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【SaaS企業向け】BDR(アウトバウンドコール)で再現性高く成果を出す為の準備について

セールスリクエストの原です。

インサイドセールスの支援をしていると、アウトバウンドコールに対して消極的な声をよく耳にします。また、弊社へのご相談も、その多くが「インバウンドリードに適切に対応したい」や「ハウスリードからの商談創出を行いたい」というものであり、「アウトバウンドコールで成果を生みたい」という声は少数派です。

インバウンドマーケティング全盛期と在宅勤務も加速してか、総じてアウトバウンドコールへの期待の低さを感じます。

しかし、アウトバウンドコールは正しく準備すれば、再現性高く成果を生み出せる施策です。実際、弊社の支援先でも成果が出ており、多くの企業にとって腰を据えて取り組むべきものだと考えています。

では、どのような準備をすればアウトバウンドコールで成果を生み出せるのでしょうか。本記事ではそのポイントを解説します。弊社がインサイドセールスの支援時に実際に行っている内容ですので、参考にしていただけますと幸いです。

よくある失敗

アウトバウンドコールに消極的な企業にその理由を聞くと、以下のような声が挙がります。

「テレアポ専任機能を置いたことがあるが、上手くいかず、組織も疲弊してしまった」
「テレアポ代行会社に依頼したが、案件化に至らなかった」
「うちの商材やターゲットはテレアポと相性が悪い」

私にも似たような経験があるので、非常に共感できます。
しかし、詳細を聞いていくと以下のような取り組み方になっており、正しい効果検証ができていない場合がほとんどです。

ターゲットリストを精査していない
顧客理解度が低い人材に任せている
顧客にメリットを伝えるスクリプトがない or 洗練されていない
優先順位が付けられていない

場合によっては、調査会社から購入した企業リストをテレアポ代行会社に渡しているだけの企業もあります。これでは成果が出るはずがありません。(テレアポ代行会社が気の毒です。。)

アウトバウンドコールの効率を高めるには、アプローチすべき顧客にアプローチすること顧客解像度を高めること顧客に明確なメリットを示すことが欠かせません。これら3つの条件を満たした上ではじめて成果が望めます。

3つの条件を満たせていないのであれば、最低限、以下に述べる施策に取り組むべきです。

①ターゲットの特定

はじめにターゲットの特定です。アウトバウンドコールで最も陥りやすい失敗は、望みのない相手へのリソース投下です。粗い条件でリストを作成し、むやみやたらに電話を架けることほど無駄なことはありません。(相手側にとってもテロ行為)
以下のステップで受注可能性がある企業を特定しましょう。
受注顧客分析
まず過去の受注リストを作成し、顧客の共通点を分析します。受注可能性がある企業を特定するには、過去受注企業の共通点を見つけ出すのが最も精度が高いためです。
企業規模、業種、エリア、対応部署、初回商談担当者の役職、抱えていた課題などの切り口で、受注顧客にどのような共通点があるのかを洗い出しましょう。
類似サービスの事例調査
過去の受注リストが少ない場合、類似サービスや競合サービスの事例記事調査が有効です。Webサイト上に掲載されている事例記事を読み込み、どのような属性が多いかを把握します。受注顧客分析と同じく、受注可能性の高い企業の特徴を想定することができます。
類似企業の特定
受注顧客の共通点を発見できたら、その条件に合致する類似企業を特定します。受注顧客の共通点を条件に絞り込みを行い、ターゲットリストを作成してください。
部署・役職の特定
次に、コール時にリクエストする繋ぎ先(部署・役職)を決定します。これについても必ず受注顧客分析や類似サービスの事例調査にもとづいて検討してください。
「経理向けサービスだから経理部に当たっていたが、実はIT部門を切り口にした受注が多かった」「役員に当たっていたが、実は課長クラスが推進者となった受注が多かった」など、実態と異なる部署・役職にアプローチしていたという失敗はよくあります。
CRMの突合
ターゲットとすべき企業、部署、役職を反映したターゲットリストが作成できたら、CRMの顧客情報との突合を行いましょう。既存顧客や営業中企業、直近の失注企業を対象から外します。残った対象企業のうち、過去に接点がある場合には、その際の担当者名など活用できる情報をリストに加えてください。

以上を実施すれば、受注可能性の低いリストを排除でき、当たるべき場所に当たる準備が整います。明らかにターゲットではない企業、部署、役職にリソースを割くことがないようターゲットの特定を抜かりなく行うことをおすすめします。
※類似企業の特定とCRMの突合はFORCASおすすめです。
https://www.forcas.com/

②アプローチシナリオの作成

次に取り組むべきはアプローチシナリオの作成です。ターゲットとなる顧客に接続したとしても「なぜあなたに電話したのか」「このオファーに応じるメリットは何なのか」を明確に語れなければ、商談に繋げることはできません。商談化の可能性を高めるために、短時間で顧客の関心を獲得するためのアプローチシナリオが必要です。
ペルソナの整理
アプローチシナリオを作成する際、まず行うべきはペルソナの整理です。ターゲット顧客がどんな業務をしており、何に課題を感じているのかを想定できる顧客像を作成しましょう。

多くの場合、ターゲットの属性や抱えている課題等の組み合わせで、複数のペルソナが想定できるはずです。ペルソナごとに効果的なシナリオは異なるため、シナリオを作成する前に整理する必要があります。

また、ペルソナを整理することは、営業担当者の顧客解像度を高める意味でも効果的です。相手の立場や抱えている悩みを理解しないままシナリオを読むだけでは言葉に重みがありません。ペルソナによって営業担当者の顧客解像度を高め、顧客にとってのメリットが腹落ちした状態で架電できる体制を整えましょう。
提供価値の言語化
次に、整理したペルソナごとに伝えるべき提供価値を言語化します。 具体的には、以下の要素を言語化する必要があります。

・自社商材が解決できる課題
・課題を解決するための機能や特徴
・課題解決の実績
・自社商材を今検討することの価値
・トークスクリプト作成

提供価値が言語化できたら、トークスクリプトに反映します。
以下の基本構成を参考に作成を進めてください。

自己紹介
なぜあなたに電話したのか
数分の商材説明を行う許可依頼
商材の概要
商材が解決する課題
いま検討すべき理由
オファー
オファーへの反応に対する対応や質問
クロージング

上記のとおりトークスクリプトには細かな要素が必要ですが、これらを短時間で説明する必要があります。全体が5分以内に収まるよう設計しましょう。
企業調査
短い通話の中で顧客の関心を引くには、上記で挙げた「なぜあなたに電話したのか」を具体化することが重要です。弊社の支援実績の中でも、無作為なアプローチよりも、特定の企業や人に限定した特別なアプローチだと見せる方が商談化率が高いことがわかっています。

架電の理由を具体化するには、顧客理解が欠かせません。少なくとも以下の情報に目を通し、「○○を拝見し、御社の□□に貢献できると考えお電話しました」と語れるようにしておきましょう。

・事業内容
・IR情報
・中期経営計画
・コーポレートサイトやメディアのインタビュー

個人特定リサーチ
また、CRMの情報でターゲットの個人特定ができなかった企業に対しては、SNSでの個人特定リサーチメディアインタビューの検索は有効です。SNSで該当者を発見できれば、電話受付で個人名を出して打診できますし、経歴や発信している情報からどのような人物かを想定でき、アプローチしやすくなります。また、直接メッセージを送って商談に繋げられる可能性もあるため、少なくとも以下でリサーチを行うことをおすすめします。

Twitter
Facebook
LinkedIn
Eight

以上を行えば、アプローチシナリオの準備が整います。作成したトークスクリプトを基本に、企業調査と個人特定リサーチで得た情報をもとにシナリオを強化してアプローチに備えましょう。

③アプローチの実行

最後にアプローチの実行です。ここで重要になるのは手段と優先順位です。
アプローチ手段
アウトバウンドコールは名前のとおり電話を基本とするアプローチですが、その前後でメール、手紙、フォーム、紹介、MAツールなどと組み合わせることで効果を高めることができます。

「手紙を発送した二営業日後に電話する」「メールに記載したリンクを踏んだ直後に電話する」など、様々な条件でアプローチを行い、成果が出やすい条件を見つけましょう。

この際、検証は個人の判断に委ねず、必ず組織としてルールを作って取り組んでください。同じ条件下のデータが揃わなければ、検証が不十分になってしまいます。
リストの優先順位づけ
アプローチを実行する際に気をつけたいのが、ターゲットリストの優先順位です。リストを上からアプローチしてしまいがちですが、それでは非効率です。ターゲットリストを以下の基準で分類し、商談化可能性が高い①から順にアプローチしてください。

①個人特定あり、接点あり
②個人特定あり、接点なし
③個人特定なし、接点なし

手段の組み合わせ、リストの優先順位づけで実行フェーズでも効率に拘ることがアウトバウンドコールの成功の鍵です。

まとめ

今回はアウトバウンドコールで成果を生み出すためのポイントを解説しました。アウトバウンドコールは地道な準備や検証を行えば、安定的に受注を生み出せる手段です。デジタルマーケティングを軸にしたインバウンド施策ももちろん大事ですが、アウトバウンド施策にはアウトバウンド施策ならではのメリットがあります。
商材や事業フェーズによってアウトバウンド施策が適合しないケースもありますが、ほとんどの企業はインバウンドとアウトバウンドの両輪でインサイドセールスを強化すべきだと考えています。本記事がアウトバウンド施策強化の参考になれば幸いです。

※アウトバウンド施策のメリットについてはセレブリックス社の今井さんが非常にわかりやすい記事を書かれていますので、ご一読をおすすめします。
https://note.com/nikofu/n/n32e9717e88b2

長文をご覧いただきありがとうございました。
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