デキる大人は時計をしない
時計といえば、靴同様にその人を表すお道具の一つ。
特に高級腕時計などはステイタスを表すものとして存在することもあり、いうなれば「自分の顔」のような存在。
洗練されたフェイスの時計を身に付けている男性はとてもカッコよくて素敵ですね。もちろん、男性のみならず女性もファッショナブルで素敵な時計を身に付けているワーキングウーマンも多いことでしょう。
でもその大切な「顔」のような存在の腕時計も外すのが大人の流儀、というシーンがあります。
そう、日本食のお店に入店するときです。
なぜ時計を外すことが推奨されるのか
料亭やお寿司屋さんに代表されるような「和」のお店と、洋風のレストランで決定的に違うもののひとつがテーブルクロスの有無です。
テーブルクロスで覆われたダイニングテーブルは宝飾品や時計を身に付けていてもテーブルそのものに傷をつける恐れはかなり低いですが、
和のお店の多くはそうした覆いがありません。
白木の一枚板のカウンターや漆塗の座卓や折敷(おしき)といったものが主流です。
そしてこれらはとても傷つきやすいのです。
大きなフェイスの時計をしたままでカウンターにうっかり手を置くことで柔らかな白木は簡単に凹んでしまいかねませんし、リューズがこすれて漆塗りに傷を付けたり塗装をはがしてしまうこともあります。
そうした「うっかり」でお店の大切なお道具を傷つけない配慮があるのが望ましいので、日本食のお店を訪れる際には入店前に時計を外すのがスマート。
もちろん、時計だけではなく、女性の場合は指輪やブレスレットなどの装飾品も同様に外します。
この為、特に女性は細やかなアクセサリー類を紛失しないようにちょっとしたアクセサリーポーチを普段からお持ちになられると重宝します。
時計を見る=時間を気にしている
和食のお店に行くとき以外にも時計を外すことが推奨される場面があります。
それは、パーティーなどのお席。
特にお慶びの席で腕時計をしていると「時間を気にしている」と捉えられる向きがあります。
そしてそうしたお席で時計にチラッと視線を走らせているところを主催者が見かけた場合「退屈させてしまっているのではないだろうか」とか
「次の用事があるのかな?時間は大丈夫だろうか?」などなど、不要な気遣いをさせてしまかねません。
特にホテルやレストランなどの会場を利用してのパーティーは開始時間と同様に終了時間もはっきりしていますので、時計を外すことは時間を気にすることなく「イマココのこの場を楽しんでいます」ということを表現することにもつながります。
では絶対に時計をしてはいけないのか?
といいますと「絶対」ではありません。
さまざまな事由で時計を身に付けていたい方もいらっしゃるでしょう。
ただ、そうして時計を身に付けたままパーティーへご出席される場合も、お開きになるまでは時計に視線を走らせることのないように配慮できると素敵です。
TPOにあわせる
マナー全般にいえることですが、大切なのはTPOに配慮する、ということです。
稀に、極端なご意見をお見掛けすることもありますが、「腕時計を一切するな」ということではなく、場(お店など)に合わせて、必要に応じて腕時計をさりげなく外す配慮ができるととてもスマートですし、その理由まで理解していると入店後もうつわへの配慮などが変わって参ります。
ビジネスシーンではカッコよく時計を身に付け、和の設えの場ではさりげなく外す。
それができるのはとてもスマートな大人の紳士淑女の証しともいえるでしょう。
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