『鎌倉殿の13人』善児はどうでもいい
主人公って何だろう。
ヒーローでもヴィランでもいい。
ストーリーを支配してほしい。リードしてほしい。
それが主人公じゃないのか。
今年の大河の主人公は、ヒーローでもヴィランでもない。
何もしない。
人に言われたこと、または/そして、やらんでいいことしかしない。
見せ場がなさすぎる。
北条義時を、どういう人として描きたいの?
彼の何を描きたいの?
それがいまだに見えてこない。
義時の見せ場を作る大きなチャンスが一つあったのに、逃した
「三谷幸喜は伏線の回収がうまい」
ってみんな言うけど、本当?
この作品(『鎌倉殿の13人』)に限っては、少しもうまくないと思う。
兄の宗時を殺した下手人が、いま自分の部下になっている刺客の善児だった。そのことを、ついに義時が知る!
予告見て、
「うわあきつい、義時ショックに耐えられるんだろうか、死んじゃうんじゃない?(死なないけど)」
と思ってドキドキして、いざ本番を見たら、
「私に善児が責められようか」
とうなだれていた。
何それ。
がっかり。
あたりまえじゃないか。
善児はただの道具だ。
善児じゃなくて、
自分を責めるんじゃないのか。義時。
兄上の魂に謝るんじゃないのか。
土下座して。
なんなら切腹して。(しないけど。)
それくらいのレベルの話じゃないのか。
ぬるい。
がっかり。
もう、本当がっかり。マーライオン並みのがっかり。
本気で義時を描く気があるの、このドラマ?
なに善児の見せ場作ってるの?
善児はどうでもいいだろう!!
宗時の死から、なんのための長い長い、長い伏線だったんだ。
ぜんぜん回収になってない。
ぜんぜん、まったく、1ミクロンも回収になってなかった。
「他に方法はない」って何それ
「三谷幸喜は台詞がうまい」
ってみんな言うけど、本当?
この作品(『鎌倉殿の13人』)に限っては、少しもうまくないと思う。
先週(8月21日)も今週(28日)も、義時は同じ台詞を言っていた。
おんなじ台詞。
「他に方法はない」
そして、何の罪もない幼い一幡(頼朝の孫)を虐殺し、
何の罪もない若い頼家(頼朝の息子)を虐殺。
何それ。
「他に方法はない」なんて、
やらんでいいことをやる人間の常套句じゃないか。
ずるずると。
増税なんかのときに政治家が必ず言う。
他にいくらでも方法があり、そちらのほうがずっと良くても、
「これしか方法はない」
目と耳と口をふさいで思考を停止し、悪手を強行する。
自分の目と耳と口(だけ)じゃない、私たちの目と耳と口をふさぐのだ。
「こうしなければ、鎌倉がなくなる。
鎌倉がなくなれば、また戦の世になる」
この屁理屈がすごい。
いま現在、つまり元久元年(1204年)、
日本でいちばん殺し合いやってるの、まちがいなく鎌倉幕府だからね?
いっそ鎌倉幕府がなくなったほうが平和なんじゃないの? と思いそうになる。
少なくとも、そう考えた後鳥羽上皇に共感したくなる。まずい、上皇さまヒール(悪役)のはずなのに。
義時、息子に
「これが武士だ」
とかも言っていた。
何それ。
これが武士なら武士なんてクズじゃないか。
こんなダメ政治家あるあるみたいな話、
お金かけて大河ドラマでやる必要がどこにあるんだろう?
これが大河なら大河もクズじゃないか。
もう、大河ドラマもなくしちゃっていいし、
鎌倉幕府もなくしちゃっていいんじゃないかという気がしてきた。
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