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3年のときを経て・・ついに!

みなさん、こんばんは。今日は満月のコンポントムからお届けしています。

今日はうれしいことがあったので。
(*いつも心震えることに満ちているのがSambor Villageですが。)

Sambor Village Hotelを引き継いで、次の8月でまる3年になります。
この間に、クメール正月を3回迎えたのですが、過去3回ずっとやりたくてでもできなかったことがあります。

それは・・Staff Trip!
年に1度みんな頑張ったね、お疲れ様!次の一年もがんばろうねー!という旅行。「みんなで喜びや楽しさを共有すること」が働く上でとっても大切なこの国でとても期待されている福利厚生?のひとつです。

過去2年、時節がくると「スタッフトリップ・・なんてムリですよね・・?」とどこからともなく聞こえてくるも、そのたびに私の悲しげな顔を見て「いいんです、そうですよね。わかってます!もっとお客さんくるようになったらね!」とみんなの方が大人になってくれるのがさらに切なかった。のだけど。

今月、3年のときを経て、ついにやります!
1泊2日、シェムリアップへのStaff Study Trip!!

昨日客室改装などの相談をしている時に未来の話になり「私たちはここが好きですよ。だから、できるだけ長く、この場所があってほしい」と言われ、ふっと緩んだ心の扉から「みんなでシェムリアップに行くの、どう?」という秘めていた一言がポロッと出たら、みんなの顔がみるみるキラキラキラっと輝き始め「いく!絶対!グループ(職場の連絡SNS)に流していいですか?!」と前のめりに話が進み。
かねてから、リストアップしていたみんなと行きたいホテル・お店・カフェを共有したら、夜には日程がきまり、今日には宿泊先も決まり、ランチの場所とメニューの設定が決まった。
みんなの心がもうシェムリアップに全力で向かっていますw

そして、今夜。このStaff Tripに先立ち、これまで3年間ホテルのレセプションに鎮座していた我が愛する素焼きのウサギのTip Boxを開封することに。
今日のカンボジアは、仏教の大事な儀式の日で、さらに満月でもある。素焼きのウサギには穴がないので、電ノコでお腹をカットして取り出し口を作らないと。10年以上前に焼き物で有名な隣の州から私の手元にきて以来ずっと一緒に暮らしたウサギなのでお腹に鋸を入れるのは忍びず・・。
こういう日に殺生をしちゃダメなんじゃない?
あれ?そもそも今日は仏様が生まれた日?それとも入滅された日だっけ?
ボス、決して命を奪う訳ではなく手術と同じです。今お腹にいっぱい溜まってるからウサギも苦しいですよ。とか冗談と真面目の間でやいのやいの言ったあと、
結局今日はお釈迦様が入滅された日で、ブッダ様が苦しい時に、ウサギが自らの身体を差し出した逸話があったよね。だからやっぱり今日やろう!
という不思議な意思決定をして、満月の下、ウサギが守ってくれていた3年分のお客様からのTipをみんなで数えました。

私はウサギのお腹の穴からお箸で紙幣(カンボジアは紙幣のみ)を取り出す係。箸で紙幣をつまみながらこの3年の場面の断面が浮かんでちょっとセンチメンタルになっていたのも束の間、目の前で額に汗をかきながら紙幣を整理して数えている(扇風機つけると紙幣が舞うので。夜でも外は36℃)スタッフたちをみて、「ああ、これをこうやってみんなでちゃんと受け取ることは、これはこれでひとつのとても大事な儀式なんだ」と思い直して今に集中。

開腹はウサギの底面から行われたので最初に出てくるのがもっとも古い3年もの、奥にいくにつれて新しくなっていくのだけれど、取り出す係の私には、はっきりとその変化がわかりました。古い時期はクメールの小額紙幣がたくさん、新しくなるにつれてリエル、US$を問わず、紙幣の額が大きくなっていく。

その変化に密かに気がついたとき、心が震えた。
ここに入っているのは「対価」としてこちらがいただくはずのものではなく、それを超えて溢れた部分。お客様が「対価を超えて届けたい」と思ってくれたものの集積。その金額が少しずつ大きくなっているということは、スタッフ一同が歩いてきたこの3年への、何よりの賞賛なんじゃないか。
そんなことを考えている間に、箸で掴んだ紙幣の中に登場した、まさかの100$。それをつまみだした時には、その場にいた全員、思わず声が出ました。

お客さんとのコミュニケーションが濃いタイプホテルで、その中でもお客様とのやりとりの機会が多いスタッフがその場に揃っていたけれど、この$100を入れてくれたお客様を誰も記憶していない。私も知らない。私たちの知らないタイミングで、そっと入れられた$100札。その瞬間を想像すると胸にくるものがありました。

こうして全ての紙幣をカウントしたら、総額$700以上。
「ボス、これでシェムリアップ行けますね」と差し出されたそれを
「そう、これはみんながこの3年やってきたことの証。これでシェムリアップ行こう」と受け取る。その様子を満月が見ていてくれる。

リーダーが動画をとりながら
「そうだよ、これは私たちの血と汗!だから全員で!シェムリいくよ!」と今日この場にいなかったメンバーに呼びかける。家の事情でくるのを躊躇っているメンバーへの檄だ。

「そっか、カンボジアでも血と汗っていうんだ。日本はそれに涙も入るよ。」
「言ってないけど、汗に混じって涙も入ってますよ」とか言ってワハハと笑う。

こうして舞台が整って、私たちは観光の都・シェムリアップに行きます。

行き先を楽しみにしている会話の流れに乗せて、
「Study Tripだけど、コピーしにいくんじゃない。私たちは私たちの確かなものを持っている。それと違う見せ方、届け方に出会ったときに、私たちが何を感じるかを試しに行こう。」とさりげなく伝えた時のみんなは、いい顔をしていた。

2023.5.5

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