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「ぱいぱーい!」
というのは末の甥っ子がまだ幼すぎてことばがうまく扱えないときのことばです。かわいらし過ぎて「乾杯」と聞くと、今だに心の内で「ぱいぱーい」と言ってしまうわたくしです(笑)。
彼はグラスをコツンと合わせて「乾杯」するというのが好きな様子でした。

非常事態宣言からこのかた、こうしてみんなでグラスを傾けるシーンはなかなかなかったと思いますが、もしかするとあす、21日に段階的な解除が発表されればまたこうして皆さまと対面で会い、お酒を酌み交わせるようになるのでしょう。

さて、この乾杯ですが、すでにご存じの方も多いかと思いますが、本来はグラスをぶつけ合うものではないのですね。

グラスはお互いに目線の高さに掲げ、会釈し合ってから飲むのが正式なマナー。

隣人同士でたまにカチリとグラスを合わせることはあっても、居酒屋さんでよくあるようにみんなでガッシャンガッシャンとぶつけ合うのはNGです。
特に繊細なワイングラスはそんなことを重ねていればあっという間にヒビが入ったり割れてしまったりと大変。
マナーはひとだけではなく、モノへの愛も行動で示します。
ワイングラスを大切に扱う、ということを行動に移すと、勢いよくぶつけ合うことは自ずとできなくなります。

では、あのぶつけ合う行為はどこから来たのか...?

通説はいくつかありますが、ひとつは大航海時代のヨーロッパにルーツが遡ります。
当時は航海技術が発達し、列強各国がどんどんと海に乗り出した時代。
ただ、いくら航海技術や造船技術が発達したところで16世紀当時のそれは現代とは比べ物にならず、大海原に乗り出して生きて戻ってこられる確率はまだまだ低かった。

海にはセイレーンと呼ばれる魔物が住んでおり、船を遭難させるのだと思われていました。
そこで登場するのがあの威勢のいい「乾杯」。

古今東西、おもしろいもので人間は「音」で「魔」を払えると考える傾向にあります。
そして当時の船乗りたちが使う杯は繊細なガラス製ではなく、錫などの丈夫な材質のもの。
彼らはお互いの無事の帰還を祈って、杯をぶつけ合い、高らかに音を鳴らして魔を払った訳です。
因みにこちらが16世紀から18世紀に主流だった飲み物を入れるお道具(ビールジョッキの原型)。

でも今はそういう時代ではありませんよね。
そしてこれまではこうした乾杯で親交を深めることもありましたが、
アフターコロナではこうしてグラス同士をぶつけ合うことは感染症予防の意味でも行われなくなるかもしれません。

これを機会に現代のプロトコール・マナーに則った乾杯に変えていくのもひとつの流れとして良いかもしれませんね。

乾杯ではお互いに目線の高さに杯を掲げ、会釈をする。

ぜひ試してみてくださいね。


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