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2019年のこと

催眠ガールを久しぶりに読み直している。
まだ途中なのだが、あの本は、話の筋がどうこうではなく、
話を読むこと、それ自体が大切な気がしてならない。
そして、そんな人生を生きたいと思ったものだ。

催眠ガールの出版年を見たら、2019年8月とあった。
催眠ガールを読んで、臨床催眠講座を受けた、という方もいらっしゃるので、そのきっかけが2019年にあったと思うと感慨深い。

そう、2019年は私にとって、とても大きな出来事があった年だし、
世界で見れば、コロナウイルスが流行る前の、最後の年。

2019年の私は葛藤を抱えていた。
不安障害により、会社を休職していたが、2019年の●月で、休職の期限が切れるため、復職か退職を選ばなければならなかった。

その会社に入ったことで、私は教師を辞められたし、
自分なんかにはとても無理、という職業に就けたこともあり、
その会社で働けることは、私にとって誇りだった。

今思えば、たいして好きでもない、いや、
私には音楽という大好きなものがすでにありながらの、
その職業だったので、
偽りの快感というものだったのかなと思う。

周りからは羨望の目で見られるのに、
自分の心の中は空しかった。

ただ、その会社に入ったことにより、色々な恩恵を受けられたのは事実。
白黒とはっきり区別ができないのが、人生の難しさであり、面白さだと思う。


その職業は不規則勤務であり、夜勤も含まれる。

どんどん、

睡眠がとれるか?

が気になり、なかなか眠れない体になってしまった。
夜働くために、昼寝る。
たぶん自分には、というか大部分の人間には、
昼起きて、夜は寝るという生活が合っていた。

そんなこと?と当時は思っていた。
実際、周りの同僚たちは逞しく、どこでも寝られるという人も多かった。
(ただ、後ほど知るが、メンタルの休職者はとても多かった)
そうなれない自分が、とても悲しかった。

そういう生活を送っていたため、身体はとても弱かった。
よく風邪を引いていたし、インフルエンザにもなった。
ある時、風邪を引いて何日も仕事を休むことになり、
心底仕事に行きたくなくなった。
その時、友人の勧めで精神科を受診し、休職に至った。

休職をしている時、まず感動したのが、
何時間でも寝られること。そしてそのありがたさ。

ああ、もう明日は時間を気にせず寝てもいいんだ。

いかに、自分が、睡眠という生き物の基本さえも、
おろそかにしていたことに気が付いた。

それから、仕事を理由にできなかった、色々なことをした。
それは、家族と過ごすことだったり、愛犬と散歩することだったり、
日の当たる廊下でお茶を飲んだり、

ピアノを弾いてみたり、ダンスを習ってみたり。

休職者ということで、家で寝ていないと…という強迫感に苛まれている人もいるかもしれない。身体的な病気で休職ということであれば、もちろん医師の勧めに従って、静養するのがいいだろう。
ただ、心の問題で休職している人にとって、自分のやってみたいことをやるのは、心の活力を取り戻すのには大切なプロセスなのだ。

この点について、私は主治医やカウンセラーに相談している。
両者とも、好きなことをやってみて、と言っていた。

そう、好きなこと。

そんな曖昧な、ぼやあっとしたもの
それが、実は人間にとって最も大切なものなのかもしれない。


そんなこんなで、回復してきたが、
2019年●月がいざ、やってくると、
私はどうすればいいか、まったくわからなかった。

そんな時に、カウンセラー(臨床心理士)が、
「復帰してみて、ダメだったら辞めればいい。」
「復帰することは、自信になるかもしれない。」

そんなことを言ってくれた。
その言葉を胸に、復帰することにした。

復帰してみて、久しぶりに行く会社、会社の相変わらずの雰囲気、
自分よりもだいぶ若い人が増えていたりと、
そういったことを、ただただ眺めていた。

このあたりと前後して、インサイトカウンセリングにお世話になり始めた。

前の臨床心理士さんとは、それきりになってしまったが、
今でも感謝している。
インサイトカウンセリングでのカウンセリングが、
自分にとって効果が絶大だったせいもある。
しかし、臨床心理士さんが少しずつ、私の中の凝り固まったものをほどいてくれたからこその、インサイトカウンセリングでの効果だったのかなと思う。

色々なことが、当時の私を支えてくれていた。

さて、せっかく復帰した仕事だったが、
その仕事が続けられない、身体的な疾患が発覚し、
私は退職することになった。

もう、自分の気持ちよりも先に、身体が無理!とサインを出した。

あんなに、休職してまでしがみついていた、あの会社の一員であるということが、あっけなく終わった。

退職してみれば清々しく、もう、早起きや夜勤、突然の電話におびえることはないんだ!と思ったとき、とても嬉しかった。

それくらい、ストレスを感じていて、それは休職していても同じで(休職中、なるべく電話をかけてくるな!とアピールしていた)
こんなところで自分にストレスをかけながら働いていても、寿命を縮めるだけだなあって、心底腑に落ちた。


それからコロナがやってきて、その会社はだいぶ大変な状況になったらしい。そのとき、その会社に在籍していなくて本当によかった。

それが私にとっての2019年だった。


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