「彼らが本気で編むときは」

今日も雨が降っている。
降り続く雨に被害にあった各地の人々を思い胸が痛い。
辛い現実から逃げるように、
最近 テレビから遠ざかってAmazonやNetflixで映画をよく見ている。

今日は見逃していた「彼らが本気で編むときは」を見た。
まずは編み物好きとして、このことを言いたい。
編み物は楽しい。
無心に編んでいると癒される。
浄化されるというのは、わかるけれど、怨念をぶつけるドロドロしたものという表現には物申したい。
昔から手編みのセーターは重いっていうし、そういう一面もあるのかもしれないけれど。

この映画は、何気なくネグレクトやLGBTなど重いテーマを扱っている。
その苦悩はしっかり描かれているが、たまたま登場人物がLGBTだったというだけで
実は親子の絆、関係性、そして親の愛について深く描かれている。

登場人物のひとり、リンコの母の
「自分の娘が一番」という自信を持って言う姿には惚れ惚れとした。
その姿に義母の言葉を思い出した。

新婚時代に義母とふたりでヨーロッパへ旅行に行ったことがあった。
旅行中義母はふとした会話の中で(そのシチュエーションは忘れてしまった)
「子供の目が悪くなったら、自分の目をくりぬいても子供に与える。自分のことはどうなってでも、子供のことを守りたいと思っている。」というような内容のことを話した。
その強い言葉に、まだ母になる前の私はとても驚いた。
そして、この人はすごい人だと尊敬した。その気持ちは今も変わらない。
時を経て私も母となり、今は、その気持ちが理解できるようになった。
まあ、だからと言って義母やリンコやその母のように母親のすべてが愛情深くて、出来た人間ではない。私もそうだ。
それでも親子は、人と人は繋がっていることだけはわかる。
映画の中で親子3代子守唄を口ずさんでいたように。うまく説明できないけれど。

それにしても映画の中の食事が美味しそうで。
特に、リンコの作った唐揚げ!
主人公のトモと同時に私の胃袋もつかまれた。
今日の夕飯は、唐揚げにしようかな。
冷蔵庫にビールはなかったかな。

東京の感染者数が最多というニュースが飛び込んできた。
外は雨が降ったり止んだり。
滅入る気持ちを落ち着かせるために、
とりあえず編みかけのカーディガンを手に取ってみる。


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