小説「弧悲は恋」-2
帰り道。
電車を降り駅前から少し歩いたコンビニを曲がって路地に入る。
パーカーのフードが引っ張られる感じで、ふと振り向くが誰もいない。
風のせいか、と思い、再び歩き始め表通りの商店街にでる。
クリーニング店、古本屋、喫茶店、パン屋など並び、そこそこ賑わう通りだったが、シャッターを下ろした店も所々にあった。
その一か所に開店したばかりの花屋がある。
店先には今が盛りの鉢植えの花が置かれ、そこだけが光に溢れているように見えた。店先から花束を抱えた女性の姿。その後に店員だろうか、黒