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独裁者は自国が敵視された方が嬉しい。救世主を演じられるから。

ヒトラーもこれを見事に利用した。

世界中から総スカンを食らう中で「ドイツを救うのは私しかいない」と訴えて、圧倒的な支持を得た。

「世界中を敵に回しても君を守ってみせる!」という、アレです(笑)

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 また、現代の戦争は総力戦なので、政府が国民の共感を得られないと勝てない。そのためには「敵」は強くて大勢いて欲しい。周囲が全て敵だとなお良い。

 習近平はもちろんそれを知っているでしょう。

 人権侵害に関する世界中の非難は、中華人民共和国にとっては不利益だ。

 しかし習近平は喜んでいると思います。おそらくは、それ故にあえて弾圧をやめないのでしょう。習近平は、中国が嫌われ者であって欲しいのです。

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金正恩も同じです。習近平は金一族のやり口を見て、これは良い、使えると思ったのかもしれません。

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これとは逆の例が日本です。

 日本は世界から好かれている。少なくとも日本人の多くは、そう思っているでしょう。

 だから歴代首相は強権を握れない。自衛隊を軍に格上げするために憲法を修正することすらできない。

 でも、日本国政府・軍部もかつては「敵」を大いに利用した。それが黒船、ロシアバルチック艦隊、ABCD包囲網です(注0)。

注0:国家に「敵」がいると政権が強権を握れるという、実に良い例が現在あります。コロナです。
 国民の旅行を禁止するなどという暴挙が許容されたのは、コロナという「敵」がいるからです。これって憲法でも重要な移動の自由を侵害しているのですけどね。
 また昨今では、SNSがこぞって発言の自由を制限し始めました。
 
  さらに、これが指摘されることは、ほぼ無いようですが、政府は集会の自由も侵害しています。
 現状では、大学紛争や、労働争議、ストライキは起こらない。ヒトが集まる場所がないからです。大衆を群れさせないのは統治の基本戦術です。

 だから習近平は東トルキスタンのモスクを破壊しました。
 コロナ騒ぎも有効活用しているでしょう。外出禁止令が出されたら、反政府デモも不可能です。反体制派は、「コロナ感染で隔離」すれば良い。コロナは実に便利なのです。

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おまけ

 同様の理由から、独裁者は国民が貧しいことを望みます。豊かな人々は救いを求めず、自分の好きなように生きる。それでは支配できない。
 また国民が余暇を持つと、ソクラテスやプラトンのように「余計なこと」を考える(彼らは貴族で奴隷を所有し、暇だった)。すると体制批判が生まれる。
 「貧乏暇なし」がよいのです(注1)。

 なお、貧しすぎると旧帝政ロシアのように、パンを求めて革命が起きる。だから人口が維持できる程度に貧しいのが丁度いい。例えば北朝鮮です。

注1:軍人はこれをよく知っています。兵は暇だと上官や政府を批判し始める。だから軍隊ではひっきりなしに訓練をやるし、何かに付けて雑務を用意し、兵を追い立てます。
 
 また、これをやると「休暇」は兵にとっては貴重な報酬となり、それのために懸命に働く。休暇の許可は上官の裁量範囲だ。だから兵は上官の指示に従う。
 これが低賃金で兵を働かせるコツです。
 特に徴兵制では、賃金で兵の士気を管理することができない。休暇は重要な管理手段です。(注2)
注2:逆に言うと「どうせ休みは取れない」と思っている人は、休暇のために仕事を早く終わらせようとは思わない。それが日本のサラリーマンです^^;
 例えば、私もそうでしたが「どうせ残業はしなきゃならない(自分だけ定時には帰れない)」と思っていたので、日中は働きませんでした(笑)

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