凍らせた靴下
靴下凍らせたの…件でさ。
そう話し始めた夫に「!!」のリアクションを取り、これは聞き間違いなのだと思いながらも、すごいスピードで「靴下凍らせた件」が脳内を駆け巡った。
夫は穏やかでやさしい。その上、いつも前向きでこちらの気持ちも明るくしてくれる。
ただ、滑舌だけが、少し残念である。
おかげさまで出会ってからこれまで10数年、わたしはしょっちゅう聞き間違いを楽しませていただいている。
靴下を凍らせる。
冷凍庫に靴下を入れたのか。
使用済みなのか。臭さを封じ込める実験なのか。もちろん、もちろんジップロックには入れているだろう。もし、そうでなかったら、もうあなたの妻では居られないかもしれない。でも、臭さとは凍ることで消えるものなのか、、、実験結果は一応気になる。
いやいや、まてまて。この人、そんなことはしない。
使用済み靴下を凍らせてみようなんて、そんな暇はないのだ。妻と子どもを愛し、仕事を愛し、朝の気持ちの良い空気や、観葉植物の成長までもを愛す。靴下を凍らせる実験をしている暇は1秒たりともない。
ははん。使用済みではないな。
未使用だ。買ったばかりの新品を凍らせたに違いない。
しかもちゃんと新品のジップロックに入れたに違いない。最近暑くなってきたもんだから、凍らせた靴下を履いたら涼しいのではないか。足元から涼しいことで爽やかな気持ちになり、いつも以上にひとにやさしくできたり、仕事も爽やかにこなせるのではと思いついたんだろうか。
実際、それって少し冷たくて気持ちいいんだろうか。
これらを数秒で脳内で楽しんでから、一応たずねる。
え?今なんつった?
「靴下凍らせたの…件」って聞こえたんだけど。
夫は、失笑と共にゆっくりはっきり言い直した。
「マツシタ コウノスケノ メイゲン」
「クツシタ コオラセタノ …ケン 」
半分くらい一致してるのに、全然違うじゃないか!
わたしの耳め、靴下凍らせた話を聞きたくてしょうがないんじゃないか!
松下幸之助の名言は、残念ながらこのときのわたしには全く入ってこなかった。
たのしい妄想をありがとう。
でも実はちょっと、実験結果が気になっている。
使用済みの場合も、新品の場合も。
どなたか実験してくれたら、ぜひ結果を教えてください。
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