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虎に翼55話(一美)

大晦日
家庭裁判所の準備も大詰め

猪爪家は一家総出  で
(優未ちゃんも来てます)

直明の仲間『東京少年少女 保護連盟』からも大勢の人が手伝いに来て…

そんな中

多岐川「最後の仕上げだ
これ  ちょっと上げてくれ」

取り出したのは
大きな 絵🖼️

汐見多岐川さん  この絵は?」

多岐川桂場に頼んで  買っておいてもらったのさ
花岡判事の最後の作品だよ。
有志で 絵を買おう!ということになったんだ」

その絵は

チョコレートの絵

おおきな手のひらに乗った
チョコレートに…
小さな 子どもの 手が
右から…
左から…
チョコレートを差し出す
おおきな手へ と
伸びている

と   と    


寅子は回想する

奈津子(チョコレートのおかげで  家族が笑顔に なれたんです)

寅子(  花岡に 『これ  あなたにじゃなくて  
お子さんに… 』それならいいでしょ)

花岡(ありがとぅ)

……
多岐川「人間 生きてこそだ」
多岐川「国や法   人間が定めたものは  "あっ" という間にひっくり返る。
ひっくり返るモンの為に
死んじゃぁ ならんのだよ。
法律っちゅうモンはなぁ
縛られて 死ぬ為にあるんじゃない。
人が幸せなる為にあるんだよ。
幸せになることを 諦めた時点で 矛盾が生じる」

涙声 になり…
声を詰まらせながら
多岐川は語る

一美:泣…

多岐川「彼が どんなに立派だろうが    法を司る我々は
彼の死を非難して
怒り続けねば  ならん!」

*一美:…(もう…マツエクは 諦めた  どうでもいいや…)

多岐川「その戒めに  この絵を飾るんだ」



年が明けた

徹夜した様子…


汐見多岐川さんはねぇ
自身が死刑判決を下した
死刑囚の処刑を見に行った事があるんだって。
その日以来、怖くなって
死刑を求刑したくないあまりに、判決を捻じ曲げてしまうかも知れないって…
多岐川さんは、
凶悪事件を受け持たなくなった。彼の言葉を借りれば、"逃げた" んだ。
凶悪事件から逃げた自分が許せなくて、自分を責め続けてたんだって…
けど、朝鮮から何とか引き上げて来て、上野の駅に降り立った時
自分に (ちょうだい…)って 手を差し出す子どもに出合って 思ったんだって…

『俺が逃げずにいられるものを見つけたぞ』って…

"子供たちを幸せにしたい"
その為にもう、死んでも逃げない。
彼らの為に、残りの人生を全て捧げよう。未来に種まく仕事をしよう。
もう 二度と逃げる自分を責めたくないからって…」

………
(なにか  ちょうだい)
を出す 子どもに


(僕は  なんにも持ってないんだよ…)

なぁんにも 持ってない
差し出す 多岐川

お ん な じ  だよ…


今は  なんにも 持ってないけど…

……………

(寅子 優未ちゃんを抱えて  
うたた寝をしているのだろうか…)

多岐川佐田君   起きろ」

多岐川「明けまして おめでとう」


多岐川「この光景は  どうしても  君たちと 一緒に見たかった」

昭和24年1月1日
家庭裁判所が生まれた
初めての  朝

       一美







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