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2020.5.26 中国の疫病が変えた世界史⑧

適度な距離

日本はもっとグローバリゼーションを推し進めなければならないと多くの人が言います。

そして、グローバリゼーションとは無条件に良いものと我々日本人は受け止めてしまいがちです。

それは古代中国崇拝、欧米崇拝の伝統があるからです。

グローバリゼーションの始まりの一つは、モンゴル帝国による中国大陸からヨーロッパまでの東西通商が盛んになったからですが、この時に同時にペストが中国からシルクロードを通って中世ヨーロッパに運ばれ、壊滅的打撃を与えた事を考え合わせないといけません。

「光あれば影あり」という我々の常識を思いだしましょう。

グローバリゼーションにも、当然ながら影の部分があります。

「14億の巨大市場」
「安価で良質、無尽蔵の労働力」
に魅せられて日本企業の中国進出が続き、日中の経済は史上かつてないほどに一体化しつつありますが、無数の「東亜の病夫」との一体化までは何としても避けなければなりません。

日本列島は中国大陸とは日本海で隔てられ、遠からず近からずの「適度な距離」にあります。

私たちの父祖はこの適度な距離を利用して、巧みに中国文明の中から文字や仏教、儒教、書画、茶などの良い部分のみを選択的に輸入し、同時にアヘンや宦官、戦乱など悪しきものは頑なに拒んできた歴史があります。

グローバリゼーションが声高に叫ばれる現代こそ「適度な距離」という伝統的な叡智を思い起こすべきでしょう。

おわり

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