虎に翼74話(重遠の孫)

　脱　皮

直明「..早かったんだね」
道男「そりゃぁそうだろ。
今日早く帰って来なかったら
終わってるって。
(オイ、だまっとき)
婆ちゃんが死ぬ前のアンタは、もっと普通のおばちゃんだった。
でも今は変わっちまった。(道男くんイイから..)いいや 良くないね」

寅子「そう、よくない。
いま 道男が言ったみたいなの、もっと教えてほしいの。
私の何処が変わっちゃったのか..

今から家族会議を開始し致します」

花江「寅ちゃんごめんなさい...
私も直人、直治
も新潟について行こうと思うの..」

寅子「ハイ、もうすん禁止。
私の前ですんは止めて」
直人「すんってさせてるの寅ちゃんだろ」
直治「そうだそうだ」
寅子「確かにそうだゎ 禁止を押し付けるのも、偉そうよね」

直人「ありがとうって言わないのが嫌だ、やって貰って当たり前だと思ってる」
寅子「いつの間にか、感謝を忘れていたわ、ごめんなさい」
直人「一番じゃなきゃダメって態度されると、皆んなやりたく無くなる」
寅子「盲点だったわ..」
直治「努力しないからだ..もヤダ」

直明「(就職相談の)話を聞いてくれなかった..ずっと待ってたのに...もう僕に興味無いのが悲しい...皆んなと離れたく無い...戦争の時みたいに..あんな思いはヤダ」
直人「オレらだって行きたく無い」
道男「オレだって行ってほしくねえ」

寅子「花江たちは新潟に来なくていい。このまま此処で、暮らし続けてください」
直明「待って..やっぱり優未だけ連れてく気？」

道男「寅子も分かるだろ..
優未はここに居るのが一番幸せだって」
寅子「うん、充分過ぎるくらい分かってるわ..親と一緒に居るのが幸せな訳じゃない、周りに支えてくれる大人が居ればいい。親と縁を切った方が良い時だってある。
でも..」

道男「よし、優未に決めて...」
花江「お止めなさい‼︎
 (花江 よく言った 光)
そんな決断優未にさせないで、
この決断の責任は寅ちゃんが負うべきよ」
寅子「ありがとう花江。
優未 いままで、ダメな母親でごめんなさい。お利口さんで居てって呪いをかけしまって。ごめんね。私は、お婆ちゃんの様にも、花江の様にも成れないと思う。優未にも絶対淋しい思いをさせてしまうと思う。あなたの事を思えば、花江に預けるのが一番だって分かってる。でもね、今ここで 優未と別れてしまったら、私と優未の間も、
取り返しのつかない事になるってことも 分かるの。
だからこれは、お母さんの勝手と わがままでしか無いんだけどね、お母さん頑張るから、生まれ変わるから、だから、一緒に新潟に ついて来てください。
お願いします」
優未「ハイ!」

　　　・・・・・

寅子「桂場さん..私思い上がっていました...すっかり天狗になって、
桂場さんはそんな私に失望して、鼻をへし折るために移動を...」

桂場「全く違う、君は全く分かっていない、自分の立場を。
腹立たしいが君は有能だ。そして俺達に好かれてしまっている。それが問題なんだ。
キャリアを重ね、俺達という後ろ盾が有る君は、もう昔の弱い者じゃぁない。
今の君の はて?は非常に重い。周りを動かす力がある」
寅子「それは悪い事でしょうか?」
桂場「悪くはない。だが、今のままでは君の土台はいずれ崩れる。
君は裁判官として正しく成長する道筋を飛び越え、一躍 時の人と成ってしまった。それに甘んじている君に、どんな役職も任せられん。
だから地盤を作るんだ」
多岐川「桂場、それはお前、飛び切りの愛じゃないか」
ライアン「タッキーそれはそうだよ。
桂場くんは穂高先生直系の理想主義者かつ、潔癖なまでの正論主義者なんだから」
多岐川「あ〜どうすりゃいいんだ。家裁の問題は山積みだ、俺の理想には佐田くんが不可欠だ。
そういう事なら快く旅立ちを見送るしか無いじゃないか」
寅子「皆さんありがとうございます。新潟で、一から自分を見つめ直して来ます。土台 しっかり固めてきます」

汐見「愛されるなぁ 佐田さんは」
小橋「羨ましい」
(やっと素直な本音が… 光)
多岐川抱擁。