CSOが語る新たなパーパスと策定プロセス
2023年10月に創業15周年を迎えたソルトワークス。
この度「ありそうでなかった体験で小さな幸せをつくる」という新しいパーパスを策定しました。
時の流れとともに、自分たちの価値観や目指すものが少しずつ変わってきたこの15年。節目にあわせて刷新されたパーパスは、今大切にしたい想いを言語化し、5年先10年先までソルトワークスが歩んでいくための新たな道標となりました。
ここでは、パーパス策定に至った経緯やねらい、そして新たなパーパスとともに定義されたMISSION、VISION、VALUEについて執行役員の飛雄馬からご紹介します。
パーパス再定義に至った経緯
始まりは、「現行のパーパスは目指したい企業像にフィットしているんだろうか?」という根源的な疑問からでした。
というのも、じつは自身が執行役員になってから常に払拭できない懸念がありました。それはパーパスに則った評価基準によって評価されてこの役職へ任命されたにもかかわらず、自分自身、現行パーパスがしっくりきていなかったということ。これは問題だと率直に思いました。なぜならば、本来全スタッフの行動・精神的な指針になるためのパーパスが実質的に機能していないことと同じだからです。
組織的な指針が不安定なこの状況は、内部的にはスタッフを行き先のわからないバスに乗せているようなもので、外部的にも弊社の理念に共感しづらいものになってしまっていました。
そこで、創業から15周年の節目にパーパスを見直し、全スタッフにとって大事にしたいと思うことができ、これからのソルトワークスの道標としてふさわしい内容のものに作り変えることを決断しました。
策定のポイント
新パーパスの策定にあたって大きく分けて3点を意識しました。
ひとつずつ、もう少し砕いた説明をしていきます。
①経営層を中心として作成すること
これに関しては、巷で言われるようなパーパス設定のセオリーとは違うものであることを前提とし、構想から明文化まで一貫して経営陣で取り組みました。
一般的にパーパス設定にあたっては、組織の多くの人が関わりそれぞれの納得感を集約して作成されることが良しとされている印象ですが、これを実行することは現状のソルトワークスにおいては難易度が非常に高いと考えました。
理由としては、立場の違いからくる視座の高低差です。多くの人が考えを持ち寄れば、それだけ多様な意見が集約されることは当然ですが、その分、平均化され玉虫色な成果物になることが予想できます。
ただでさえ抽象度が高くなりがちなパーパスの策定において、これは望ましい成果を生まないだろうと判断しました。
現状のソルトワークスに必要なものは「明確な指針」ですので、今回の策定はあえて経営層によるトップダウン方式を採用し、上層レイヤーの意思と責任においてパーパスを再定義しました。
②抽象度が高い最上位思想のパーパスに対して付随する概念が美しく統合されていること
少し難しい言い回しをしていますが、経営理念の最上位に据えられるパーパスに対して付随するミッション(私たちがすること)、ビジョン(目指す理想)、バリュー(行動指針)のそれぞれが無理なく繋がることをイメージした設計を意識しました。
パーパスとその他の概念が分断されているようでは「明確な指針」とはいえず、なによりもソルトワークス内で創発される全てのプロセス(行動)はパーパスの為に存在する必要があるからです。
③すべてのステークホルダーに対してその効果が適用されるものであること
パーパスは「企業の社会的意義や志」を表現するものであるから、その波及効果は言わずもがな企業の内外に影響するものと考えます。つまりあらゆるステークホルダーに対して表明、約束されるものです。
従業員とその家族はもちろん、私たちのサービスを利用してくださる一般のお客様、取引先、仕入れ先…ソルトワークスの企業活動とご縁のある人と、これから関わるすべて人々に対して、自分たちは何を示すべきなのか?を悩み抜きました。
上記3点を踏まえ、経営層(役員+ゼネラルマネージャー)による経営合宿を実施しました。これまでの自社のヒストリーや変えるべきではない価値観、なぜそれまでのパーパスが有名無実な状態となってしまったのか?など深掘りする作業から始め、新パーパスの適用時に同じ轍を踏まないための対策・具体的な運用面の検討まで、議論は深夜にまで及びました。
そうしてついに2024年1月、新たなパーパスが形になりました。
新たなパーパスの紹介
こちらが再定義されたパーパス+付随の理念です。
以下内容はソルトワークスのコーポレートサイト内でも「Culture Deck」として公開しています。
【Purpose】経営理念
【Mission】 私たちがすること
【Vision】 目指す理想
【Value】 行動指針
上記、新パーパスの定義においては大きなテーマがありました。
それは「人の創発・内発的な行動によって組織をつくる」ことを理想にしようというもの。
コーポレートサイトにも記載の通り、私たちは「ワクワクをふやす企画設計集団」を表明しており、クリエイターやエンジニア、マーケターなどが多く在籍する組織です。ビジネスを生み出すという過程の全般においてクリエイティビティであることを目指し、それを叶える環境を整備することが経営層の責務となります。
その上で、所属する個々が創出するポジティブなエネルギーと行動の積み重ねによって、この組織が実現するのだと考えています。
経営プラクティス
さて、実際にパーパス他の経営理念が決定されたわけですが、その性質上どうしても抽象度が高いものであるため、このまま現場に展開したところで「具体的に何をどうしていけばいいのか?」という現実問題にぶつかることは容易に想像がつきます。
そこで、現場レイヤーが実際にどうパーパスを具現化していくかを定めた施策案、いわゆる「経営プラクティス」までを作成することにしました。それがこちら。
(1)起業家精神の醸成とイノベーションの促進
(2)ユニット間の協同、リソースの共有(知識・スキルの移転と活用)
(3)資本の活用&配分、財務業績の達成
上記3つのカテゴリに分け、前述の経営理念を体現する具体的な施策案を複数設計しました。
経営戦略上すべてはご紹介できませんが、例えばソルトワークス独自の社内公募システム「SALTQUEST(ソルトクエスト)」がこの取り組みのひとつとなります。
SALTQUESTはプロジェクトへの協力、社内イベントへのサポート、社内調査協力など、不特定多数のサポートを求めたいスタッフ個人が、社内の全従業員に対して自由に協力要請をすることが可能な仕組みです。弊社はシステムエンジニアが多数在籍していますので、独自で公募システムを構築しました。
このSALTQUESTの取り組みは、上記でいうところの
(1)起業家精神の醸成とイノベーションの促進
(2)ユニット間の協同、リソースの共有(知識・スキルの移転と活用)
の2つのカテゴリにまたがった効果を期待する施策であり、以下のような効果を実際にもたらしています。
自分の専門分野外の協力も得たイノベーションの促進
職掌やプロジェクトチーム間を越えたスキル、知識の共有
社内交流の活発化によるエンゲージメント強化
リソース配分の適正化
人事評価時にこれまで経営層に伝わりづらかった積極性や組織への貢献を加点評価
これら、施策自体が持つ効果をいかにして経営理念の大上段であるパーパスまで昇華させることができるか?今後も丁寧に効果検証していく必要があります。
これからも不断の挑戦により、より良い組織作りを推進します。
おわりに
実際のところ高い理想を言語化するパーパス経営は美しく、魅力的なものにみえると思います。
しかし、ひとつ間違えばただお題目、スローガンを掲げ誰の心にも届かないもので終わってしまいます。
そうならないためにも、常にパーパスに対して関わる人すべてが行動でエネルギーを与え続けることができるのか?が分水嶺になると私は考えます。
パーパスに命を吹き込み続ける組織を今後も創り続けたいと思います。
今回は、ソルトワークスのパーパスを始めとした新経営理念についてCSOの言葉でお届けしました。
いつもより小難しい話になりましたが、少しでも弊社への理解が深まったり、パーパス策定の参考になったりしたら嬉しく思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!