購入しませんか?
シェア
さくらゆき
2021年10月6日 12:32
「私…今まで恒太がいるのが、当たり前だと思っていたんだ。でも私は…あまりにも恒太に依存していたって気付いてしまったの。」栄子の声は震えている。
2021年10月13日 07:16
「私のもとに『あの人』を連れてきてくれれば、もしかしたら桜の木の祟りの縛りが解けるかもしれない。元々は『あの人』の残留思念が私を桂から引き剥がしたようなものだから。」「『あの人』って?」栄子はさくらを質した。とても嫌な予感がする。「コウノシン様。私と共に逝くはずだったひと。」
2021年10月20日 19:23
さくらの言う「血だまりの中に…」という言葉に、栄子は違和感を抱いた。「ねぇ、さくら。あなたはその人と一緒に心中したんでしょう?『生き残った』ってどういうことなの?」 栄子はさくらに掴みかかろうとしたが、実体のない体をすり抜け、泥濘に足を取られ再び転倒してしまった。 さくらは栄子を立ち上がらせようと手を差し出しかけて、引っ込めた。
2021年10月27日 15:50
「さくら、コウノシン『様』って呼んでるけど、身分が高い人だったの?」栄子は少しでもヒントになることを聞き出そうとした。「うん、コウノシン様はお武家さまだったの。本来はこんな田舎がとても似合わないひと。」さくらは淋しそうに微笑んだ。