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型染版画・大神 <神としての狼>

型染の技法で和紙に制作した版画作品です。
デザインをして、渋紙に型を彫り、和紙に糊を置いて、豆汁で溶いた顔料を定着させてから水で糊を落として絵を作る技法です。

モチーフは狼です。神としての狼、大口の真神、大神です。
日本の狼は絶滅してしまったという事ですが、
神としての狼はずっと信仰として生き続けていますし、
この先も絶滅はしないだろうと思います。
狼は荒ぶる神、恐ろしい神でしょう。
そして農作物を野の獣から守ってくれる神でもあります。

私は日本の昔話にある「送り狼」の説話がとても好きです。
夜の山道を一人で歩いていると、後ろから狼がついてくる。
恐れれば襲われる。恐れず逃げず、心静かにそのままゆけば静かに家まで送ってくれて帰り着いたのを見届けて去る。
概ねそんなお話です。
帰り道を最後まで見届けてくれた狼に「ありがとうさんでした」と礼を言ったり食べるもので返礼したりするお話もあります。

恐れれば襲ってくる。
これを自分の内にある「影」と捉える事も出来ると、
心理学の本を多く読んでいた頃に感じました。
今もそう思います。
大神は自分の内にある「影」であり「神」でもあると。
恐れれば襲われて引き倒されて「影」に喰われてしまうけれども
恐怖に堪えて歩みを続ければ見守ってくれる「神」になると。

この絵が、それぞれの内にある「大神」を感じ取る助けになればと思います。

型染の型は、形と形がつながった状態で作る必要があります。
そのために「つなぎ」をつけますが、私はそれもデザインとして生かす方法を考えます。
技法の制約は作品の糧としてこそのものを思います。

私はひとつの型で様々な色を使って複数の作品を制作しています。
同じ絵とは言えませんので、厳密には「版画」ではないかもしれません。
エディション番号もふっておりません。
使う和紙はその時によって違います。
同じ作品は出来ません。
この絵も他の色で制作したものがあります。

この作品は青い顔料を入れた上から金の線を描いてあります。
中国の青銅器などに描かれている文様をイメージしました。

ご自身のうちにある「大神」と出会えますよう。

サイズ 421mm×344mm
素材  和紙、顔料


こちらで販売しています

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