見出し画像

Appleに恋して、Googleと付きあった

2年ほど前まで、Apple製品にかこまれていた。iPhone、iMac、iPad、Apple Watch、AirPods。AirTagはもっていなかったけれど、ほとんど時間の問題だった。買おっかな。いらないか。いやでも便利かも。

エコシステムの文字通り、生態系の末端にいちする消費者の一人として、迷いもなく従属していた。あ、MacBook Airも持ってたな、そういえば。

そんなある日、ポケットにAirPodsを入れたまま洗濯機を回してしまった。洗剤はもちろん柔軟剤も入っていたし、ドラム式なので乾燥までかけた。洗いたてのズボンのポケットに膨らみを見つけ、ツルツルになった(もともとツルツルしてますけどね)AirPods Proを手に取る。しかし、特別何も感じなかった。「潮時だな」という言葉がよぎった。

恋の終わり

いつからか、Appleのイベントにワクワクしなくなった。驚くような新商品、胸躍るような新機能、そういうものが少なくなったように感じていた。技術やイノベーションも高止まりするのだろうか。自転車が高級になればなるほど、数グラム程度の差しか生み出せないように。

それでも、あれほど焦がれたApple。毎回「次こそは」と期待するが、画素数とか防塵性とか「そこに数万円は払えないよ」という魅力しか見つけられない。加えて、なんだか妙にバッテリーの劣化が速くなったように感じた。手元のiPhoneにも、新発売のiPhoneにも、ガックリしてしまう。

そんな折、ふとiPhoneを見ていると、使っているアプリがGoogle製ばかりだと気付いた。Google Map、Google カレンダー、Google Photo。YouTubeも確かGoogleが買収していた。使いにくいけど、YouTube Musicも入っている。使いにくいけど。

Pixelにしようかな。どうしようかな。え、でもApple Watchは? AirPodsは? そうだよな、やっぱiPhoneがいいか。そんな折に訪れた、AirPodsの洗濯。エコシステムに小さな穴があき、そこから向こう側の景色が見えた。「Googleへようこそ」って書いてある。「いまなら実質2万円になるキャンペーン中」。

現実のはじまり

そうして、iPhoneはPixelに、Apple WatchはPixel Watchに、AirPods ProはPixel Buds Proになった。iMacとMacBook Airはそのままにした。

あんまり不満ないです。安いし、充電も劣化しにくいし。アクセサリー類が極端に少ないけど、あまりこだわりがないことが幸いしてストレスは感じなかった。充電もすべてUSB Type-Cなので持ち運びも便利。

何よりのメリットは、Googleのハードウェアにそれほど期待していないことだ。イベントも見ない。新製品もどうでもいい。新機能も、アップデートした際に知ることがほとんどだ。

盲目的に恋をしたApple。ちょうどいい距離で付き合えているGoogle。どっちが幸せなのかはよくわからない。どちらのスマホでも目立つ位置に居座っているAmazonが、じつは一番すごいのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?