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特別支援学級の生活支援員という仕事

2022年3月から始めた障害者支援について、最初の一年間は訪問と移動支援のみを行なっていたが、現在は公立中学校での特別支援学級の生活支援兼教員補助をメインに、移動支援と行動援護を行っている。
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ちなみに、「移動支援」も「行動援護」も、知的障害や精神障害により移動が困難な人に対してのヘルパーによる外出支援だが、「行動援護」はより自分一人で行動することが著しく困難で常時介護を要する場合に受けられる支援となる。つまり「行動援護」の方が重度の知的障害、精神障害の場合の支援である。また「移動支援」が市町村事業(市町村から補助金が支払われる)であるのに対し、「行動援護」は都道府県事業(都道府県から補助金が支払われる)。
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特別支援学級はどんなところか?


さて今回は、特別支援学級の現場業務について書いてみたいと思う。私の勤務先は中学校なので、小学校とは異なるだろうし、中学校によってもクラス編成はさまざまかもしれない。あくまで一例としてご理解いただきたい。

私の担当するクラスは1~3年をまとめてひとクラス編成になっている。授業は教科によっては学力のレベルごと(学年ごとではなく)に分けて行われる。修学旅行や移動教室等の学校行事がある場合は、学年ごとに教室を分けて説明を行う場合もある。

私たち支援員は生徒とともに一日授業に参加し(立ち会い)、生徒が教員の説明を理解できない場合や、資料作成、発表の仕方などを個別にサポートする。音楽の授業なら楽譜に「ドレミファソラシド」を書いてわかりやすくしてあげたり、体育なら一緒プールに入り、一緒にキャッチボールの練習をしたり、休み時間にはUNOやトランプで一緒に遊んだり、絵を描いて過ごしたり…。宿題の丸付けや本人が解けない問題を教えることもある(今のクラスでは難しくても数学なら小5くらいのレベルが最高かと思う)。給食の配膳も生徒主体だが手伝うこともあるし、時間内に一緒に食べて過ごす。
修学旅行や移動教室など校外学習の引率も場合によってはある。
このように実はかなり忙しい。

登校から下校まで生徒を一日サポート

中でも、支援級ゆえ、授業に興味の持てない・集中力が続かない生徒の気持ちを盛り上げ、時間内に課題を終わらせてもらう作業は根気比べのようでなかなか大仕事だ。気分が落ち着かずイライラして教室にいられなくなる生徒もいて、その生徒を学校中ついて回って、授業に戻るよう説得したり、姿が見えなくなり校庭まで探しに行ったりすることもある。

今のクラスの生徒は軽い知的障害、自閉症がほとんどで全員登下校を一人でできる。療育手帳を取得できていない生徒もいる。全員言葉のコミュニケーションは取れて日常的なことはほぼ理解もでき、身体的なサポート(着替えや排泄など)は不要だ。ただ言葉が話せるがゆえに他人が傷つく言葉を状況を読めずに発してしまう生徒も多い気がする。ショックな言葉を発せられて傷ついた男子が殴りかかるなど、生徒同士の争いが起きた場合は男性教員に止めてもらうしかない。それでも過去の卒業生と比べると今のクラスは手のかからない方だと聞く。

そんなこんなで、生徒が下校し簡単な事務作業を終えるとようやく忙しかった一日が終わる。私はもともと編集や執筆を生業にしていたこともあって一日中外に意識を向けることに慣れていないせいもあるかもしれないが、学校での一日を終えるとかなりの疲労感に苛まれる。そのうち慣れると思ったが一向に慣れない。おそらくずっと慣れないと思う。

向き不向きの個人差もあるのだろうと思うが、学校の現場に身を置いてみて、教員の皆さんのご苦労を思い知り、子どもの担任の先生を見る目も変わった気がする。

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