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「不思議な薬箱を開く時」

こんにちは!
「不思議な薬箱を開く時」です。
昔の人は、病は気から、と言っていますね。
しかし、こればかりは、言いきれないことも事実です。
人々は、苦しみや痛みから逃れるため、
また、願いを叶えるために薬を服用してきました。
さて、今日もお薬箱を開けてみましょう。

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お薬番号・25

「蛙に変えられた人を人間に戻す薬」

これはまた、大変ですね。
メルヘンティックですが、深刻な問題です。
さて、ここで皆さんに質問です。
元人だった蛙と、普通の蛙を見分けるには?
答えは簡単です。
元人であっただけに、人語を解します。
どんなに慣れた蛙であったとしても、
人語を解すことはないでしょう。
人語を解している様子の蛙と出会ったなら、
ぜひ、このお薬を試してみるとよいでしょう。
このお薬は、16世紀に作られたとされています。
ドイツの古い教会の書庫に残されていた処方です。
本来、位の高い貴族が保管していたようですが、
主とその妻が、悪魔と通じているという嫌疑がかかり、
絞首刑の後、火焙りに処されました。
すべての財産は、嫌疑をかけた教会から没収されましたが、
その中にあった書物に、記されていたのです。
名も知れぬ医学者が残した、山のような走り書きであったようですが、
他にも、不思議な薬の処方が、いろいろと書かれていたようですよ。
では、調剤料をご紹介しましょう。

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「蛙に変えられた人を人間に戻す薬」処方

ヴォミカ・チンキ・・・・・・・・・・・・・10㏄
クローブ・オイル・・・・・・・・・・・・・10㏄
ウシェアの毛・・・・・・・・・・・・・・・5本
ネズミの乳・・・・・・・・・・・・・・・・3滴
クサリヘビの毒・・・・・・・・・・・・・・3滴
リンゴ・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/1個
アーネアレト・・・・・・・・・・・・・・・3匹

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諸注意
ヴォミカ・チンキとクサリヘビの毒を使用するからには、
服用する側、つまり蛙ですね。
蛙の口の中に傷がないかどうかをしっかり調べてください。
傷口から薬が沁み込んで血管に入ってしまうと致命的です。
健全な口内なら、心配はありません。
アーネアレトは、新鮮であればあるほど良し!ですから、
朝一で土を掘り返してみましょう。
ウシェアは、目にするだけでもたいへんな生き物ですから、
旅に出る前は、保険に入っておくことをお勧めします。

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備考欄
昔話ではありませんから、
蛙を人間に戻したからって、
美男美女が目の前に現れるとは限りませんし、
ましてや、王族貴族でも、資産家でもないかもしれません。
下手をすると、大犯罪者だったり!
果たしてかなりの大冒険をしてまでも、
人間に戻してあげるだけの価値があるのか?
人道と正義に燃えて、
人助けをすることに価値がある!と仰られるなら、
それはそれで、止めは致しません。
深山幽谷に分け入って、
ウシェアと出会える幸運の度合いは、
蛙から人間に戻れる幸運と、
ほぼ同程度と言ってもいいでしょう。
なかなかシビアな試練ですが、
試してみる価値は、まさにあなた次第。
幻のウシェアを見られるだけでも、
命を賭けた甲斐があるかもしれませんね。

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