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粗利率80%超の禁断のマスク事業(転売じゃないよ)とその拡大手法~スモールビジネスに大事な”売り方”の話

おはようございます。スモールビジネスの体系的知識(Small Business Body Of Knowledge: SBOK)を作ろうと考えてみたら1,000万文字くらい必要かもな、と感じて怯えているプロコンです。

ビジネス書や経営関連の書籍が無数に存在し、マーケティング論などの研究が現在でも盛んにされていることを考えると「網羅性のある」体系的知識を作ることになんの意味があるのだろうと考えてしまいます。
それよりも、時間による淘汰が少ない、より本質的な情報を基にケーススタディをしていく方が効率が良いだろうなと思う今日この頃。

さて、今回紹介する事業はマスク事業を行う「Breathe Healty」です。
Breathe Healtyは年商1億円を超えるマスク事業。
驚くべきはその粗利率、なんと80%超。

別の記事「コカコーラのボトリングから学ぶスモールビジネスの利益率を跳ね上げる方法」で書きましたが、中小企業庁による調査によると平成28年度全産業合計の売上高総利益率(粗利益率)は25.58%です。
ちなみに上の記事にも書いてありますがコカ・コーラカンパニーの粗利益率は約60%でそれでも相当高いです。

以下、事業の要点をまとめた後に「この事業が拡大することができた、SMBに大切な”売り方”の話」を述べていきます。
非常に再現性の高い話なので、是非ご自身の引き出しの中に入れておいてください。

事業アイデアを思い付いたきっかけ

多くの創業者がそうであるように、Breathe Healthyの創業者も原体験を基に起業しています。

創業者の原体験をまとめると、

創業者が元々アレルギー体質で、マスクの付け心地が悪く嫌だった。
・軍隊に所属するまで、アレルギー症状はひどくなかったが野外での生活で悪化
・退役後、快適で何度も利用できるマスクを開発した人に出会いアレルギー患者や呼吸系の病気を持った人にピッタリなマスクを知った
・マスク市場は大きいのに、紙製の使い捨てなものと、重装備(ガスマスクみたいな)のしかないこと(ニッチ市場)に気付く

快適で何度も利用できるマスクの開発者は退職して、もう意欲が無かったので新車並の価格でビジネスに必要な諸々を譲渡してもらったことで事業が始まりました。新車並の金額と引き換えに購入したものは次の二つ。

・マスクの在庫(金額の半分)
・商標、素材、製造方法、Webサイトなど(金額の半分)

この事業は原体験から気付きを得て→市場調査→偶々ニーズのある製品の製造者にコネがありM&Aという始まり方をしてます。
コネがあるなど運がいいとは思いますけど、ポンと新車並の金を出してM&Aするその精神も必要なので、リスクを低くビジネスを立ち上げたいと考えている皆様はあんまり真似しないほうが賢明かと思います。

最初の製品を作り、「発売」にこぎつけるまでのプロセス

基本的な要素は既に譲渡してもらっていたので、「外見・フィット感・パッケージ・製造上の効率性」に改善点を見出して注力していきました。

外見・フィット感の改善:
カラーや生地のバリエーションを増やしてよりカスタマイズできるように多彩な柄の生地を作れる会社を探す。
・迷彩柄や動物好きに肉球柄、リリース後のお客様の声を聴いて大人用と子供用のサイズ感の調整。
・定期購入者にはよりフィット感のある製品の提供。

※個人的には、SMBをする上でこの判断はしません。その理由についてはのちほど説明します。

パッケージの改善:
・お客様の第一印象を決める部分なのでサイズ・素材感・デザインがカスタマイズできる業者を見つける。
・それまでは透明な袋に製品と製品情報の印刷されたカードのみで送っていた。→安全シールを貼ったり、製品の色やデザインを確認できる透明なのぞき穴のあるパッケージに改良して、コストは据え置き。

製造効率の改善: 
一部は製造委託先に、一部は自社で製造という構造になっていたものを「コスト的にも納期的にも良くないから一か所に集約しよう」ということで完全に任せられる外部製造先を探します。

製造先を探す際の条件は
・アメリカ製であること(アメリカの企業なので)
・高品質であること

たったこれだけの条件なのに、建物内で喫煙を許可してる工場があったりと大変だったようです。肺が弱かったり、汚い空気が苦手な人のためにマスクを作っているのに喫煙する工場があるって本末転倒感凄いですよね。

言うまでもないことですが、物理的なモノを販売する事業の場合、製造を委託する工場はめちゃくちゃ重要です。「月商5,000万円のキャンドルビジネス創業者へのインタビューから見えた勝ち筋とあなたが始めるための具体的な方法」にも書いたように小資本で圧倒的なプロダクト力を身に付けることはできません。しかし、同じ価格でより工場は探すことができます。妥協するよりも泥臭く探すことをお勧めします。

ちなみに、上の記事のキャンドルビジネスの創業者は忙しくなるまで外注戦略を考えていませんでしたが、このマスクビジネスの創業者はキチンと外注化を進めたようですね。

ECサイトの立ち上げプロセスについて

譲渡してもらった事業の中にECサイトも含まれていたのですが、クレジット決済も使えないような非常に初歩的なものでした。

ちなみに譲渡してもらったECサイトの受注から配送までの流れは以下の通り。

1. 顧客がオンラインフォームに配送先情報とクレジットカード情報を入力
2. 情報を確認し、店舗のPOS端末に打ち込む
3. 発送先情報を手作業で紙に印刷し、パッケージに張り付け
4. 毎日郵便局に荷物を持っていき発送する

あまりにも、お粗末で注文処理に15分かかるのでとてもじゃないけど効率的とは言えないフロー…
何とか改善しなければと思った創業者はWooCommerceとPayPalを組み合わせたサイトを作ることになりました。

※私なら、shopify一択です。

また、オリジナルのウェブサイトでは、各製品のデザインを示すためにマネキンの頭が使われていましたが、禿げていて不気味なのでそこも改善。

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怖すぎる商品着用モデル

ちなみに、マスクなどの平面な商品写真を魅力的に見せるコツとして、「平面じゃ映えないので立体化する」ことを挙げてます。
マネキンではなく、モデルに着用してもらい、フォトショップで顔を消してマスクに注目がいくように加工したものを使用したそうです。

2021年10月13日現在の画像はこのような感じ。
これがフォトショップでマスクだけを切り取った画像だと思います。

2枚目以降はちゃっかりマネキンも残ってました

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・集客と顧客の維持に効果的だったチャネル(ネット以外の方法も)
・自社HPの割合や他の販売チャネルなど
・ビジネスを通して学んだ特にアドバンテージ(優位性)になること
・利用しているプラットフォーム、ツール
・影響を受けた本など
・私が考えるBreathe Healthyの成功要因と再現性高く真似する方法

について話していこうと思います。

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