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江戸時代、忠臣蔵の時代から続くメーカーも!日本のおもちゃメーカーの歴史を調べてみました

私の父がおもちゃ屋「さくらトイス」を創業したのは1952(昭和27)年。
noteでは創業の頃からの「さくらトイス」の歩みや思い出話を連載として書いていますが、同時期に、今も続く有名なおもちゃメーカーも続々と誕生しています。

また、調べてみると、もっともっと歴史の古いメーカーもありました。
いちばん古いのは、江戸時代、なんと「忠臣蔵」の物語で知られる赤穂浪士の討ち入りの頃なんです!
とても興味深かったので、年代順にまとめてみました。

皆さんがよく知っているおもちゃメーカーも、きっとあると思います。

■創業は江戸時代!300年の歴史をもつメーカー

・人形の吉徳

現在もあるメーカーの中で一番古い創業会社は、人形の「吉徳」です。
1711年(正徳元年)で現在と同じ場所江戸浅草茅町に人形玩具店を開きます。徳川六代将軍 家宣公が浅草寺参りの時、店により「吉野屋」の屋号を賜わりました。創業者の治郎兵衞はそれ以降、雛人形手遊(てあそび=おもちゃのこと)問屋として「吉野屋治郎兵衞」を名乗りました。
6世以降は「徳兵衞」と改名。「吉野屋徳兵衛」が「吉徳」になり、当主は代々「徳兵衛」を継承し今の社長も名前は徳兵衞さんで12代目です。

浮世絵「江戸名所図会」にも吉徳が描かれています。(吉徳ホームページより)

・「モーラー」の増田屋コーポレーション

吉徳創業の13年後 1724年(享保9年)に、増田屋コーポレーションが創業。
代表的なおもちゃは、不思議な動きの「モーラー」などです。
齋藤林兵衛が浅草奥山に創業。当時は主に人形を取り扱ったようです。
齋藤林兵衛は春日局(徳川家光の乳母)の末裔です。春日局の父は明智光秀の重臣であった齋藤利三。齋藤林兵衛は武士でしたが武士を嫌い町人になったようです。
現在の社長も齋藤社長です。

■明治時代には、世界的に有名なゲームメーカーが誕生

・世界的ゲームメーカー任天堂

次は明治時代になりますが、誰もが知っている任天堂です。
1889年(明治22年)山内房治郎が京都市下京区にて花札の製造を開始しました。明治35年に日本初のトランプ製造に着手しました。創業当時からゲーム屋さんだったのですね。

■大正~昭和初期、機械仕掛けや金属製おもちゃのメーカーも誕生

・アヒル隊長、メルちゃんのパイロットコーポレーション

1918年(大正7年)「アヒル隊長」や、温度で髪の毛の色が変わる「メルちゃん」が有名な、パイロットコーポレーション。
日本初の純国産の金ペンの製造に成功した並木良輔が東京商船学校(現東京海洋大学)同窓の和田正雄とともに株式会社並木製作所を設立。
パイロットはインクから始まったのではなくペン先の製造が先でした。パイロット万年筆有名ですものね。

新商品、メルちゃんのキャンプセット

・モンチッチのセキグチ

同じく1918年(大正7年)、「モンチッチ」のセキグチが創業。
東京府南葛飾郡奥戸村大字上平井(現在の葛飾区西新小岩)関口セルロイド加工所を設立。はじめはセルロイド人形を製造していましたが、セルロイドは可燃性があり輸出が減少。ソフトビニール製の人形を作りはじめ、モンチッチができました。
そう言えばモンチッチの顔はソフトビニールでできています。

近年はコラボ商品も多数あるモンチッチ

・神保町に店舗がある奥野かるた店

1921年(大正10年)奥野かるた店が「奥野一香(おくのいっきょう)店」として宇田川町に創業。
一香とは将棋士の名で、長男徳太郎が父の名を店名に付け、次男幸次郎が将棋駒を作り販売。
その後、盤駒商からかるた等の製造販売及び卸問屋へ転換を図ったそうです。創業者のお父さんは将棋指しだったのですね。

・「こぐまのトンピー」のイワヤ

1923年(大正12年)イワヤが、南葛飾郡南綾瀬村大字柳原(現、足立区柳原)に設立。機械仕掛けのぬいぐるみ等輸出玩具の製造をしていました。
戦後、メイドinオキュパイドジャパンのおもちゃも製造。太鼓をたたき、笛を吹くこぐま「トンピー」は、ロングセラーですね。

メイドinオキュパイドジャパンのおもちゃ。ゼンマイを巻くと動きます♪

・トミカ、プラレールのトミー

1924年(大正13年)トミー(現在はタカラトミー)設立。今はタカラトミーですが以前はタカラとトミーは別会社で、両社とも日本のトップメーカーでした。
古いのは、トミカやプラレールで有名なトミーです。西巣鴨にて富山玩具製作所を創設。金属玩具製造を個営で始めました。

・ぬいぐるみメーカーオオイケ

1931年(昭和6年)ぬいぐるみメーカーオオイケ。
創始者大池満由が愛知県名古屋市で個人経営。布製人形の製造を始めました。1962年に、子どもが手を引いて一緒に歩くことができる「歩行人形」が大ヒットしました。

・パズルのハナヤマ

1933年(昭和8年)ハナヤマ。港区麻布十番2-3に花山ゲーム研究所として創業。ダイヤモンドゲーム、プーレー(コリントゲーム)等の室内遊戯玩具を発売。
知恵の輪「はずる(旧名 キャストパズル)」は有名ですね。

はずる(キャストパズル)

■戦後~昭和30年代、大ブームを巻き起こしたメーカーも誕生

・プラモデルの田宮模型

1946年(昭和21年)プラモデルやミニ四駆の田宮模型。一般建築材の加工販売を目的とする田宮商事合資会社を静岡市小鹿に設立。
プラモデルで有名なタミヤも始めは建築材を扱っていたのですね。

・たまっごっちのバンダイ

1950年(昭和25年)バンダイ。東京都台東区浅草菊屋橋に「萬代屋」を設立。義兄久々津一夫が経営する繊維会社「萬代産業」の玩具部門を譲り受け、玩具問屋「萬代屋」として山科直治が創業。
超合金を発売したポピーなどの子会社もいっぱいありました。

・ダッコちゃん、リカちゃんと言えばタカラ

1953年(昭和28年)タカラ(現在はタカラトミー)。佐藤加工所として個人創業。1955年 に 東京都葛飾区本田宝木塚町(現・宝町)にて、有限会社佐藤ビニール工業所を設立。
ビニール人形「だっこちゃん」は、社会現象ともいえる大ブームになりましたね。
また、あまり知られていませんが、看板おもちゃの「リカちゃん」は、人形よりも先にハウスが作られたんですよ。

・日本初ジグソーパズルのメーカー、やのまん

1954年(昭和29年)ジグソーパズルで知られるやのまん。大阪市南区に矢野満商店創立。アメリカや中東へ輸出する日本国内の雑貨を主に取り扱いました。日本で初めてジグソーパズルを作ったメーカーです。

・野球盤、シルバニアのエポック社

1958年(昭和33年)エポック社。前田竹虎、他3名により、東京都台東区菊屋橋に株式会社エポック社を設立。ゲーム玩具の企画製造販売を始めました。
ヒット商品は多数ありますが、例えば野球盤やシルバニアファミリーです。
野球盤も進化して今はピッチャーの投げたボールが宙を飛びます。
シルバニアファミリーは海外でも人気です。

海外でも人気!シルバニアファミリー

「いかがでしたか?
おもちゃメーカーの歴史を知ると、おもちゃの歴史と時代背景など、おもちゃを見る目もちょっと変わりますね。
そしてどの業界も、会社が長く存続していくためには、やはり時代の変化に沿って柔軟に変化していく事が一番重要と分かります。


昭和27(1952)年から55年間続いたおもちゃ屋「さくらトイス」の思い出話を毎月更新しています。こちらもぜひご覧くださいね。

編集協力:小窓舎

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