一度挫折した息子の就活終了に思う②警察学校を退校
中学校教員をしております、といです。
前回、息子の就活終了を受けて、息子の最初の就職についての記事を投稿しました。
今日はその続きです。
警察官の試験に合格してから、大した運動もせずにのんびり過ごしていた息子。
高校は1月下旬から休みになってしまうので、昼間はゲームしたり、「相棒」の再放送を見たりして過ごしていたようです。
そんななか、世界を揺るがすアレが現れました。
そう、新型コロナウィルス。
息子はもともと学校が休みだから大きな影響はありませんでしたが、
卒業式は保護者は出席できずでした。
(それだけでなく、保護者は送迎はしても高校の敷地内にも入るなと言われました)
前生徒会長として何かいいことを言ったらしい息子の答辞も聞けず、親としてはだいぶ残念でした。
4月になり、息子は警察学校に入校しました。
身分としては、もう警察官です。
例年は、4月の最初の2週間は生活に慣れるため警察学校にカンヅメになるものの、
3週間目以降の週末やゴールデンウィークは帰省していいことになっていました。
ですが、ウィルスを絶対に警察学校内には持ち込ませないということで、4月は帰省はなし、
ゴールデンウィークは自宅からは出ずに家族以外の人との接触は禁止、ということになりました。
(ちなみにこのとき、こっそり彼女と会っていたことが発覚した息子の同期の方は、その日のうちに退校処分になったとか)
平日はスマホも没収されているし(そもそもパソコンやタブレットは持ち込めない)、
慣れない生活でだいぶメンタルをやられたみたいです。
例えば剣道の授業にしても、打ち合いのようなことはなく、本当にひたすら1時間、壁に向かって声を出しながら素振りをしていたそうです。
ウチの息子は剣道を習ってはいたのですが、
感染を防ぐための、ただひたすら体を鍛えるための時間は辛かったようです。
他の学生さんたちも同じ状況ではあったのですが、他の方のほとんどは学生時代、運動部で心も体も鍛えられてきた人たち。
自衛隊出身の方もいるような中で、バリバリ文化系のヒョロヒョロ息子がついていけるはずもなく、
また「連帯責任」として同室の人の罰をみんなで受ける(罰は「◯キロ走る」です)みたいなことにも慣れず、心が折れたようです。
もちろん、マラソン等で自分がビリになると、同室の皆さんも一緒にペナルティとして走らされるような状況も辛かったよう。
だから体鍛えておけって言ったのに…という思いもありましたが、
そういう状況にこの子が今後も耐えられるとは思えないな、とも思いました。
根は真面目なので、座学ではめちゃめちゃ頑張っていたらしく、息子が辞めたいと教官に伝えたときにはとても驚かれたそうです。
学校からの連絡を受けて、一度は夫婦で面会に行って説得しましたが、
二度目は教官から「一度家に連れて帰って、今後どうするかをゆっくり考えてきてください」と言われました。
なぜなら、その頃(6月上旬)には拳銃の訓練が始まっていたから。
思い余って…という恐れもあるので、危険だからだそう。
(そういえば、自衛隊でそんな事件がありましたね。この時よりは後の事件ですが)
結局、息子は退職する道を選びました。
後日、荷物の回収や諸々の手続きをするために息子を連れて警察学校に行きました。
最後の最後、敷地を出るときに、教官が見送ってくださいました。
息子が今まで聞いたこともないような大きな声で「ありがとうございました!」と言って深々と一礼していたのは、泣けたなあ…。
この警察学校で生きていくためにそうするしかなかったんだろうけど、
でも、苦しみながら過ごした3ヶ月で彼が得たものも何かしらあったんだなと思うと、とにかく涙が出てしまって、
とりあえずコンビニの駐車場にお邪魔してひとしきり泣かせていただきました。
その後しばらくは、警察官の方を見かけたりパトカーに出会ったりすると悲しい気持ちで目を逸らしていたので、あちらからは挙動不審者と思われていたかもしれません。
そんなわけで、晴れて自宅警備員となった息子。
かといって目的もなく家に引きこもられても困るので、今後どうするのかをきちんと考えてもらわなければ、と思っていましたが、彼の心は決まっていました。
もう一度学校に行って、勉強したい。
それが息子の希望でした。
…ここからの話は、下記の③をどうぞ。