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レオ・レオニのじぶんだけのいろ―いろいろさがしたカメレオンのはなしの感想

じぶんだけのいろ


※2017/12/07の記事のリメイク。

これは、私が一番好きな絵本です。小学1年生の頃に知ってその後何度も再読しています。
今回はその「じぶんだけのいろ」の紹介と感想を書く記事です。

絵本を知ったきっかけ


この絵本と出会ったきっかけは、私が小学生の1年生の時に、先生から「図書室から好きな本を選んで、それを紙に書いて紹介しよう」という課題が出されたことです。
その時の私はなんとなくその課題に気乗りがしなくて、ぶらぶら図書室を歩いていました。

同級生がどんどん本を借りていって図書室に人が減ってきた頃、やっと何冊かの本を手に取りました。
シートン動物記のオオカミ王ロボとか葉っぱのフレディとか…。

その中から何となく表紙で選んだのが、今回紹介するレオ・レオニの「じぶんだけのいろ」です。カラフルなカメレオンが表紙の短い絵本でした。

おおまかなあらすじ


オウムは緑、金魚は赤、ゾウは灰色、ブタはももいろ。動物たちにはそれぞれ自分の色を持っているのに、カメレオンである自分だけは行く先々で色が変わる。
自分だけ自分の色を持たないと悩むカメレオンのお話。

※以下ネタバレあり

自分だけの色を持たないことで悩んでいたカメレオンは、ずっと同じ葉っぱの上にいることで自分だけの色を得ようとしますが、秋には葉は黄色、赤色に変わっていってしまいます。

そしてある時、カメレオンは年上の賢いカメレオンと出会います。

「僕らはどうしても自分の色を持てないんだろうか」というカメレオン。

年上のカメレオンは「残念ながらね。でも僕ら一緒にいてみないか?行く先々でやっぱり色は変わるだろう。だけど君と僕はいつもおんなじ。」と答え、それから2匹は一緒に暮らすようになります。

それから2匹は、一緒に緑にも紫にも黄色にも赤と白の水玉模様にもなりましたとさ。

おしまい。

感想と解釈


小学生の頃はただ「カメレオン可愛いなーカメレオンのお兄さんかっこいいなー絵もカラフルで良いなー」と思っていただけだったのですが、その後も何となく読み返したくなって、時々再読していました。

小学校低学年から中、高学年、それ以降も時々再読していて、大学に入る前は絵本に関わる職業に就きたかった時期もあったので、わざわざ図書館で児童書ばかり借りていた時期もあり、そこでもまた再読。

最初に読んだときは思わなかったけど、この本は解釈によってはアイデンティティの話なんじゃないかと思います。

自分の色(アイデンティティのようなもの)を確立させていないカメレオンが、ある時同類に出会って感性を共有するようになる。それによってカメレオンは自分だけの色とは何なのか分かり満足する。

「感性の共有」という言葉は、前にレビューを書いた「春と盆暗」でも使いましたが、この漫画やこの絵本では自分の感性を共有することが一種のカタルシスになっているのかなと。
お互いのことが分かり合える関係が心地良い。たぶん主人公のカメレオンは、自分の色が持てないことに悩むよりも、同じカメレオンと同じ場所にいることで同じ色を持ち続けてゆくということに価値を見出したのかも。

なぜこんなに自分がこの絵本をずっと好きなのかというと、その生物に特有な性質(この場合は行く先々で身体の色を変える特性)を肯定的に描いていてくれていたからかもしれない、と最近は思ってます。
他の生物のように自分だけの色をもつんじゃなくカメレオンはカメレオンのままで、そのままの自分に納得できるように生きてゆけるという肯定。

色々書きましたがこの本は単純に絵だけ見ても楽しいです。
カラフルだし絵柄も可愛らしいし。小学生の時の私のように単純にカラフルで可愛い絵柄に惹かれる子どももいるんじゃないかと。読んだ人によってさまざまな解釈ができると思うので、年齢問わずぜひぜひ読んでみて欲しい。

まとめ


「じぶんだけのいろ」は今でも時々読みますし、絵本好き・絵本に関わる職業に就きたいと思った理由の原点でもあります。ここでは紹介しませんが、国語の教科書に載っていた「アレクサンダとぜんまいねずみ」や金魚王国の崩壊のミカゼちゃんも読んでいた「スイミー」、時々グッズで見かける「フレデリック」など、他の著作もとても好きです。
感想としては上手くまとめられていないけど、とりあえずレオ・レオニの「じぶんだけのいろ」は最高だよ!ってことを伝えたい記事でした。

おしまい。


公式サイト。
グッズも売っていて最高。


これは国語の教科書にも載っていて、好きな話だった。


フレデリックも可愛い。


結局、レオレオニの作品で1番有名そうなのはスイミーなんだけど、1番好きなのはじぶんだけのいろなんですよねえ…。
ちなみにこの話、模造クリスタルの金魚王国の崩壊でも出てきた。
主人公ミカゼちゃんは追い払われる方の魚に感情移入してしまったけれど。

大学生の当時、ファンアートなんかも描いてしまっていた。


ではでは。

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