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さらぬわかれ

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村の1本の咲かない桜の木。 その木には、曰くがあり…。 8歳のまま成長を止め意識のない姉とその妹の話。 GREEのコミュニティで発表していた小説(2009/1/17~)の完全… もっと読む
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2022年11月の記事一覧

さらぬわかれ 103

「…つまり、【櫻葉】が妖刀になったのは、恒之新様の村人や自らの家に対する怨嗟の念が原因なんだね。そして、桜の木の祟りを引き起こしていたのも、ここが恒之新が最期を迎えた場所だから……」
真実を知った栄子は、ようやく祟りの原因にたどり着いた。

「おそらく、手紙の内容が事実と違うのは、母親が子どもに伝えるには残酷過ぎたからだろうね…」
恒孝は顎に手を当てて呟いた。

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さらぬわかれ 104

「じゃあ、今さくらと恒之新様が会えたのだから、恒之新様の無念は晴れたはずだよね?さくらの魂は桜の木から自由になって、桂お姉ちゃんの体に戻れるはずだよね?」
栄子は周りに同意を求めた。しかし、誰もが険しい顔をしていた。

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さらぬわかれ 105

「消えちゃダメ!」
さくらに向かって、栄子は叫んだ。

「栄子…私…短い間だったけど、会えて良かった…。本当は…さくらとしてじゃなくて…あなたの…姉の桂に…戻りたかった。桂の肉体が死んで…私が消えても…魂は、この桜の木で…眠っているから。忘れないで。」
さくらの姿は、今にも消えて無くなりそうだった。

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さらぬわかれ 106

恒太の言葉にその場にいた皆が凍りついた。

「恒太、何言っているの!そんなことをしたら、また恒之新様に体を乗っ取られるわ!」
波留日は息子の身を案じた。

「大丈夫、俺は自我を保ってみせる。恒之新が俺の中に入れば、恒之新の魂の時間は動くはずだ。さくらが桂さんの中に戻ることで共に生きられる希望を持てれば、さくらを縛り付けている祟りは解消されるはずだ。」
恒太の意志は固かった。

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さらぬわかれ 107

恒之新を受け入れた恒太は、その場に倒れ込んでしまった。

「恒太!」
皆が恒太に駆け寄った。恒太自ら刀で刺した大腿から血が大量に出ていた。

「…栄子、俺は大丈夫。血が足りないだけだ。それより、さくらはどうなった?」

「…いない。」

栄子はさくらがいたはずの場所を確認したが、影も形もなかった。さくらは桜の木に取り込まれてしまったのだろうか?それとも桂の肉体に戻ったのだろうか?

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