さらぬわかれ 75

「ふっ、やはり抜けないか。」
恒孝は自嘲した。

「あなた、この刀をどうするつもりなの?」
妻の問いに恒孝は、
「鍛冶屋に行って、融かしてもらう。
鞘が抜けないなら、まるごとね。」
と答えた。

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