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さらぬわかれ

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村の1本の咲かない桜の木。 その木には、曰くがあり…。 8歳のまま成長を止め意識のない姉とその妹の話。 GREEのコミュニティで発表していた小説(2009/1/17~)の完全… もっと読む
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2021年10月の記事一覧

さらぬわかれ 48

「私…今まで恒太がいるのが、当たり前だと思っていたんだ。でも私は…あまりにも恒太に依存していたって気付いてしまったの。」
栄子の声は震えている。

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さらぬわかれ 49

「私のもとに『あの人』を連れてきてくれれば、もしかしたら桜の木の祟りの縛りが解けるかもしれない。
元々は『あの人』の残留思念が私を桂から引き剥がしたようなものだから。」

「『あの人』って?」
栄子はさくらを質した。とても嫌な予感がする。
「コウノシン様。私と共に逝くはずだったひと。」

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さらぬわかれ 50

さくらの言う「血だまりの中に…」という言葉に、栄子は違和感を抱いた。

「ねぇ、さくら。あなたはその人と一緒に心中したんでしょう?
『生き残った』ってどういうことなの?」
栄子はさくらに掴みかかろうとしたが、実体のない体をすり抜け、泥濘に足を取られ再び転倒してしまった。
さくらは栄子を立ち上がらせようと手を差し出しかけて、引っ込めた。

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さらぬわかれ 51

「さくら、コウノシン『様』って呼んでるけど、身分が高い人だったの?」
栄子は少しでもヒントになることを聞き出そうとした。
「うん、コウノシン様はお武家さまだったの。本来はこんな田舎がとても似合わないひと。」
さくらは淋しそうに微笑んだ。

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