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続『鎌倉殿の13人』がクズすぎる件(あるいは、ウクライナのこと)

ずっとがまんしてきたが、もう耐えきれなくなったので書いている。

ようするに──
「人間として、これはやらないだろう」という最低ラインを踏みにじったのが、今回のロシアによるウクライナ侵攻だ。
ウクライナが核を放棄するかわりに不可侵条約を結んだはずではないか。
なのに平然と攻め入っている。

今回、ドラマの中で頼朝が上総介に対してした仕打ちは、これとまったく変わらない。
1ミリも感動できない。
ドン引きなだけだ。

フィクションだからと笑って見逃す人は、
フィクションの力を見くびっている。

だからと言って、
JR恵比寿駅のロシア語案内が隠されていた件にもあきれた。
「ロシア語を見ると不愉快だから」という苦情があったというのだが、
意味がわからない。
まったくわからない。
いま日本在住のロシアの人々に当たってどうする。

立場を逆にして想像してみればわかる。
私が外国に住んでいたとする。日本政府が何かやらかしたら、日本人だからといって私がリンチに遭う。
そんな理不尽な話ってあるか。

ウクライナの人々が亡命していった先のヨーロッパで、
先に亡命していたロシア人の家族が彼らを迎え入れているそうだ。
(これは昨朝(4月17日)の同じNHK、日曜美術館で知った。Eテレ頑張れ!)
なのに、日本の一般ピーポーのわれわれが、ロシアの一般人を叩いてどうするんだ。

「すべてロシアが悪い」
という短絡が、いまいちばん危険だ。
ロシアの政府、ロシアの軍隊と、ロシアの人民は分けて考える――
あまりに当然で、単純な話じゃないか。

このタイミングで、
しつこいようだが、このタイミングで、
「すべて平家が悪い」
『13人』で連呼されるシュプレヒコールは、あまりにおぞましい。

「打倒平家!」
「一日も早く平家を滅ぼしましょう!」

目を輝かせて叫ぶ義経にぞっとする。
おそらく彼をマッドな戦闘マニアに仕立てておいて、これじゃ粛清されてもしかたないよね的な流れに持っていくのだろうが、それでも。

戦争反対とか、平和主義とか、いう以前に、
頼朝や義経のメンタリティーがお子ちゃますぎて絶句する。
御家人たちがはいつくばって、
「ははっ」と頭を畳にすりつけているシーンを見せられて絶望する。

「平和は尊い」なんて歯の浮くような台詞を期待してはいない。
ただ、
何度も言う、

いま、このタイミングで、
この思考停止の戦争ごっこドラマに脳を侵食されるのは、
ひじょうに危ないと思う。


【追記】 (2022. 4. 19)

今回、観ていていちばん苦痛だったのは、
主人公、小四郎(北条義時)の姿だった。
ぽろぽろ涙を流しながら何もしない。

私自身の姿を見せつけられたようで、たまらなかったのだ。

「いいね」が減ろうとフォロワーが去ろうとかまわない。
うなずいてくれる人だっているはずだ。
だから、いま、書いておこうと思う。
いつか安全な世の中になってから、後出しじゃんけんで批判するのは簡単すぎる。
というか、いま私は戦火にも銃弾にもさらされていないじゃないか。

「いつか」安全な世の中にはならない。
しないと、ならないんじゃないのか。



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