Reverb 13 まだ知られていないお店。そして消えていく空気。

日本の飲食店の変化を感じています。だからこそ安らぐ場所を作りたいです。

今回の日本出張において、日本の飲食の世界が変わってきたなあと本当に強く、強く感じます。
特に大きな変化として感じるのは「土地と人」です。

私が浅草や京都で働いていた時は、その土地にはその土地の産業があり、そしてその産業に関わる人たちがそれぞれ飲食を楽しむ世界がありました。産業の中に飲食が深く含まれていた感じです。

その点が変わってきたなあと思います。


先日、東京で2件のお店に連れて行って頂きました。


1件目はこちら「FOLKLORE」。有楽町のガード下です。佐野文彦さんデザインの素晴らしい内装。そしてお酒も本当に美しかったです。

私のイメージでは有楽町のガード下というのは、もっとカジュアル、というかこんなに綺麗ではなかったです。そして集う人々も会社員の皆様が多かったりしてこのような高級感を感じるお客様はあまりいらっしゃらないという印象がありました。


もう1件はこちら「鮨 忠(すしただ)」。

私のような寿司職人に馴染みの深い築地のお店です。現在、お仕事させて頂いている業者さんに連れて行って頂きました。まだあまり知られていない名店です。
こちらのお店もとても上品でした。


以前の築地はまさに職人の街。江戸っ子ならではの口調が飛び交うような街でした。
今は築地には市場はありません。現在の築地は銀座も近いので、再開発が進み若い成功した夫婦が住むようなマンション建設が進んでいると聞きました。
実際に歩いて、行き交う人々や街の空気が本当に変わったなあと感じました。


街というのは時と世情とともに変化していくものです。なぜなら街は「人が形成してるから」。なので知られていないお店を見つけること、そしてそのお店が繁盛していくことは素晴らしいこと。

同時に、その街の以前の空気を知っているとその空気の変化について寂しさというか複雑な気持ちになります。

私は現在、自分が「どこでも外国人」な感覚があります。どこにも属していない感覚です。マレーシアでは私はもちろん外国人。そして日本でもどこか外国人な感覚があります。同時に、私の中に「日本での自分の経験」が心に確実に残っています。心に残ってる経験というのは基本「良い思い出」のみ。なので余計に変化に対して複雑な気持ちを感じるのかもしれません。

これからの世界、激動の度合いが益々増していくと思います。心が穏やかでいられる空間がどんどん減っていくと思います。私のように「どこでも外国人」感を感じるような人も増えると思います。そういう人に「穏やかでいられる」空間を提供していきたいと改めて思います。

そのような穏やかな空間を必要だと強く実感してるのは、他でもない私自身だからかもしれません。


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