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9月24日のマザコン67 老人ホーム探しを始める その4 介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの違いなど

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ところで、老人ホーム(高齢者向けの施設)を探すにあたり、………というか施設探しに限らず介護全般に私はまったくド素人だったので、この苦境に放り込まれて私は慌てて「介護入門」「施設探し入門」みたいな本を何冊も読んでみた。
一応私が買った本を並べてみると、これらである。(下にリンクあり)

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親が70歳を過ぎたら読む本 相続・認知症・老人ホームについて知っておきたいこと(ダイヤモンド社)
親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと(翔泳社)
高齢者施設 お金・選び方・入居の流れがわかる本(翔泳社)
大往生したいなら老人ホーム選びは他人にまかせるな! (光文社新書)


このうち上2冊は介護あるいは介護への準備全般に関すること、下の2冊は施設探しに特化した内容である。
ちなみに親の介護、はじまりました。(ぶんか社)という、遠距離介護に奮闘しているマンガ家さんのコミックエッセイも読んだ。

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この本は具体的なノウハウというよりは、「親の介護が始まるとこんな予想外のことが起きますよ」とトラブル経験を伝える意味合いが強いマンガなので、まだ介護が始まっていない人こそ心の準備をするために読むと良いと思う。
何度かこの日記で書いたが、これらのあまり楽しくない雰囲気の本を、突然介護が始まってストレス限界の状態で一から読み始めるのは精神的にあまりにもしんどいので、まだ家族が元気で介護の気配などないという時にこそ、読んでおくといいと思う。
それはこの私のnoteにも言えるはず。読んでめちゃくちゃ憂鬱になるダークサイド日記だからこそ、まだみなさんが元気なメンタルのうちに読んで、いつかの非常時に備えてもらえたらと思っている。

まあ、それが難しいのだけれど。
親が元気な時には、将来の介護のことなんてチラリとも考えたくないものだ。想像するだけでウンザリするのだから。
だから、私もまったく勉強なんてしていなかった。そして突然の介護スタートでメンタルが瀕死になった状態で泥縄的に本を読み勉強しなければいけなくなり、「なんで元気な時にこういうの読んで準備してなかったんだろう……」と、心の底から後悔した。
きっとほとんどの人は私と同じ流れを辿り、いざという時に苦しみ後悔することになるのではないかとも思う。
その将来の後悔の辛さと比べれば、元気な時に介護の本を読むことなど100分の1くらいの精神の負担で済むのだから、私のようになりたくなければ、まだ介護の気配が見えないうちに上の本たちを読んでみることをおすすめする。もちろんこのnoteも……。

で、私は単に読んだ本の報告をしたかったわけではなく、そこに記載されていた「施設探しの注意点」について少し思ったことがあったので、それを書きたい。
私が老人ホームの見学時に、いろんなインフォメーションと共に気を配って見ていたのが、職員さんの対応である(なんか偉そうな書き方だが)。
というのは、老人ホームなり他の施設なり、見学に行く際は「職員さん、スタッフさんの応対や働きぶりをよく見ておくことが大事です」と、上の本たちには共通して書かれていたからである。

私がこの後も含めてあちこち老人ホームの見学に行って、たしかにそこは施設の善し悪しを見極めるのに重要なポイントだと思った。

基本的に、見学の予約を申し込む時の電話対応や、実際に見学で説明を担当してくれる方(だいたいなんらかの責任者の人)からは、「そこそこ良い」印象を受ける。
その時点で印象が悪ければ誰もその施設に入居しないと思うので、そこの入口をしっかりしているのは当然だと思うが、やはりそれでも担当の人の頼り甲斐とか仕事(高齢者の世話をするということ)に対する意欲みたいなものは、人によって少しずつ違っている。
感じは良いが淡々と施設の情報だけを教えてくれる人や、うちの父の様子を伝えると病気のことや家族の負担のことや日本の高齢者医療のことまで知識豊富に話を広げてくれる人もいる。他にどういう人が入居しているか事細かに教えてくれ、もし父が入ったら人間関係的にこういうポジションになるんじゃないかというようなことまで一緒に考えてくれた人もいる。
仮にそこに入居が決まったとしたら今話をしている責任者の方とは本人はもちろん家族も長く付き合うことになるので、「見学時に説明を担当してくれた人が『話しやすさ』と『頼り甲斐(責任感)』を兼ね備えているかどうか」は、見学時に気をつけて見なければいけないこととしては、とても優先度が高い部分だと感じた。

そして見学をしていると、他のスタッフさんの様子も目に入る。
事務所の近くで説明を聞いていれば、待機している介護職員さんたちが話をしているのも耳に入るし、施設内を歩かせてもらえれば実際に入居者に対応しているスタッフさんの姿も見かける。
その時の雰囲気も感じておくのは大事だと思う。まあ実際には見学中はいろんな情報が殺到するのでそこまで頭が回らないのだが。
でもすれ違ったスタッフさんが挨拶をしてくれたとか、イライラ感むき出しで働いている人がいたとか、そういうちょっとした気付きがあったら、覚えておいて家に帰ったらすぐ記録をつけると良い。
見学を担当してくれた方の印象も細かく書いておこう。日数をかけて何件も見学にまわっていると記憶はこんがらがるし1度しか会わなかった人の印象なんてすぐ忘れるので、後で比較するためにも、資料には記載がない個人的な感想などを絶対に書き残しておいた方がよい。

他の項目も含めてだが、例えば私はある施設についてはこのように記録をつけた。

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偉そうに言っておきながらあんまり人の印象は書いていないけど……

ともかくこういうのを書くのはとても面倒だけど、その日のうちに記録しておかないと、せっかくいろんな施設に見学に行っても「結局全体的にあんまりよく覚えていなくて、どう決めたらいいかなにがなんだかわからない」ということになってしまいそうである。
施設探しをするような状況にいる人は多かれ少なかれ正常時とは違うストレス下にあるので、記憶力も万全の力を発揮できないのだ。


……では、ここでようやく見学中の施設Bの話に戻る。
施設Bで対応してくれた所長さんは、そこまで人あたりが良い感じではなかったけど、会話に的確さがあるし長としての頼り甲斐は感じられた。
また、ここは部屋や共用部分を見学させてもらう時に、すれ違うスタッフさんがみんな挨拶をしてくれたのが印象が良かった。

利用料金は保険が1割負担の人で月21万2千円ということ。
それにベッドレンタルや、月1600円の洗濯機使用料、お医者さんの定期往診代、ヘルパーさんの料金などあわせるとだいたい月25万円と考えればいいそう。
まあ、ちょっと、きつい金額だ。緊急避難的に入ってもらうのはともかく、長く入るとしたらうちの年金・貯金では無理である。昨日の施設Aとこの施設Bは、どちらもハイクラスな部類の有料老人ホームなのだ。
現在はひと部屋空きがあるらしい。入居待ちの待機者はいないので、その気になればすぐ入ることができるとのこと。
ちなみに入居したいタイミングの時に満室になっていて入りたいのに入れない、家で家族が面倒を見ながら待つのは物理的にも精神的にも無理、という場合は同じグループのろうけん(介護老人保健施設)に入って待たせてもらうことができるらしい。ろうけんは本来期間限定の施設だが、グループ内の老人ホームの順番待ちという名目ならば空きが出るまでそこで待たせてもらえるそうだ。
こういうことができるのが、グループの強みだ。


ところで、この施設Bは「住宅型有料老人ホーム」であり、昨日の施設Aは「介護付き有料老人ホーム」である。
どちらも有料老人ホーム、つまり民間の老人ホームなのだがその2つは、いったいなにが違うのだろう?
これはなかなか難しいのだが、私の学んだことと、個人的な意見を書いておきたい。

私はこの2つの違いについて、ネットで調べたし本でも読んだし昨日のケアマネージャーさん含めいろんな施設の人にも尋ねてみた。
そこで共通していた答えというのは、「介護付き有料老人ホームは、ホームのスタッフさんが介護をする」「一方、住宅型有料老人ホームは、外部のヘルパーさんが介護をする」という違いがある、というものであった。
一般的に「老人ホーム」と言って我々素人がイメージするのは、施設の人がいろいろ世話をしてくれる介護付き有料老人ホームの方であろう。

住宅型有料老人ホームは、「住宅型」という名前が示す通り、位置付けとしては入居者が住む住宅であり、その住宅に外部のヘルパーさんが来て介護や掃除洗濯など様々なヘルプを行ってくれる、というシステムになっているようだ。
外部からヘルパーさんを招くとなると、基本的にはあらかじめ日時を決めて定期訪問という形になるので、四六時中介護が必要な方や、夜間など突発的にヘルプが必要になりそうな人は(簡単なことなら住宅型でも常駐の職員さんが助けてくれるが)、介護スタッフが常駐している介護付き有料老人ホームの方が良いということになる。

一方、介護付き有料老人ホームではフルサポートのサービスが確約されている分、その料金が月額利用料に組み込まれている(介護保険の自己負担額が最大まで徴収される)が、住宅型有料老人ホームでは、ヘルパーさんが必要ない場合は依頼する回数を減らしてその分利用料金を節約することができる。
また、住宅型有料老人ホームは介護付きと比べて元気な入居者がいる率が高いので、イベントやレクリエーションが充実している施設が多い。

……というような点が、私が読んだり説明してもらったりで理解した住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームの違いであった。

ところが、私が自分で両方の施設をいくつも見学して思ったのは、「実際はどっちもあんまり変わらないのではないか?」ということだ。
住宅型有料老人ホームでは外部からヘルパーさんを呼ぶということにはなっているが、私が訪問したほとんどのところでは、住宅型有料老人ホームの隣……あるいは同じ建物内にヘルパーさんを派遣する事務所があり、そこにいつもスタッフさんが待機しているので、全然「外部から来てもらう」という感覚がない。名目上は外部の人だが、その外部の事務所が同じ建物にあったりするので外部感がないのだ。

さらに今日私が見学している施設B。
ここは住宅型有料老人ホームなのだが、この施設Bの強みは「医療が手厚い」ということで、看護師さんが24時間勤務している。そのため健康状態があまり良くない、歩けなかったり寝たきりのおじいさんおばあさんの入居者の割合が多いということ。
ついでに所長さんは「うちは住宅型有料老人ホームなので、レクリエーションみたいなものはないんですよ」と仰っていた。
私が他のところで勉強した、「住宅型は元気な入居者の比率が高いので、レクリエーションなどが充実している」という情報とは完全に真逆である。

結局のところ、介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの違いは、私の結論としては「施設次第」
住宅型なのか介護付きなのかという分類よりも、「この施設はどんな施設なのか」という個別の特徴を知る方がずっと大事だと私は思った。
施設Bは住宅型であっても24時間看護師さんがいて、寝たきりの入居者さんもたくさん。一方、昨日の施設Aは介護付き有料老人ホームだけれど看護師さんは日勤しかいないということだった。つまり住宅型でも介護付きと同等かそれ以上の手厚い介護・看護が受けられるところもあるということだ。

そもそもどうして「介護付き」「住宅型」と老人ホームの種類が分かれているのか? 
なんでも、お上の方針によってある時期から介護付き有料老人ホームを新設する基準が厳しくなり、そこで「ここは普通の住宅ですよ」ということにすれば規制なく作れてしまう住宅型有料老人ホームがたくさんできるようになったらしい。※「総量規制 住宅型有料老人ホーム」などでGoogle検索をかけるといくらか事情がわかります
そして、あくまで住宅ということになっているのでヘルパーさんも外部から呼ぶということになっているが、実質は外部のヘルパーさんの事務所も同じ建物にあったりして、サービスとしては実は住宅型も介護付きもさほど変わらないと(値段も結局は施設次第)。

どちらかと言うとサービスの違いで区別化されているというよりは、開業する時の手続き的な事情で無理矢理違うものだと分類しているのだと、そういうものだと私は解釈した。私個人の意見であるが。
ともかく見るべきは、住宅型か介護付きかというところよりも、その施設がどういうところか。そこが大事であると思った。

施設Bの見学は終わり、私はまた誰もいない寂しい家へ帰る。そして一人寂しく、ノートPCを開き見学した老人ホームの記録をつけるのだ。
楽しくない日々だ。


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