別れ

付き合って6年が経とうとしていたころ

ついに別れようと思った

ゆうすけがバイト先の女の先輩と遊びに行ったことが発覚した


怒りはそれほどなかった

そっか、またやったか

それだけだった

それ以上に自分も遊んでいたから

なんだかもう踏ん切りがついた

浮気されるにふさわしい、そんな女に自分もなっていたから、納得できた


その頃はもう、それぞれのアパートで過ごしていた

外でランチデートをした帰りに現地解散し


今日までありがとう

なんかもう、うちらダメだよね

長く一緒にいすぎて、お互いのコト大事にできなくなったね

大好きだったけど、

もう離れよう

今までありがとう

しあわせになろうね



こんなような文章を送った

15分後くらいに返信が


わかった!幸せになれよ


とだけ来た


6年近く付き合った割に、ずいぶんあっさりとした終わりだった

でも会っている時にこれを言ったら

お互い情が沸いて離れられないと思った


その返信のあと

自分から別れを告げたのに

バスのなかで涙が止まらなかった


今までの6年を思い返して

いつから私たちは間違えたのかと

記憶をたどった


あいの事からじゃない

あいの一件はきっかけに過ぎず

それ以前から、きっとお互いに慣れすぎていたのかもしれない

相手をもっと尊重できていたら

もっと気遣えていたら

もっと今ある幸せを大切にできていたら

違う結末になっていたのかな


それでも私たちは、若かった

15歳からこれまで

沢山の環境の変化があって

子どもから大人に変わって

行動範囲も視野も広がって

色々な物に興味がわくのも

目移りするのも

当然のことだったんだと思う

そう考えると、この別れもまた、当然の流れであり、致し方なかった

そう思えた

そう思うしかなかった


人生の約三分の一の期間を隣で過ごしたゆうすけと

この日、離れた


それまでで1番の喪失感だった


こんなに失うのが辛いなら、もう何も、


大事な物なんていらないと思った


ゆうすけに新しい彼女ができるくらいなら

そんなのを目の当たりにしなければいけないくらいなら

このまま目を瞑っている間に


消えてなくなりたいと思っていた






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