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痩せる油

摂取カロリーを減らすのは超簡単だ。
油を使った料理を食べなければいい!
という話を前回書いた。

そんなことは分かっていても、油を使った料理は美味しいし、美味しい料理は食べるだけで幸せな気分になれる。

それにある種の油はエネルギーとして使われやすく、脂肪を燃焼してダイエットを助けてくれるのだから、この油の力を使わない手はない。

油抜きはダイエットに逆効果

カロリーを減らすために油を止めよう!と言っておいて、なに真逆のことを言ってんの!?
と思われるかもしれない。

誤解しないでいただきたい。

私は決して油抜きを薦めている訳ではない。

良質の油(脂質/脂肪酸)は、むしろエンジンオイルの役目を果たして体の代謝を上げ、脂肪を燃焼してくれるだけでなく、栄養を取り込んだり、老廃物を排出してくれる。

ホルモンや、ウィルスから体を守るための細胞膜の材料にもなる。

だから控えすぎると、免疫力が低下したり、お肌の乾燥を招いたりもするのだ。

ダイエット中だからと油抜きに励む人がいるが、むしろそれは逆効果。

糖質は脂肪として体内に蓄積されるが、余分な油は排出されるため、脂肪になって体につく心配はない。

ただし、油の種類を間違えると厄介だ。

糖の代謝をブロックして栄養素の取り込みを邪魔し、糖を血中に余らせて糖尿病など生活習慣病の素因を作り、結果、糖を余らせて体内に溜め込む。

そうして余った糖は脂肪になる。

脂肪を燃焼してくれるどころか、逆に増やすのだ。

だから油の種類には注意が必要だ。

油の種類を知ろう

油にもいろいろある。
まずはどんな種類があるのか知っておこう。

必要な栄養素の代謝をブロックするだけでなく、体の中で炎症ゴミを増やすだけのトランス脂肪酸は論外だ。

食品包装の裏に書かれている成分表示で言うと、マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド、食用植物油、植物性油脂、加工油脂と表示されているものにトランス脂肪酸が含まれているから、加工食品を購入するときは必ず食品包装の裏をチェックしよう。

油の種類

どんな油も元をただせば脂肪酸である。

脂肪酸には、バター、牛脂、ラード、ココナッツオイルなどの飽和脂肪酸と、魚類、植物性の油に多い不飽和脂肪酸の2種類に分けられる。

その違いは炭素原子をつないでいる手が余っているか、いないかで分けられる。

他とつなぐ余剰があるのが不飽和脂肪酸、ないのが飽和脂肪酸である。

ちなみに飽和脂肪酸は常温で固体で、不飽和脂肪酸は液体なので、簡単に見分けることができる。

オメガってなに?

不飽和脂肪酸は、「炭素原子のメチル基の末端から数えて何番目に最初の二重結合があるか」で、オメガ9(n-9)、オメガ6(n-6)、オメガ3(n-3)等に分類される。

※どうでもいい話だが、記号でω(オメガ)を書くと、どうしても顔文字のような表記になってしまうので、代わりによく使われているnを使った。

後ろについている数字は、炭素分子のどの位置に二重結合があるのかを現している。

ちなみにどこに二重結合がついているかは、ダイエットにはあんまり関係がない。

問題は「一価」と「多価」の違いだ。

これは二重結合がいくつあるか?を現している。

一価不飽和脂肪酸は二重結合が1つ、多価不飽和脂肪酸(PUFA)のオメガ3は二重結合は3つ、という具合だ。

口から入れた食べ物は、必ず胃腸から肝臓を通って炭素分子の鎖を切って(分解・代謝して)栄養素として使われる。

つまり、炭素原子の二重結合の数が多いということは、鎖を切る手間と消化に必要なエネルギーが増える、ということだ。

それは直ぐにその栄養素を活用できないし、ほっとくと直ぐに腐るということを意味する。

健康に良いと言われているアマニ油やエゴマ油の食品包装の裏には何と書いてあるだろうか?

「開封したら冷蔵保存で1か月以内にお召し上がりください」と書いてないだろうか?

つまり、直ぐに酸化して酸化ゴミになる、ということだ。

腐った魚の匂いを思い出して欲しい。

健康に良いとうたわれているDHAやEPAなど魚由来の油は、腐りやすい=酸化しやすいのである。

だから、DHAやEPAのサプリメントは空気に触れないように一つずつ特殊なカプセルに入っている。

酸化して処理できなかった油が体の中でどうなるかというと、人の体の中でも外でもゴミは「燃やす」のが基本だから、炎症の材料になって痛みや病気を引き起こす。

もうダイエットどころではない。

健康であるためにダイエットしようと思っているなら、今すぐに多価不飽和脂肪酸(PUFA)の油をとるのを止めよう。

どうしても料理に使いたいときは、せめて炭素原子の二重結合が1つだけの一価不飽和脂肪酸のオリーブオイルにしておこう。

太る&痩せない原因

冒頭でも書いた通り、多価不飽和脂肪酸(PUFA)の油は糖の代謝をブロックする。

本来、エネルギーを作る主な材料になるはずの糖がエネルギーとして使われず、余った糖は血中にあふれだす。

糖がエネルギーとして使われないので、気力がなくなり、寝ても疲れが取れず、いつもだるい、身体が重い、といった元気がない状態になる。

血中に余った糖は全部脂肪になt蓄積されていくため、体重は増える。

当然、痩せない。

そう、糖が肥満の原因ではなく、糖の代謝をブロックする多価不飽和脂肪酸(PUFA) が太る&痩せない原因だったのだ。

バターを食べよう

脂質は糖質に次ぐ重要なエネルギー供給源であるとともに、細胞膜やホルモンなど生理活性物質の構成成分にもなる。

良質の油(脂質/脂肪酸)はエネルギーとして使われやすく、体の代謝を上げ、脂肪を燃焼してくれる。

潤滑剤の役割を果たして排便をスムーズにし、老廃物の排泄を助けてくれる。

意外に思われるかもしれないが、良質な油とはバターや牛脂などの動物性の油、そしてココナッツオイルだ。

これらの油は飽和脂肪酸に分類され、炭素原子の二重結合がないため直ぐにエネルギーとして使われ、酸化しにくいという特徴がある。

とはいえ、どれだけ体に良い影響を及ぼす栄養素と言っても、摂り過ぎは禁物だ。

1日当たりの推定必要カロリー(推定エネルギー必要量)は、年齢や性別、身体活動レベル(どれだけ体を動かすかということ)によって異なるから、50代の女性で、あまり身体活動が多くない人を例に考えてみよう。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」を元に作成

1日当たりの推定必要カロリーは1650kcalだ。

厚生労働省は脂質から摂るべきカロリーはこの20〜30%としているので、計算すると300〜495kcalになる。
その内、飽和脂肪酸は、脂質全体の3割以下に抑えることが望ましいとされている。

脂質は1g当たり約9kcalだから、厚生労働省の基準をもとに計算すると、カロリーは90~148kcal以下、グラム換算すると約10~16g以下ということになる。

ちなみにバターひとかけら(10g)のカロリーは70kcal。

食パンにバターを塗って食べるくらいなら、全然OK!
むしろ食べましょう!ということになる。

そして同じ飽和脂肪酸の油でも、短時間で吸収されてエネルギー源になる中鎖脂肪酸を多く含むココナツオイルは更におススメしたい。

適度に良質の油を摂ることで、体のエネルギー効率が高まり、ホルモンのバランスが整い、お肌に張りと潤いが生まれて若返るのである。

中高年のダイエットでは、決して欠かしてはいけない栄養素である。

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