見出し画像

2022.7.28 台湾人から見た安倍晋三

安倍元首相が亡くなってから、台湾では多くの場所に献花台が設けられました。

出所:日本台湾交流協会Facebook

献花台の横に置かれたボードには、あっという間に、安倍元首相への思いがぎっしりと書き込まれ、それ以上書き込めなくなると、付箋を貼ってメッセージが寄せられました。

日本人と同じくらい、台湾人も深い悲しみを抱いていることが伝わる光景ではないでしょうか。

今回は、台湾人から見た安倍元首相は、どのような存在だったのかを書き綴っていこうと思います。


凶弾に倒れた安倍元首相

7月8日、安倍晋三元首相が凶弾に倒れました。

今でも信じられない気持ちでいっぱいの方が、多数いらっしゃいます。

事件が起きた時、私はいつものようにPCのキーボードをカタカタと叩いていましたが、台湾の友人から電話をもらい、その時に初めて事件のことを知りました。

その後、次から次へと色んな台湾の友人から、
「今、安倍さんはどうなっているんですか?」
「安倍さんは大丈夫なのですか?」
といった連絡を受けました。

それだけ、台湾人は今回の銃撃事件にショックを受けていました。

ご逝去の一報を受けて、台湾で一番高いビルの台北101では、安倍さんに対する追悼と、これまでの感謝のメッセージが映し出されました。

全ての台湾人が、彼を失って大きな喪失感と悲しみに包まれていたといいます。

世界各国の首脳が、追悼のコメントを発表していますが、恐らく今回の事件で日本の人々と同じように深く悲しんでいるのは台湾だけだ、とコメントされた台湾の方もいます。

安倍さんは、台湾にとってそれだけ特別な存在でした。

なぜ台湾にとって安倍元首相が大切なのか?

最後に、友人の台湾人が、安倍元首相のことを大切に思う3つの理由を語ってくれた内容を紹介したいと思います。

①戦後初めて台湾と向き合ってくれた日本の政治家

安倍さん以外にも、台湾を好きな日本の政治家はたくさんいます。

しかし、台湾に訪問したときは友好的であっても、彼らのほとんどは政治の場になると台湾のことを口にしなくなります。

中国に配慮して、なるべく台湾の話題を避けようとするのです。

しかし、安倍さんは違います。

彼はインド太平洋戦略を打ち出し、中国と戦う路線を明確にしました。

そして、その戦略は台湾の存在なしには語ることができません。

安倍さんは、今まで他の政治家が避けてきた台湾の話題を堂々とコメントしてくれるようになりました。

2016年に台湾・台南の地震が起きたとき、真っ先に救援を送ってくれたのも安倍元首相でした。

②李登輝元総統の存在

安倍さんは、かつて台湾の李登輝さんを自分の政治の師だと語ったことがあります。

実際に彼は李登輝さんと頻繁に話をし、アジアの情勢や政治の大局観を色々と学んでいたのです。

彼らはまさしく、一種の師匠と弟子の関係にありました。

そして、歴史的には台湾と日本も同じように師弟の関係にあったのです。

師である日本と、弟子である台湾。

一方で、安倍さんと李登輝さんは逆の関係です。

この師弟の絆は、台湾人と安倍さんの間にも深い絆を作りました。

③安倍さんの台湾に対する深い愛情

安倍さんが2回目の首相に就任する1年前に、台湾のある安全保障会議に参加してこんな発言をしました。

「私は過去に何度もこの地を訪れていますが、飛行機を降りるたびに故郷に戻ってきたような気持ちになります。私が祖国日本以外で心の底から、そのように感じる場所は世界で台湾をおいて他にありません。」

これは、政治家人生の中で、台湾を日本の友人として大切にしてくれた安倍さんの本心ではないかと思います。

台湾を深く愛してくれた安倍さんは、台湾人にとっては、いわば家族の一員であり、かけがえのない存在でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?