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ホリエモン 東京改造計画と都知事選挙

2020年05月19日、ライブドア元社長として有名な堀江貴文氏が、05月30日に著書を発売すると発表された。時期的には東京都知事選挙にピタリと照準が合わされているように見えるが、この発表時点ではまだ、堀江氏からは東京都知事選挙への出馬の意向について語られてはいない。

以前からN国党 立花氏と近しい関係を見せている堀江氏だが、今回の著書発売に込められた狙いとはいかなるものなのか。

本記事では、05月30日に発売される堀江氏の著書「東京改造計画」を中心として、堀江氏とN国党 立花氏、及びその周辺の状況を見渡し、その思惑を考察してみたい。本記事の内容は、著書の内容検証ではなく、東京都知事選挙へ向けての私個人の主観と憶測が多くなるため、予測記事としてご覧いただきたい。また、必然的に「東京改造計画」の促販記事になってしまう部分もあるが、ご容赦願いたい。
(堀江貴文氏 個人の経歴や他情報についての詳細は Wikipedia 参照)

ホリエモンの著書 ベストセラーとは

2006年、所謂「ライブドア事件(証券取引法違反)」で逮捕された堀江氏は、およそ5年に及ぶ裁判の末、2011年04月に最高裁で懲役2年6か月の実刑判決が確定、2013年03月の仮釈放まで刑務所で刑に服していた。

出所後、2013年中に3冊の著書を出した。そのうちの3冊目である「ゼロ - なにもない自分に小さなイチを足していく 」が約40万部以上を売り上げる、堀江氏自身のベストセラーとなった。その後いくつもの著書が出されている中で、特に目立ったものは下記の通りだ。

ゼロ - なにもない自分に小さなイチを足していく
 約40万部(2013年11月01日 発売)
本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方
 約20万部(2015年12月04日 発売)
多動力
 約24万部(2017年05月27日 発売)
バカと付き合うな
 約16万部(2018年10月26日 発売 西野亮廣氏との共著)

経済本や啓発本などの平均初版発行部数は、(出版社の規模によるが)通常では、小さい出版社では2,000部~、大きい出版社では5,000部~、と見られており、初版1万部を超えるのはすでに期待されている作家や著名人のみと言われている。

しかし、堀江氏の場合、初版でいつも3万部が発行されるという。出版社や担当者の期待は、もうその数字だけで読み取れる。

そして今回の「東京改造計画」は、初版予定の3万部の予約をすでに終え、重版が決定したとされている。(界隈情報)
ベストセラーであった「ゼロ」の約40万部以降、約20万部前後で落ち着いているように見える部数がどこまで伸びるのか注目したいところだ。

東京改造計画と東京都知事選挙

今回の「東京改造計画」の発売時期は05月30日、東京都知事選挙の告示日である06月18日がすぐそこまで迫っている。そしてなんと、「東京改造計画」の中身は「東京都への緊急提言37項」とされている。(下図)

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ツイッター含めインターネットの中では、この提言を”マニフェスト”だと言う者もいる。「だから、堀江氏の東京都知事選挙への出馬は濃厚だ」と言うのだ。

本の中身がわからないため解説はできないが、示された提言をざっと見るだけで、何を言いたいのかは大よその検討がつく。(中にはいくつか想像が難しいものもあるが。)しかし、私がこれを見て最初に思ったことは、(新型ウィルス対策など緊急性のあるものを除き)「堀江氏は何十年先の東京を見ているのか」ということだった。

確かに、インターネット含め科学技術の進歩は目覚しいものがある。長い目で見れば、ゆくゆくはそうなっていくのであろうと思う項目はいくつもあるが、それでも、現実的に着手して進めるとなると、堀江氏が元気なうちにどこまで実現できるのかという疑問が浮かぶ。この疑問が浮かぶと、連れて次の疑問に気付く。「本当に東京都知事になって着手する気はあるのか?いやそもそも、当選する気があるのか?」

スーパービジネスマン 堀江貴文

堀江氏は、世間的に見ればすでに大富豪である。資産の詳細は明かされていないが、日頃から世界中を飛び回り、各地でゴルフを楽しんでいる印象が強いほどの大金持ちである。そんな人物が、東京都知事になりたいだろうか。

仮に、”当選する気は無いが都知事選挙に出る気はある”としよう。では、「なんのために?」という点を考えてみる。

まず思いつくのは、堀江氏が日頃から動画などで発言している”政治や行政への苦言”である。それを東京都知事選挙という機会と場を使い、人々へ向けて発信したいという想いがあるのかもしれない。
そして、日頃から近いと言われている”N国党 立花氏”への援護の意味合い。これは、次期衆院選で堀江氏の秘書を務める人物が出馬表明をしているために、その布石や手助けということも無いとは言えないだろう。

さらに言うと、「東京改造計画」のマーケティングの一環(だけ)である可能性も無視できない。堀江氏の資産までに想像を及ばせると、著書一冊の売上が少しばかり伸びようとそんなに気にするとは思えない。もちろん、売れて欲しいと思っているのは間違いないのであろうが、堀江氏の性格面を考慮しても、そこを重視しているとは考え難い。
しかし、”発売日を東京都知事選挙に合わせる”だけでマーケティング効果があるとすれば、それを利用しない堀江氏ではない。と、私は考えてしまう。

実際、上記の37項を”マニフェスト”だと言ったのは、堀江氏本人ではない。「提言」としているだけである。
もし、これを公約として出馬する気があるならば、以前から執拗に出馬要請をしてきたN国党 立花氏にその旨を伝えていない、なんてことがあるのだろうか。すでに立花氏自身は出馬表明をし、9つの公約も掲げているのだ。
(立花氏の公約については、N国党・立花孝志と東京都知事選挙 ① 参照)

立花氏は、当選しない前提とは言え、実現性の極めて薄い公約を掲げてしまったことで、またいくらかの信用と人気を失ったという声も散見される。そんな状況を見過ごしてまで、堀江氏は(出馬の意思があった場合)ここまで立花氏に話さないだろうか。立花氏は、「堀江氏が出馬するなら自分は応援に回るために出馬は取消す可能性はある」とまで言っているのだ。立花氏自身は、出馬表明をするだけで支持率低下の怖れもあるというのに。
普段から交友関係にあるいう堀江氏と立花氏だ。もし、「東京改造計画」の発売告知前に堀江氏に出馬の意向があったのならば、事前相談をして、立花氏があんな公約を掲げることは無かったと思うのだが。

あと残るは、”政治や行政への苦言”を言うための出馬だが、上記で述べたようなN国党 立花氏のマイナス点を考えると、それだけで出馬は無さそうにも思えるが、あの堀江氏のことだ。無いとも言えない。

ざっと思いつく点で考察を述べてみたが、以上のように私には「東京改造計画」の37項の提言をもって直ちに”出馬濃厚”とは思えないのだ。
もちろん、現時点で明かされていない戦略や、私が気付いていないこと、知らないこともあるだろう。だが、今までの状況を見る限りでは、”出馬が濃厚とは言えない”というのが私の見方だ。

もし、立花氏が9つの公約を掲げて出馬するところまで打ち合わせ済みで、立花氏自身の評判落ちも計算内だったなら、あの思いつきともとれる公約にも(納得はしないが)合点はいくのだが。本当に出馬したならば、堀江氏の株は上がると思われるが、N国党 立花氏への支持率の面での影響はどうなるのであろうか。

堀江氏本人の口から「あれは公約だ」や「出馬する」といった確定的な言葉を聞くまでは、むやみに判断せず成り行きを冷静に見ていきたい。


堀江氏の東京都知事選挙への出馬の意向がどちらであるせよ、「東京改造計画」のマーケティングとしては大成功だろう。
ただ本を出しただけではなく、あとは放っておいても、皆が東京都知事選挙への期待に絡めて広めてくれるのだ。この記事のように。

私もまた、堀江氏に踊らされた1人なのかもしれない。


ホリエモン 東京改造計画と都知事選挙(終)
→ ホリエモン新党と東京都知事選挙 ①
→ N国党・立花孝志と東京都知事選挙 ①