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腎機能評価のポイントとExcel版腎機能計算機

腎障害患者に薬剤が適切な投与量や投与方法で処方されているかを確認することは、薬剤師の重要な業務の1つです。

腎機能の検査値(推算糸球体濾過量(estimate glomerular filtration rate:eGFR)やクレアチニンクリアランス(creatinine clearance:CCr))について理解しておく必要があります。

標準化eGERの計算

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標準化eGFRを使用した場合、高齢者や著しく筋肉力の低下した患者(頸椎損傷や下肢切断など)では腎機能を過大評価する可能性があります。

そこで、体表面積(BSA)を用いて標準化eGFRを補正する必要があります。

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推定クレアチニンクリアランスの計算

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高齢や筋肉量が低下している場合、筋肉の分解産物であるクレアチニン値が低値となるため、腎機能を過大評価する恐れがあります。

血清クレアチニン値が0.6未満の場合はCre=0.6として計算する方法や、実測値に+0.2する方法などがあります。

腎機能評価のポイント

ベッドサイドで、患者を観察し血清Cre値の低下を来す筋肉量の低下等がないか確認する。

肥満患者の場合は、腎機能算出に用いる体重に『補正体重』または『理想体重』を用いる。

ST合剤やシメチジン等の尿細管におけるクレアチニン分泌を阻害する薬剤を服用していないか確認する。

末期腎不全を除く腎機能患者において、頸椎損傷や下肢切断、廃用症候群が見られる患者では、血清CreではなくシスタチンCの測定を検討する。

血清のシスタチンCは、腎機能を評価する1つの指標となります。CKD診療ガイド2012にシスタチンCによるeGFR推算式が発表されました。シスタチンCは、クレアチニンとは異なり、炎症、性差、筋肉量、などの影響はでづらいです。当院では、院内で測定しており、当日に結果がでます。しかし、甲状腺機能異常やステロイド、シクロスポリンなどによりシスタチンCの値に影響することが知られております。
本日血清cre上昇で紹介となった患者様が、cre eGFRとシスタチンC eGFRが乖離しておりました。cre eGFRがシスタチンC eGFRよりかなり低く、またLDL200超え、CK1000台、AST軽度上昇ということをヒントに重症の甲状腺機能低下症を診断しました。今回のcre上昇はmyopathyによる偽性AKIと考えられました。
甲状腺機能亢進症は、逆にシスタチンCが上昇し、乖離しますが、シスタチンCとcreの乖離で甲状腺機能亢進症を診断したケースの経験もあります。
亀田メディカルセンター|亀田総合病院 腎臓高血圧内科

投与量が体格用量(抗菌薬・抗がん薬などで 投与量がmg/kg や mg/m²基準)の場合には標準化 eGFRを使う。


上記の計算式を埋め込んだExcelを作成しました。以下からダウンロードできますのでご利用ください。

※計算結果や本ファイルによる損害等に関しては一切責任を負いません。


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