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また、お客さんに助けられた。

接客を通して気づくこと、学ぶことが多い。
というお話を以前しました。

一人で商売を切り盛りしていると、組織の誰かが監督してくれることはありませんので、全部自分で保守点検などをしていかなくてはなりません。

これが結構大変で、自分が「よい」と思っていることでも他人にとっては「よくない」わけで、価値観の違いが悪い結果を生むことも多々あります。

僕のお店には、Yamahana Discoverというコーヒー豆のサブスクリプションサービスがあります。月3000円で週1回100g好きな豆を送りますよ~というものです。

https://salvadorcoffee.stores.jp/items/5eb2706055fa035ed13e2cfb

最初は店頭のみのサービスでしたが、やはり毎週くる余裕がないお客さんも多く、いまは希望を聞いて毎週郵送でコーヒー豆をお届けしています。

中には1名、メールと一筆箋でいつも連絡を取り合っている方なんかもいて(なんだか文通みたいで楽しい)、その方に先日新商品のサンプルを提案しました。

最近流行ってきたティーバッグタイプのインスタントコーヒーです。

https://salvadorcoffee.stores.jp/items/5edf5823cee9ea6d651df2ab

宣伝っぽくなるのでアレなんですが、笑

「感想おまちしてまーす!」ってライトな感じでお手紙を添えて送ったところ、後日メールで感想が返ってきまして。

「(お湯に浸すだけなので)ドリップの手間もなく、仕事の流れを邪魔せず使いやすいと思った反面、レシピ通りに淹れても正解の味かどうか判断できなかったので、美味しく淹れる際のポイントをもっと知りたかった。」

ざっくり要約すると、こういう内容でした。

痛いところを突かれたなーと。

実は正直なところ、インスタントコーヒー資材って僕としては使いにくいなって思っていました。

だって僕らバリスタの日々仕事は、ハンドドリップとかエスプレッソマシンで美味しくコーヒーを抽出・提供することだから。

カップオンのドリップバッグとか、浸すコーヒーバッグとか、普段は扱わないし、家でも飲まないわけです。ましてや自分が作ったインスタントコーヒー、原価も高いし自分用に作ることとか無いわけで…。

コーヒー豆とお湯の比率とか、抽出にかける時間とか、そういうのは理論でわかって説明できても、実際の使用感とかは豆の銘柄によっても違うし、出たとこ勝負!みたいな側面がありました。

これについては、すごく反省しています。
商品開発の工程が甘かったなって。

お客さんが購入して楽しむ、最後までプロデュースするのも、僕の仕事なのだと気づかされました。

そこで今日の出勤時、すぐに実物を作りまして。

どうすれば誰でも、どこでも、確実に再現性がある、美味しいコーヒーになるのかということを徹底検証してみました。


まず指摘があった、お湯の温度について。

僕はコーヒー抽出時の温度は「正直何℃でもいい派」です。
全員が温度計持ってるわけじゃないから温度を指定する気になれないし、自分が飲みやすい温度帯で淹れればいいよ。という、ゆる派閥。笑

ただ、コーヒーバッグについては明確な温度基準がありそうでした。

沸騰直後のお湯(98℃)です。
 

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ハンドドリップにおいては沸騰直後のお湯はタブーとされることが多いのですが、要はコーヒーバッグ抽出の仕組みが「カッピング」と同じであるため、味を引き出すためには熱々のお湯を注ぐ必要がありました。そして、ガスを抜くために1分ほど蒸らします。紅茶と一緒で、これをやると飛躍的にフレーバーが開きます。


そして次に一番難しい「何分で取り出すのが正解なのか」ということ。

フレンチプレスやカッピングにおいては、「4分」が一つの基準になっています。つまり熱湯に4分、コーヒーの粉をつけておけば、理論上は完成ということになります。

ですが、コーヒーバッグの特性上、「お湯に積極的に触れている粉」と「内側に隠れている粉」が出てきます。これは「抽出効率」という言葉で説明されるのですが、バッグの体積が少ないために粉がジャンプできず、お湯に触れることが出来ないのです。つまり抽出効率が、あまりよくない。

これじゃあ4分で完成するわけないんです。

じゃあ、いつまで浸しておけばいいのさ?
という疑問を解決するために、浸しっぱなしで30秒ごとに味見をしてみました。

コーヒーのカッピングでも同じことが起こるのですが、
極論、「豆によって美味しい時間帯が違う」が結論です。

だいたい8分~15分の間は美味しい。それ以降は雑味が出てきます。

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これらの結果を踏まえて、今後のレシピの書き方を変えます。

沸騰直後のお湯に浸して、4分以降で、美味しいと感じたらバッグを取り出してください。

無責任極まりないレシピですが、これが正解な気がしました。


前回の、オンラインストアのフィードバックの件もそうでしたが、有用な意見や率直な感想をくれる優しいお客さんがいてくれることに、感謝しかありません。本当に助けられているなと感じます。

いつだって僕は、お客さんと対等な目線や立場でお店を続けていきたいし、こういう双方の意見交換を大切にしていきたいなと改めて思うのでした。


コーヒーバッグのセール期間は6月末まで。
どうぞお試しください!(突然の宣伝)

https://salvadorcoffee.stores.jp/items/5edf5823cee9ea6d651df2ab


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