2023.01.10. 『未来惑星ザルドス』は難解だけどビジュアルが凄まじいカルト映画だった
あらすじ
不老不死の者たちが住むユートピア(ディストピア)に野蛮人のショーン・コネリーがやってくる。
カルトなSF映画とか言われている本作だけど、停滞した共同体にやってきた来訪者が彼らに影響を与えて変化を促すというよくあるプロットの話だ。
問題は画面に映るビジュアルが異様の一言でしか表せないということだ。
まずこのでっかい男の顔の石像だ。
この石像のビジュアルだけなら知っている人も多いだろう。
この石像が蛮族たちに「銃は善だ。無用な生命を滅ぼすからだ。しかしペニス(生殖)は悪だ。この世に無用な生命をばら撒くからだ」(うろ覚え)と語りかけながら、その口から拳銃、ショットガン、アサルトライフルといった銃器や弾薬を吐き出すのだ。
もうおかしすぎる。
そして主人公を演じるショーン・コネリーの格好がこうだ。
ただし、映画の内容は結構難解。
富と美と健康に安全と知識を独占した富める者たちと不毛の荒野に投げ出されて日々命の危険に晒されながら奴隷のような労働に勤しむ貧しい者たちの埋めることのできない格差。
不老不死という人類の悲願を叶え、人間の培ってきた知識に美術を独占し、できる限りの平和な社会を築いている者たちでもそんなに幸福そうでない。満たされ過ぎているが故に無気力になってしまう落伍者を生んでしまう皮肉。
色々と難しいことがいくらでも語れる本作だが、とっつきにくいとは言い切れない。
いや、たしかにとっつきにくいけど画面に映る特異なビジュアルだけを目当てにしてもそれだけでおつりの返ってくる作品だ。
冒頭の不毛の荒野の上、異様な衣装を纏った馬上の戦士たちに来訪する、空を飛ぶ巨大な生首の石像のビジュアルだけで作品に引き込まれてしまう。
まさに『SFは絵だよ』を体現している一作だ。