映画、ブロークバック・マウンテンの感想
※2017年5月11日の記事のリメイク。
監督:アン・リー
公開:2005年9月2日(イタリア)(2006年3月4日)
時代設定:1963年~1983年
製作国:アメリカ
2005年のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、その他さまざまな賞を受賞している作品。
とても象徴的な映画で解釈や考察しがいがある。
原作はE・アニー・プルー。
あらすじを見てゲイ映画と抵抗を持った人もいるかもしれないけど、この場合の同性愛は社会的に排斥されるものとしてのメタファーとしての側面もある気がする。
この他にも作中にメタファーが多く存在する。
この時代の同性愛は、今よりもっと許されない迫害の対象だった。
お互いに交流を持ちつつ、一般的な家庭を持つイニスとジャックが主人公。
イニスは父親に同性愛者が無残に殺された現場を「教育として」父親に見せられたというトラウマを持っていることもあって、ジャックと会いつつも自分の家庭も大切にするというある意味社会との折り合いをつけた過ごし方をしようとする。
一方のジャックも、父親との軋轢はあったもののイニスより大胆で情熱的。
イニスと二人で牧場を経営することを望んでいる。
ジャックも家庭を持って、イニスよりも裕福に暮らしてゆくことに成功するけど、周囲の目もありイニスとはあまり会えない状態が続くことに不満を持っている。
「ブロークバック・マウンテン」は二人にとって理想郷で、存在しないもの。だけど求めてやまないものの象徴だと思った。
最後にイニスがいったセリフは、吹き替えと字幕の訳で若干違ったものになっているけど、元の方が好み。
社会的に認められない望みを持ってしまった時、多くの人はイニスの様にそれをなるべく抑え、隠して生きてゆくだろうと思う。
だけどそれはやっぱり苦しいんだろうなあ。自分が確立してきた社会的立場や周囲を棄てるのは本当に勇気がいることで、下手したら生きてゆくことすら難しくなってしまう。
社会的に認められないことを望んでしまった時に、どうするのかということを考えさせられる。
個人的に単純に奥さんへの裏切りや、奥さんが近くにいる場面で安易にキスすることには許しがたいものも感じたけど。全体的にやりきれないのに、すっきり観終わることのできる綺麗な終わり方。
レビューが長くなるので省くけど、これは多くの人に解釈をしてほしい映画。
おしまい。
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