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ホリエモン新党と東京都知事選挙 ②

ホリエモン新党と東京都知事選挙 ①では、NHKから国民を守る党 立花孝志氏による新党「ホリエモン新党」の設立と記者会見、同時に行われた東京都港区長選挙への出馬会見について述べさせていただいた。

そして2020年06月07日、東京都港区長選挙の結果を受けて立花氏は何は思うのか。NHKから国民を守る党の党名ロンダリングだとの指摘も多いホリエモン新党の実態とは。本記事では、05月25日の都庁会見以降の彼ら動きを振り返りつつ、東京都知事選挙への展望までを考察していきたい。

踏み台 港区長選挙

まず、06月07日に投開票が行われた港区長選挙の結果は下記の通り。
たけい雅昭(現職/無所属):36,856票 得票率63.4%
いいだ佳宏(無所属):7,000票 得票率12.0%
大滝実(無所属):5,488票 得票率9.4%
きくち正彦(無所属):5,437票 得票率9.3%
柏井シゲタツ(ホリエモン新党):3,297票 得票率5.6%
事前の下馬評通り、現職区長の再当選となった。

05月25日の都庁会見を経て05月31日に告示日を迎え、始まった港区長選挙では、「N国党」と「ホリエモン新党」の両党を挙げて総力戦で挑むかたちとなった。連日の街頭演説には多くの「N国党関係者」や「HIU関係者」を伴い選挙運動が行われた。
※HIU = 堀江貴文イノベーション大学校(オンラインサロン)

当初から立花氏は、「当選しない」「都知事選のための宣伝」と公言していた。結果は上記の通り落選となったのだが、果たしてその宣伝効果はあったのだろうか。前回の港区長選挙に比べ、約6%上がったとされる投票率だが、結果を見る限りでは、上がった投票率の分が柏井氏に入ったとは言い難い。

ホリエモン新党の公約として掲げられたのは、堀江貴文氏の著書「東京改造計画」の37の提言である。柏井氏の掲げた公約はその中の「インターネット選挙の導入」などであったが、港区民の民意は得られなかったようだ。
今回、選挙運動には堀江貴文氏の応援は一切無かったという。

7,000票を獲得した”いいだ佳宏”氏は、2017年に「ホリエモン新党」と呼ばれた「地方議員ゼロの会」で東京都議会議員選挙に出馬したことのある人物である。奇しくも、新旧「ホリエモン新党」の激突となったわけだが、結果はご覧の通りだ。”いいだ佳宏”氏も、堀江貴文氏の応援は受けていない。

投開票当日の夜、N国党 立花氏を含む柏井氏陣営の姿は開票会場にあった。
22時を過ぎた頃、速報として発表された得票を見て一同は落胆。最終結果を待たずして解散し、会場を後にしていた。

ホリエモン新党の実態

ホリエモン新党の初戦となる港区長選挙を終え、投開票日の当日深夜に立花氏は、「新しく立ち上げた党だから、この結果は仕方が無い」と述べている。一般的に見ればその通りであるが、実際には、ホリエモン新党は誰も知らなかった新しい政治団体とはワケが違う。

公党であるN国党の全面協力の下で設立され、N国党と同様に広報され、N国党の関係者で構成されているのがホリエモン新党である。事実、港区長選挙の期間中、立花氏自身が連日柏井氏よりも目立って街頭演説を行い、それを手伝った者たちも皆N国党の立候補予定者や関係者たちなのだ。
これを知る者にとっては、とても「新しい党」として見ることはできない。また、知らなかった者にとっても見ればわかる「実質N国党」なのだ。

また、立花氏はこうも語っている。
「N国からの立候補予定者でも、ホリエモン新党から出れば良い」
インターネットのN国界隈内では今も指摘され続けている”N国党の党名ロンダリング”、それが現実味を帯びている。今後に控えている立花氏の刑事裁判(不正競争防止法違反・威力業務妨害罪)やN国党の現状の低い支持率などを考えると、抜け道を探っているようにも見える。

ホリエモン新党がこのまま落ちて行くN国党の関係者移籍先となるならば、おそらく何も変えることはできない。国民の目は節穴ではない。「N国党 = ホリエモン新党」だということにはすぐに気付く。そして、国民の目を欺こうとする手法を取り続ける限り、認められることは無い。
奇抜な方法を「正しい」と言い張る立花氏だが、90%以上の国民がそれに対して「No!」を突き付けていることに、いつになれば目を向けるのだろう。

堀江貴文氏のネームバリューを当てにしたかのような「ホリエモン新党」だが、その堀江貴文氏の名前を前面に出し、著書「東京改造計画」を公約として戦った割には、結果は思わしくないものであったように見える。東京都知事選挙への宣伝としても、「N国党 = ホリエモン新党」だという認識を広げてしまっただけなのではないだろうか。

昨今、「N国党から立候補をするなら無所属の方が良い」という意見も散見される。それほどにN国党と立花氏には、人気と信用が無くなってしまっている。N国党と立花氏がこれまで行ってきた”奇抜な戦略”は、いわゆる他人に犠牲を強いる方法であり、他者に迷惑をかける方法である。それらについての真摯な謝罪も釈明もせず、ただ「必要だった」という主張だけで許されるわけがないのだ。

ホリエモン新党に参加・協力するHIUメンバーの方々も、N国党と立花氏のこういった非人道的な側面を黙認・容認し続けるようであるならば、「N国党 = HIU」として見られてしまう可能性を自覚するべきだ。それはつまり、現状のN国党と立花氏の人気と信用が、そのまま自分たちに反映されるということに他ならない。

「東京都知事選挙では、自分の他に少なくとももう1人、もしくは2人出馬するかもしれない」と語った立花氏だが、同様のただ奇抜なだけの戦略は、もはや通用しない。なぜなら、”奇抜なことしかできない”と思われた時点ですでに、何をしても驚くことはなくなってしまっているのだから。

我関せず、堀江貴文氏

立花氏に担ぎ上げられようとしている堀江貴文氏は、ツイッターでこのように発言している。(原文そのまま)
「私が出す東京改造計画は、特定の政党や候補者を支援することを目的とするものではありません。また、私も特定の政党や候補者とは関係ありません。」

また、港区長選挙へ出馬した柏井氏についても、 
「命令も指示してません。自主的に立候補されたのだと思います。合意もなにもしてません」
と、自身の関与を否定したのだ。

N国党の立花氏と近しい関係にあると言われる堀江貴文氏だが、政党や候補者、または自身の立候補については一切明言しておらず、一貫して無関係を主張している。

05月25日の都庁会見を含め、当初の立花氏は「堀江貴文氏は都知事選に出ると確信している」と繰り返していたが、堀江貴文氏のこういった発言が出るに連れ、「出ると思う」「出ないかもしれない」「告示日までわからない」と変化しているのである。これについては立花氏だけでなく、N国党関係者の発言も同様に変化をしている。立花氏を含むN国党関係者の発言は、どこまでが思い込みで、何が真実なのだろうか。

堀江貴文氏の著書「東京改造計画」は、発表からわずか数日で重版発表され7万部までの増刷が決定しているというが、その後の続報は耳にしない。
堀江貴文氏にも一定数の固定ファンがいることや、著書の売上部数、堀江貴文氏のお膝元とも言われる港区長選挙の柏井氏の得票などを総合的に見てみると、例え堀江貴文氏が東京都知事選挙に出馬したとしても、ビジネス目的の売名以外に成果が得られるかは疑問だと言わざるを得ない。

堀江貴文氏は、自身のYoutubeでも著書「東京改造計画」の提言に纏わる内容の動画を数本上げているが、自身の東京都知事選挙の出馬に関しては、いずれも明言はされていない。というより、N国党やホリエモン新党、選挙については無関係の主張を崩していない。

これまでの成り行きだけを見ると、堀江貴文氏の東京都知事選挙への出馬は可能性が薄いように見える。果たして、予想外の事態は起こるのだろうか。
東京都知事選挙の告示日は、2020年06月18日である。


ホリエモン新党と東京都知事選挙 ②(終)
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