ミシェルウエルベックの『滅ぼす』を読んで考えた①
物語からしか得られない癒しがある
人には2種類ある。信じることができる人間とそうでない人間。この物語は信じることができない人間のためのものである。
何を信じるのかというとそれは純朴に“ある“ということに他ならない。
“ある“がまずなければこの世の全ては足場をなくし無価値で不安定なものとなる。
“ある“とはかつては神が担保したものだった。
しかし神なき今、人は足場のなさに耐えられず信じられる正しさを作り上げてしまう。
今回の小説でそれらは、主人公の妹の信じるキリスト教であり、妻