陀郡。

社名に桜。すでに開花し、拝殿後方の神門には桜紋。しかし桜とともに朱色が鮮やかな本殿もここでは脇役。ひとつの株から伸びる八つの幹ゆえ「八ツ房杉」。キングギドラは首が三つだけどそっくりの外観。スギ自体が神社だったのでは? 自然豊かでスギが多い宇陀ならあり得る。

写真は奈良県宇陀市。

神御子美牟須比女命神社@大和國宇陀郡。

社名を刻む柱を見つけホッとしたのも束の間、境内はさらに先。直前に斜度のきつい激坂があり変速なき我がFATBIKEではお手上げ状態。朱色に彩色された本殿に参り拝殿近くに腰掛けた。視界の先の遠くに連なる山並み。「大神神社の奥宮」という言葉はぴったりだ。

写真は奈良県宇陀市。

岡田小秦命神社@大和國宇陀郡。

朝食を十分に摂らなかったせいか空腹で体力消耗気味。日光を遮り境内を通り抜ける涼しい風はヘロヘロの体に癒し。小和田岳の磐座祭祀が起源らしいが境内で目につくのは石ではなく巨大な木々。社名に岡田小秦命の名があるも祭神としては消失。鳥居なく北面の珍しい本殿。

写真は奈良県宇陀市。

御井神社@大和國宇陀郡。

「えらい早いお参りですなぁ」参道の並木や本殿奥のスギを眺めていると声をかけられた。近くでひとり暮らしするおじいさん。二言三言言葉を交わし境内へ。神明造の本殿後方に屹立する立派なスギを見上げため息。境内の奥にはツルマンリョウ自生地。初めて知ったが北限自生地。

写真は奈良県宇陀市。

味坂比賣命神社@大和國宇陀郡。

宇陀川沿いの林道。緩い上り坂でペダルを漕いでいると対岸を走り去るお尻の白い若い鹿。室生に抜ける峠の手前。右往左往しながら林道の枝道を入ると突き当たりに小さな境内。石垣上には小社殿が鎮座。山中に姫神をまつることと山の神が女神であることの関係が気になる。

写真は奈良県宇陀市。

宇太水分神社@大和國宇陀郡。

宇陀に鎮座する水分社三社のひとつ。石段を上がり舟形山の小高い丘。社叢の木々が鬱蒼と茂る参道から玉砂利が敷かれ清浄な雰囲気の境内へ。「水分宮」と刻まれた手水舍で手を清め参拝。夏の終わりを告げるツクツクボウシの鳴き声とともに、近くの高校から届く若々しい声。

写真は奈良県宇陀市。

宇太水分神社@大和國宇陀郡。

拝殿で手を合わせ改めて後方の本殿にも手を合わす。三棟並ぶ鎌倉時代建立の春日造の本殿。巨木の宝庫でもある境内。夫婦杉や頼朝杉など凜々しいスギが古社の風格に花を添える。参拝前に立ち寄った見田・大沢古墳。泥道から墳丘に上がり見晴らすのはのどかな菟田野の風景。

写真は奈良県宇陀市。

葛木御縣神社@大和國葛下郡。

偶然見つけた道端の無人販売所。手ごろな大きさの里芋が袋いっぱいに入って百円とは嬉しい。境内から少し離れた一ノ鳥居。標柱に諸鍬神社、扁額に八幡宮の文字。首をかしげながら境内に入り参拝。御縣社は延宝六年近隣の諸社とともに合祀後、元治元年に式内大社ゆえ独立。

写真は奈良県葛城市。

葛木御縣神社@大和國葛下郡。

天皇に献上する野菜などを栽培していた御縣。大和国の六御縣神社の一社で広大な神社を想像。しかし実際に訪ねると場所が分からない。金剛山の山並みを眺めながら右往左往し見つけたのは路地の奥。延喜式では大社。神社の規模こそ小さいが恐竜の足並みの巨木に大社の風格。

写真は奈良県葛城市。

金村神社@大和國葛下郡。

式内社中に見かける「~命神社」という社名。神名=社名の神社で、奈良に限らず見られる形式。同じく名前を冠する神社でも有力政治家とは珍しい。社名は大連の大伴金村、祭神でもある。入口の鳥居に日は当たるも濃緑の社叢に囲まれた境内は薄暗い。小さな本殿はその奥に鎮座。

写真は奈良県葛城市。