2022.12.14ロシアから学ぶ日本に“必要なもの”
今回の記事は、
“長期で見ることの大切さ”
という内容で書いていこうと思います。
今回の記事を読んで頂ければ、
“国益や世界情勢を読み解く際に、長期的な視点が重要になる”
ことが分かります。
皆さんにとっても興味深い話かと思いますので、是非最後までお付き合い頂けると幸いです。
少し遡りますが、朝日新聞DIGITALの2022年7月7日の記事から取り上げます。
<世界の10人に1人が飢餓の影響にさらされている――。
そんな報告書を国連の5機関が6日、発表した。
飢餓人口は2021年に約8億2800万人にのぼり、前年から約4600万人増えたという。>
記事にも取り上げられている通り、世界の飢餓人口は、8億2800万人だそうです。
そして、まず“年”に注目して下さい。
これは前年、“2021年”の数字です。
つまり、ウクライナ侵攻の影響はカウントされていません。
また、同記事の後文には、
<ロシアのウクライナ侵攻による影響で、さらに状況が悪化するとの懸念も出ている。>
とあります。
現状、ロシアが海上封鎖したことで、ウクライナのオデッサ港が使えなくなっています。
世界5位の小麦輸出国ウクライナが輸出できない。
それで、16億人に影響が出ると国連は見ています。
つまり、今年は飢餓人口が倍増する可能性があります。
長期で見ることの大切さ
国家とは、『常に国益から考える』こと。
これが基本です。
さらに、『国益』にも、『短期的国益』と『長期的国益』があることを意識する必要があります。
『食糧問題』の観点から、短期の国益と長期の国益とは何でしょうか?
まず、短期の国益は『食糧自由貿易論』です。
例えば、
「日本のコメは外国産より何倍も高い。だから、自由化すればいい。するとコメが安くなって、国民の手元に残るお金が増えて、みんな幸せになる」
もし、これが現実になると、コメを生産している農家は、ほぼ全滅するでしょう。
これに関して賛同する人は、
「農家は日本の人口の〇%に過ぎない」
などといってスルーします。
これが、『短期的国益』です。
では、長期的国益は何でしょうか?
それは、『食糧安保論』です。
現在、世界の人口は毎年7000万人ずつ増えています。
これは、胃の数が毎年7000万個増えていると捉えることができます。
世界が毎年7000万人分の食糧を増産し続けることは不可能です。
必ず世界的食糧危機が起きます。
そして今、実際に世界的食糧危機が起こり始めています。
日本でも、食料価格が随分と上がってきました。
しかし、
「それだけで済んでいる」
とも言えます。
世界には、リアルに飢えている人たちが昨年時点で8億2800万人いて、今年は更に激増するのが確実です。
だから『食糧安保論』こそが長期の国益なのです。
あらゆることを『長期的視点』から考える
概して、『短期的国益』とは、“今すぐ楽になること”を目指します。
例えば、
「自由貿易にすればコメが安く手に入る」
というのも、今すぐ楽になることに当てはまります。
しかし、長期的悪影響は破滅的です。
例えば、
「インフレが大変だから、制裁を解除してロシアと和解しよう」
という人たちもいます。
実は、これも“今すぐ楽になる”短期的国益です。
日本が制裁を解除したら、欧米は日本のことをどう思うでしょうか?
日本が制裁を解除したことでロシア包囲網が崩れ、プーチンが勝利したらどうなるでしょうか?
恐らく習近平は、
「プーチンはサバイバルした。台湾に侵攻しても、欧米日に勝つことができるだろう」
と確信することでしょう。
そうなると、彼が台湾侵攻を決断する可能性が今以上に高まります。
台湾有事になったら?
日本は、アメリカと共に中国と戦うのでしょうか?
少なくとも、故・安倍晋三や麻生太郎は、そう断言しました。
その時、私たちの生活は今よりもマシになりますか?
それとも、もっと悪化しますか?
だから、“今すぐ楽になりたい”という『短期的国益』は“後の地獄”を引き起こす原因になるのです。
一方、現在は苦しくとも、我慢してプーチンを敗北させれば、どうなるでしょうか?
習近平は、
「プーチンは負けた。台湾に侵攻すれば、俺も同じ目にあうだろう」
と考えます。
それで、台湾侵攻の可能性をかなり減らすことができるのです。
私たちは自分のために、日本のために、常に『長期的視点』を忘れないようにしましょう。
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