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ドラム・ルーディメンツ本のススメ。弐

※この段落は読み飛ばさなくてはならない段落です※

音楽に対する主宰のモチベーションが完膚なきまでにプッチーンと切れた瞬間、高校時代に二度ありました。一度目はアンサンブルコンテストの応援帰り、某審査員の講評用紙には音楽的課題点やそれをクリアする為の具体策はなく「曲が冗長でしたね」(超訳)とだけ書かれていた。4分間の為に、あれだけの練習を重ねた先輩の表情が全てを物語っていました。

二度目はコンクールの反省会。「結果が残せなかった一番の原因はオフ日の取り過ぎにある」なんて方向に議論が向き始めたものですから、慌てて反論に転じる。残される後輩達の未来を案じた。オフを削って望む成果に繋がるならそれで良いですが、もし賞の色が変わらなかったら?もうこの部活から休息日という概念が消え失せるかもしれない。そう感じた時の絶望感。

本番前にできる音出しって、せいぜい10分くらいのものなのですよね。なら10分で利益最大化できるような仕組みを構築し、反復練習を重ねてみては。反復するうちにそれが9分30秒でできるようになり9分でできるようになり。そうやって時間を捻出して、新たな課題の為に使う。ハナっから残業ありきで仕事だなんてそんな辛い話はない。時間がないなら作ればいい。

「皆、居残り練習していたのに。お前だけ帰ったよな」(超訳)

時間を忘れ没頭できるものがあるならそれは幸せなこと。主宰だって音楽が大好きです。でも、音楽以外にも好きなこと、やりたいこと、やらなければならないことが山積しています。決められた練習時間で完パケさせること。完パケできるように反復練習を重ねること。主宰が帰らないと後輩達は一生帰れないわけですから。そうやって、ジャズ村のサークルに流れ着いた。

★興味のある方はここから★

④Future Sounds: A Book of Contemporary Drumset Concepts

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前回の続き。「明確に自分の意志で買ったもの」ゾーンに突入です。主宰の「音楽性に毛が生えたような状態」を形作った1冊、お師匠のお師匠であるDavid Garibaldiのイズムがこれでもかと凝縮されています。残念ながら受験の都合で完走こそできませんでしたが、令和3年の今手に取っても色褪せる気配が全くありません。ちなみにこれも船便で購入。輸送費で無事死亡。

氏のサウンドを象徴する2本の柱があるとすれば、「リニアフレーズ」と「音符の転用」だと思います。リニア新幹線の「リニア」、つまり一直線に音を並べるという意味を持つ単語ですが。これがドラムと何の関係があるかと申しますと、ずばり「手足がカブらないフレーズ」のことを指してます。両手両足バラバラのタイミングで叩く。想像しただけで頭が痛い。

「音符の転用」、例えば3連符の4つ割りや16分の3つ割りなどでしょうか。文字にすると小難しく聞こえますが、付属CDと譜面を照らし合わせてみると超実用的。それでいて他ドラマーにない差別化戦略が実現できます。主宰がやれポリリズムだのドラム分析だのやかましくなった一番の原因がこの本、というわけです。難易度も個性の強さも正直ずば抜けてます。オススメ。

⑤Master Studies

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「明確に自分の意志で買ったもの」2冊目となるこちらは、大学卒業後手に取りました。Joe Morelloて誰やねんと言う方、Take Fiveのドラムの人です。仕事にかまけて楽器から随分と遠ざかっていましたから、ブランクを埋める為あえて難易度の高いものをチョイスしました。結果、めちゃくちゃに後悔しています。思い付きで手に取ってはいけないレベル。オススメ。

主宰は基礎練習が大嫌いです。しかし凄腕のドラマー達は一人残らず全員、基礎力モンスターなのであって。悲しいですがこれが現実。マウンティングに興味はありませんが、やっぱ基礎練なんだよなあと思い知らされる。技術云々も勿論ですが「その日の調子を測るバロメーター代わりになる」という側面があると気付けた瞬間に、目の前の霧が晴れる感触があったのも事実。

どういうことか。同じルーティンで基礎練メニューをこなしてもサクサクと進む日があったり、なんてことない箇所で躓いたりするものです。基礎練の価値はまさにそこにあって、まさしくバロメーター、体温計みたいな役割を担ってる。そんな時、何かいつもと変わった動きや思考に走る必要はナシ。体調と気分に任せ淡々とやる、これでOKなんだと主催個人は思っています。

⑥The All American Drummer: 150 Rudimental Solos

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「なんかよくわかんないけど買っといてよかったもの」として、最後にこれを紹介するというのはさすがに気が引けますね。全ての米人ドラマーが大挙して押し寄せてきそうだ。とはいえ買ってからしばらく本棚の端っこの方に眠っていた本著、買ったはいいがあんまりしっくり来ず寝かせてみた結果、今バッキバキに来ている。そんな1冊です。

例えるならナンクロ、数独、マインスイーパあたりでしょうか。暇が潰せて教養も身に付くといった一粒で二度美味しい練習曲が150曲、でも実用性に関しては疑問符が残りますね。何を音楽的だと感じるかには個人差があり、一概に言えませんが主宰個人的には「あえて叩きにくい順に音符を並べた」感は強いと思っています。あまり肌に合わない。基礎練嫌いのせいかも。

ただ「思いもよらない順で無機質に繰り出される音符の数々」の中に突如、音楽のエッセンスが発見できたりもします。自分と違う考え方の人に出会う時の、あの感覚と似ています。一見相容れない存在なのだけど、なんか妙に語り口調に引き込まれる瞬間がある。見向きもされない、世間的にアウアウなんて言われるところにこそ価値を見出すのが芸事の本質ですから。

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