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2023.5.21 IQ180のエリートがオウムに洗脳されたワケ

28年前の5月16日は何の日だったか、ご存知でしょうか?

この日は、オウム真理教教祖であった麻原彰晃こと松本智津夫が逮捕された日です。

霞が関の地下鉄駅内の閉鎖的な空間で、猛毒の神経ガスのサリンが散布され、多大な犠牲者を出した事件…。

このような狂気的な事件を聞くと、どうせ頭が悪く、精神が狂った人間らが起こしたと思われるのかもしれません。
しかし、その主犯格は、“つい数ヶ月前まではただ一般人”だったのです。

この事件を引き起こしたのは、医師として活躍していたり、会社員として評価されていたり、著名な大学や大学院で学んでいるなど、日本の将来を背負っていく人間がほとんどだったのです…。

では、なぜ彼らのようなエリートが自分のおぞましい行為に歯止めをかけられず、殺人まで犯してしまったのでしょうか?

実は、これは“目に見えない大変恐ろしい強大な悪魔”によって引き起こされました。

その悪魔によって人々は、思考が停止し、理性を失ったゾンビのようになり、一般人であったら絶対にしないこともするようになり、最終的には破滅の道を歩んでいくことになるのです…。

さらに厄介なことに、この悪魔は“人々が気づかないうちに忍び寄り、取り憑く面倒な存在”なのです…。

とても恐ろしいと思われたかもしれません。
しかし、私たちも例外ではありません。

その危険な悪魔は、私たちが生きる現代においても潜んでいます。

最近の例で挙げると…、

・ごく普通の大学生がバイト感覚で凶悪な犯罪に手を染めてしまった『ルフィー』強盗事件

・ごく普通の家庭が悪徳宗教に染まり、約3000万円ほどの聖書を買うなど高額献金をして、家庭崩壊を招いた統一教会問題

等々…、ここで紹介したもの全ては、その凶悪な悪魔によって引き起こされたものなのです。

では、この悪魔の正体とは一体なんなのでしょうか?

その悪魔は、お金欲しさから来るものではありません。
人のエゴからでも来るものありません。
世の中に対する嫌悪感から来るものでもありません。

今回は、その危険な悪魔の正体を書き綴っていこうと思います。


「世界を救うために、この世に不必要な人間を全て殺してしまおう」

貴方は地下鉄サリン事件をご存知でしょうか?

今から28年前の1995年3月20日、通勤ラッシュの真っ最中である午前8時頃、この狂気的な事件は発生しました。

中央省庁が集まる“霞ヶ関”を通る複数の地下鉄の路線内で、化学兵器としても使用される猛毒の神経ガスであるサリンが散布されたのです。
この無差別テロに巻き込まれたのは、通勤中のサラリーマンや通学中の学生たち。
もちろん、国家犯罪に値する罪など犯していません。

「人が倒れた!」
「電車を止めてくれ!」

車内で飛び交う叫び声に、緊急事態を知らせるベルが鳴り響く。

電車が駅に到着すると、開いたドアから複数の乗客が、口から泡を吹きながら転がり出てきました。
駅構内には刺激臭が広がる。

ホームには命からがら、サリンの散布された車両から這いつくばって抜け出してきた人が、山のようになっています。

駅の地上出口では、男性が自分の吐瀉としゃ物でスーツを汚して倒れていたり、紫色が買った顔色で目が半開きの男性が仰向けになって倒れていたりと、新聞紙面を飾った『地獄絵図』や『戦場』の文字が陳腐に思えるほど、あまりにも凄惨な現場でした。

死者は14人、約6300人が負傷した地下鉄サリン事件。
この同時多発的な無差別テロを引き起こしたのはオウム真理教です。

麻原彰晃を教組として急速に信者を増やしていた新興カルト教団は、
「世界の終わりが近い。オウムにいないと助からない」
と喧伝し、日本国家を滅亡させるためのステップとして、この事件を起こしたと言われています。

世界初の化学兵器テロ、国内史上最悪の無差別殺人事件は、日本だけでなく世界にまで衝撃を与え、海外の主要紙の一面を連日飾りました。

しかし、オウム真理教の起こした悍ましい事件は、これだけではありません。

オウムに入信した信者の家族からの相談をきっかけに、教団の反社会性を批判する活動を展開した坂本弁護士一家を横浜市の自宅で殺害した事件や教団支部建設に反対運動が起こった長野県松本市の住宅街で、サリンを散布。
住民8人が死亡、600人が負傷した松本サリン事件。

未遂に終わったものの、敵対する宗教団体の指導者やオウム真理教関連の批評をする評論家を殺害しようとしたり、炭菌やボツリヌス菌を使った生物兵器テロ事件を企てたりもしていました…。

麻原彰晃は宗教を隠れ蓑に日本を乗っ取り、自らその王として君臨するという野望を抱き、それを現実化しようとする過程で、世界各国での軍事訓練や軍事ヘリコプターの調達、自動小銃の密造や化学兵器の生産をも行い武装化し、このような一連の事件を起こしたのです。

判明しているだけで45の事件を起こし、29名の尊い命が奪われ、7000名近くが負傷。

特に、2つのサリン事件の被害者は今でも、酷い後遺症に悩まされています。

低酸素脳症によって全身に麻痺が残り、亡くなるまで寝たきりの生活を強いられている方や視力に障害を持った被害者も多く、失明した方もいるといいます。

ここまでの話を読まれて、貴方はどう思われたでしょうか?

オウム真理教が起こした狂気的で反社会的な事件を聞くと、どうせ頭が悪く、精神が狂った人間らが起こしたものだろうと思ったかもしれません。

「常識のある人間が、こんな事件を数々も引き起こすわけがないから、非常識な人間の集団だ」
と、考える方もいるかもしれません。

しかし、実際はそうではありません。

これらの事件を引き起こしたのは、東京大学や京都大学、大阪大学といった、日本でもトップクラスの大学を卒業したエリートたちでした。

例えば、地下鉄サリン事件の実行犯である元幹部の林郁夫いくおがいます。

林郁夫(引用元:FNN)

慶應大学の医学部を卒業後、医師となり、心臓外科の名医として活躍していた彼は、言わずもがなスーパーエリートでした。
彼は臨床医として癌などの死病の患者と接するうちに、現代医学や科学が乗り越えられない『死』に対して、深く考えるようになっていったといいます。
手術は出来ても人の心は救えないと悩んでいた彼は、予防医学の重要さを認識するようになりました。

心臓病などはストレスと深く関わっていると認識し、患者にヨーガや瞑想法、呼吸法などを紹介したりしていました。
そんな中で、偶々たまたま立ち寄った書店で麻原彰晃の著書と出会い、そこに書かれたヨーガや修行の記事に強い衝撃を受け、次第に傾倒していったといいます。

そして気付いた頃には、妻と子供2人を連れて一家4人でオウム真理教へ…。
全財産8000万円と車2台を教団のお布施として寄付し、地位も名誉も全てなげうっての入信でした。

人の命を救ってきた心臓外科医の名医が殺人犯になるという、まさに転落人生でした。

しかし、それは彼だけではありません。

他にも坂本弁護士一家殺害の実行犯であり、地下鉄サリン事件に使用されたサリンの製造に関わった中川智正ともまさも同じです。

中川智正(引用元:ANN)

彼は、オウムに入信する前は患者に優しく親切と、評判の医師でした。

しかし、入信して、たった2ヶ月で坂本弁護士一家殺害の実行犯となりました。
医師として順風満帆なキャリアを歩み始めていたエリートも、オウムへの入信をきっかけに、合計25人の殺人に関与した死刑囚となってしまいました。

彼らのようにオウム真理教に入信するまでは、医師として活躍していたり、会社員として評価されていたり、或いは著名な大学、大学院で学んでいるなど、将来を期待されていた人間がほとんどだったのです。

これを知って貴方は不思議に思いませんか?

なぜ、このようなエリート街道を歩んできた人間が、破壊的な新興カルト宗教に入信してしまったのか?と。

それは恐らく、当時の社会情勢が関与しているのでしょう。
オウム真理教が日本で勢力を拡大していた頃、オイルショックが到来し、経済状況が不安定だったことに加えて、『ノストラダムスの大予言』では、1999年には世界が破滅すると予言されていました。

さらに、将来的に日本列島は、必然的に沈没するかのように描かれたSF小説『日本沈没』が出るなど、日本や世界が終わるという終末の世界観を学生から大人までもが持っており、日本全体が不安に覆われていました。
何かにすがりたいという思いから、麻原に救いを求めてオウム真理教に入信してしまうのは仕方がない状況だったのかもしれません。

しかし、なぜエリートの彼らが自分たちの悍ましい行為に歯止めを掛けられず、殺人まで犯してしまったのでしょうか?

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