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さくらゆき
2022年4月6日 16:53
「妖刀【櫻葉】?そんな物をどうして床の間なんかに置いているの。」栄子はあの恐ろしい気配を思い出していた。恒太たち住人は、ずっと側に置いているから感覚が麻痺しているのだろうか。「危険な物だからこそ、お義父さんは目の届くところに置いておきたかったのかもしれないわ。」波留日が恒太の祖父の肖像画に目を遣った。
2022年4月13日 17:28
「どうしてお前が刀を持っているんだ!」恒太が恒孝に敵意を向けた。「恒太、父を『お前』呼ばわりするのは感心しないなぁ。」不敵に笑う恒孝。「もしかして、貴方話を聞いていたの?」波留日の質問に、「そうだよ。立ち聞きして悪かった。」と悪びれもない顔で刀を持たない方の手で妻の髪に指を絡ませた。波留日の顔がカアッと赤くなった。
2022年4月20日 16:39
「ふっ、やはり抜けないか。」恒孝は自嘲した。「あなた、この刀をどうするつもりなの?」妻の問いに恒孝は、「鍛冶屋に行って、融かしてもらう。鞘が抜けないなら、まるごとね。」と答えた。